平成30年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中高共通家庭

 私はこれまで様々な塾に通いながら教員採用試験を受け続けてきました。毎年あと一歩というところで1次試験に落ち、去年はやっと3次試験まで通ることができました。必死に論文や面接指導を他の塾で受けてきましたが、結果は駄目でした。心機一転、自分を見つめ直し、1から勉強をやり直す気持ちで、沖縄教員塾に入塾しました。先生は毎日の授業で本来の教師のあるべき姿や教師の責務など、新聞記事や本を紹介してくれました。私にとって塾で学んだことは1秒たりとも無駄な時間はなく、教員採用試験に受かるためだけの勉強だけでもなく、教師としての資質を多く学ぶことができる時間となりました。1年間塾を受講し、私の目指す教師像を創りあげることができ、それを全て3次試験で発揮することができ合格につながりました。

《1次試験》

 教職教養の勉強については、毎週の塾での勉強と毎週小テストがあり、前日に見直し勉強する程度で、小テストで点数が取れなかった箇所を主に繰り返し、教職教養の勉強をしました。定期的に行われるテストで、分析結果がでるため、テストの結果をみて時間をかけて取り組む教科を決めていました。臨任の仕事をしながらの採用試験勉強でしたので、勉強するまとまった時間がとれなく、空いている時間見つけては、ケータイのアプリで教職問題を解いたりしていました。専門に関しては、過去問(10年)をパーフェクトになるまで解き、東京書籍・大修館・第一学習社の家庭総合の教科書をみて、苦手な部分はノートにまとめ、覚えました。最近の傾向として、法律や時事問題・データやグラフ等、何が出てもおかしくない傾向のため、教科書内の小文字の部分を中心に専門の勉強をしました。保育分野に関しては、「発達と保育」の教科書、消費生活に関しては国民生活センターが出している「誌上法学講座(特定商取引法を学ぶ)」、「くらしの豆知識」などを読み、専門の勉強に取り組みました。

《2次試験》

 2次試験は実技試験のため、「絶対に誰にも負けない」という気持ちでいっぱいでした。調理の実技に関しては、飾り切りなどは何でもできるように試験を意識して、普段の夕食作りの中で、野菜の切り方を花形に切ることなど工夫しました。1次発表後は過去に出たメニューをみて、毎食4品の献立を考え、材料をそろえ、時間を計り1時間で片付けまで全て終われるように家で実技の練習を毎日行いました。食物の実技では、衛生面や道具類の扱い方なども評価の対象と聞いたので、意識して行いました。以前受かった先輩から2次試験のアドバイスをうけたことがあり、その注意事項を忘れないで実技に挑みました。
 試験の際に気をつけることは、
①調理の手順を考える
②身なりは白衣
③調理前に手を洗うのは当たり前
④まな板は濡らして使う
⑤布巾を濡らし、まな板の下に敷く
⑥野菜の下処理、細かいことを忘れない(じゃがいもやごぼうは水につける・きゅうりやおくらの板ずり・ほうれん草をゆでるときの茎の切り方)
⑦包丁とまな板は常に清潔に(野菜・肉など切った後は必ず洗うことは言うまでもない)
⑧軽量スプーンや菜箸の置き場に注意。衛生的な場所に
⑨計量スプーンで混ぜない
⑩包丁の置き方
⑪鍋に水が残った状態で油は入れないこと(ぱちぱちさせない)
⑫調味料は計量スプーンで量り、すり切りを使う
⑬残飯や器材器具の扱いについて説明があるので必ず指示に従う
⑭火は鍋底より大きくしない
⑮食器ふきと台ふきの使い分け
⑯まな板の上で調理しない
etc.……ということでした。
 当たり前のことですが1時間内に決められた献立を作る中で上記の事を行うことは、とても大変なことでした。試験は指定の切り方がありますが、特に指定のない場合の材料も教科書同様の切り方、例えば、いり鶏であれば、こんにゃくは手綱切りにするなどの最低のことは行いました。時間がなくても手を抜かず最後まで諦めないで、限りある時間で最大限自分の力を発揮しアピールしました。
 被服の実技に関しては、1次発表後に5ヤードの生地がなくなるまで、毎日2課題は制作しました。Tシャツ(襟はバイヤス始末)・ハーフパンツ・タイトスカート・甚平・はっぴ・ブラウスの半身・襟付けなど、小さいサイズの型紙を試験用に作成し試験に向け取り組みました。過去問は全て1時間内で縫えるように練習しました。本番では指定の縫い方が指定されているので、問題文を何度も繰り返して読み、チェックしながら実技を行い、本番は7分前に全て縫い終え、確認する時間や仕上げのアイロンをする時間の余裕がありました。

《3次試験》

 2次試験合格後に論文・面接・模擬授業・面接調書を取り組むのはかなり時間的に厳しく、去年の経験もあり1年前からの取り組みでした。教員塾での課題1が面接調書のため、1年間かけて何度も何度も考え完成させることができました。論文の課題も同様、1年間塾から与えられた課題をひたすら考え、添削してもらっては書き直しの繰り返しでした。1次試験後の3次試験前までは1日足りとも無駄にしてはいけないと決め、毎日のように娘を連れ、家族総出で塾まで通う日々でした。論文で様々な課題を考える中で、いじめ問題や学級経営、授業で学ばせたいことや板書の工夫など、すべてが面接や模擬授業とつながっており、たくさんの課題を通して、模擬授業や面接の力がつきました。模擬授業は課題が発送されてから取り組み、授業の空き時間や放課後、知り合いの家庭科の先生に見てもらいアドバイスをうけました。特に今年度、初任研の友人がいたため、授業のやり方や板書の書き方を学び、模擬授業で活かしました。

《生活》

 私は結婚して家庭をもち、二児の母でもあります。その中で、臨任として働き、家庭を持ちながら採用試験の勉強をすることがとても大変なことでした。何よりも一番大変だったことは時間の確保でした。そのためには家族の協力なしにはできませんでした。夜中勉強することや早朝勉強することを試みましたが、体力的に続かず、一番勉強できる時間帯が仕事帰りの3時間でした。試験前は図書館の開いている22時までは図書館で勉強し、帰ってきたら娘たちは寝ている生活でした。試験前の4月からは優先順位が家族ではなく、試験勉強を優先とし、生活を送る中「今回で絶対合格する」と、決意していました。合格するという強い気持ちを持たなくてはいつまで経っても受からず、これまで同様の生活を送っていたことだと思います。家庭科の教師として、結婚し、出産を経験でき、子育てをしてきたことを私の最大の糧として、面接に臨むことができました。

最後に・・・

 私は、これまで優秀な学生生活を送ってきたわけでもなく、リーダーのような存在でもありませんでした。その中で、学生時代家庭科という教科に夢中になり、教師という道に進み、たくさんの生徒と出会い、教えることの楽しさ、家庭科の授業の大切さを伝えることができました。それがきっかけで、私の教師としての使命感が湧き上がり、「絶対に家庭科の教師になる」という強い気持ちが芽生えました。
 大学を卒業して10年、10回目でやっと「教員候補者名簿」に名を連ねるチャンスを得ることができました。これまでの道のりは長いが、多くの人とのつながりや出会い、支えがあったからこそ私は合格に導かれたのだと思います。特に何もアドバイスはできませんが、日々自分と向き合い、勉強し、自分にあったスタイルで学習しながら貫き通してほしいです。こんな私でも受かったのは、「誰にも負けない、今年で絶対合格する」という強い気持ちを持ちながら日々の勉強の積み重ねを行ってきたからです。