平成30年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 特別支援学校小学部

① 1次試験

【教職教養】

 1次試験対策は、教職教養の授業を受けていました。仕事をお休みした4月からは、授業のあとに残って自習をしました。授業日以外は、図書館やお家で集中してやっていました。穴埋めの教材をやり終え理解したつもりでも、選択問題の教材で同じ箇所を尋ねられた時、(上高先生の教材では、意味が似たような語彙が選択肢に並んでいて、こんな感じだったけどどっちだったかな……と迷うような)間違えることが多々あり、その都度、言葉の違いや表現について調べ細かく知れる機会がありました。一度迷ったり悩んだりした分、模擬試験や実際の試験では、感覚で選ぶというより、自分の中で理由をつけて正しい選択肢を選ぶことができるようになっていました。インプットだけに重点をおかず、実際に問題を解いていくアウトプットの学習も重ねながら理解を深めていけるよう意識して取り組むようにしました。

【小学校(特支)専門】

 専門については、沖縄教員塾で行われる模試の復習を主にやりました。
 社会、算数、理科、音楽、図画工作、家庭、体育では、かつて塾に通わず試験勉強をしていたときに友人から教えてもらった方法で、過去問を教科ごとに切り貼りしノートにまとめどのような分野がどのように出題されているか、分析して解いていたことから、全体像を把握することができていました。その中で苦手な分野は小学校や中学校の教科書、小中学生向けの科学や生物の本、音楽の本、歴史の本、入塾してからは塾にある参考書、配布された教材などを活用して、学んでいました。塾にある、図工の本(工具や材料の使い方など詳しく載っている本)も良かったです。算数については、昨年メセナに通っていたときに算数の講座を受講して問題をたくさん解いていました。そのため、今年は模擬試験で解けなかった問題をおさらいし、ちゃんと理解できているかの確認のため数日後にも解くようにしていました。
 私は、国語の文章問題がとても苦手でした。「なんでこの選択肢が答えとなるのだろう?」という疑問がこれまで(小学生の頃からずっと)たくさんありました。解答解説を読んでも辞書で調べても理解できないことを、上高先生に質問してみると、丁寧に説明してくれ(時代背景を考えるとこの選択肢はまず消える、など)なるほどと納得しました。自分では解消できない疑問、調べても分からない疑問を上高先生に質問していくうちに、国語の文章問題の見方・解き方のようなものが、少しずつわかるようになりました。国語の文章問題が同じく苦手な方は、考えても調べても解決できないときには、先生に質問することをぜひお勧めします。
 学習指導要領については、上高先生の教材を解きました。この教材では、古い学習指導要領の過去問も、新しい学習指導要領の表現に変えて、過去問として解けるようになっていたので、これまでにないたくさんの過去問を解くことができました。
 塾で行われる模試の結果は、毎回詳しく、どこで点数がとれていないのか分析されているため、優先して取り組んでいく分野など自覚することができました。

② 2次・3次試験

《1次試験前からの対策》
【論文・模擬授業】

 論文と模擬授業に向けて、漢字の書き順や漢字の字形に意識して学習に取り組んでいました。気になった漢字は毎回辞書を引いて調べて、小さいノートに書きためていました。実際に、学校で子どもたちの前で文字を書くための取り組みでもありました。1次試験が終わって論文を書き始める段階では、ある程度漢字の書き順や字形が身につき始めていたので、良かったです。論文そのものに四苦八苦する最中に、並走してゼロから文字を調べるのはとても過酷だったと想像します。辞書は「学研 新レインボー 小学漢字辞典」を使っていました。

《1次試験後から1次試験合格発表までの対策》

 毎日塾で論文を書いている塾生にとても助けられました。お昼時間などに言葉を交わして、はりつめた気持ちが和らいだり、試験について違う角度からとらえ直すことができたり、試験合格へ向け本気で全力で突き進む仲間がいることはとても心強かったです。1次試験後、塾に通える環境でしたら、塾で自習することをお勧めします。
 私は、この期間に上高先生に面談時間を設けてもらい、自分の中にある迷いや気にかかっていることなど(試験のこと、生活のことについて)相談しました。先生はひとつひとつ話を聞いて、真っすぐに先生の考えやアドバイスを話してくださいました。1次試験を終えて早い段階で、自分の中にある迷いや気にかかっていることを消化できたお陰で心と頭の整理ができ、迷いに足止めされることなく、論文含む2次・3次試験対策に取り組むことができました。

【論文】

 「1次試験合格発表後には、この塾は、2次で試験がすべて終わる校種の受験生の対策に切り替わるため、3次試験まである校種の受験生の添削指導などは行わない」旨を受講生全員に上高先生が早い段階で、はっきりと伝えてくださったので、「論文を先延ばしにしていては、手遅れになる!」という危機感から、1次試験終了後、苦手な論文と向き合うことにしました。1次対策については、図書館やお家でも集中して取り組むことができましたが、論文については、どんなに「やるぞ!」と意気込んで机に向かっても、すぐに「分からない」「どうにもできない」で頭がいっぱいになります。なので、私は、1次試験が終わってからは毎日塾に行って論文を書くことに決めました。
 教員塾では、上高先生が塾にいる時間帯(質問できる時間帯)が決まっている上に、同じ空間に先生がいらっしゃることが、とても心強かったです。また、上高先生は、教室で論文に取り組もうと「うーん、うーん」と論文の書き方の本とにらめっこしている私たちに、「泳ぎ方の本を読んでマスターしようとしても、実際に水の中に入らないと泳ぎ方は覚えられません。溺れながら泳ぎ方を覚えていくものです。溺れましょう。」というような言葉をかけてくださり、なんだか面白かったです。論文を書いていて、壁にぶちあたって前に進めなくなっても、「溺れていいんだ」という安心感が、論文を書くことを諦めない原動力になっていました。
 このように心理的な安心感は生まれつつも、論文のお題について書くときに、スカスカの私の中の引き出し(論文を書く材料)から、「私は本当に書けるようになるのかな?」と半信半疑でした。上高先生は、県からの資料が少ない特支については、国が出している書籍・文書を手元に置きながら書くといいとアドバイスをくださいました。たくさんの書籍があって重たいし、それぞれの書籍ボリュームも多いし、調べているうちに迷子にならないかな……と不安もありましたが、実際に取り組んでいくうちに、だんだん輪郭や骨格のようなものが見えてくるようになってきました。面接や特別支援学校専門筆記にも繋がっていきました。何時間もかけて、論文を書いていきました。5個のお題、計9本(書き直しも含め)書きました。

《1次試験合格発表後の対策》
【体育実技・音楽実技・特別支援学校専門筆記】

 体育実技については、特支仲間に練習日にご一緒させてもらい、マットや水泳に取り組むことができました。水泳は、県総のプールで個人練習もしていました。
 音楽実技は、自宅や車での個人練習に合わせて、特支仲間、友人、家族にピアノ弾き歌いとリコーダーを聞いてもらい、緊張感の中でやるという機会をもてるようにしました。
 特別支援学校専門筆記については、教職教養の授業で配られた、特別支援教育の分野の教材を再度、解きました。「東京アカデミーのステップアップ問題集」も取り組みました。

【論文】

 2次試験終了後から2次試験合格発表までに5個のお題、計8本書きました。7月・8月で合計17本書き、12本目あたりからだんだんと、こういう感じという論文を書く感覚を感じられるようになりました。溺れて泳ぎ方を覚えるってこういうことかなと実感する嬉しい感覚でした。実際に書くことで、先生の添削をうけることができて書き方を学んでいく。この積み重ねが力になっていっているのだな。書ける感覚を感じられるようになってきたものの、最後の17本目を仕上げるのにも3時間30分かかっていました。これが、本番当日75分という時間で書ききれるのか、という不安は残っていました。
 9月に入り、塾での模擬試験で論文を書いたとき、時間内で書ききれず空白を残し0点でした。先生にも「下書きを書いていたら間に合わないよ」と助言をいただき、2回目の模擬試験の時には方法を変えることで時間内に書ききることができました。
 試験当日は、上高先生に教わった、「お題に正対すること」などポイントを意識しながら、時間内に書くことができました。しかも今回の試験のお題が、塾の模擬試験のときに出されたお題とほぼ同じでした。模擬試験の採点のあとに、上高先生がこのお題を書くときに必要なワードを表でまとめてくださっていたことや、10個のお題の論文を書くために資料を読み込んでいた日々も味方となって、試験当日手元に資料がなくても、「これを入れたい、あれを書く」などがはっきりと浮かんだ状態で書ききることができました。

【面接】

 面接は、上高先生に見てもらったり、友人や、家族、前任校で校長先生にみてもらったりしました。模擬試験のときに、他の受講生の面接も聞かせてもらえる機会があって、私が指摘されていた「声をもっと大きく」の目指すところは、具体的にこれほど大きくこんなにきれいに通るのだな、言葉がまとまっていてわかりやすいな、などたくさんの気づきがありました。

【模擬授業】

 模擬授業では、これまで臨任として勤めていた時にお世話になった方々に資料をいただいたり、授業を見てもらったり、授業づくりそのものを教えていただいたり、とても貴重な時間でした。沖縄教員塾で模擬授業の模擬試験のあとに、試験官役をしてくださった方に色々なお話(授業や面接、学校のことについてなど)も聞かせてもらえて、試験が近づいて緊張が高まっている中、とても心強かったです。

③ 生活

 私はこれまで2度、3次試験でダメだった経験があります。昨年1次通過したときには、家族や当時臨任で働いていた職場の方々、以前勤めていた職場でお世話になった先輩に、家事や仕事面、面接練習や模擬授業の練習など、たくさんのサポートをしていただいた中、いい結果に繋げられなかったこと・ご報告できなかったことがとても申し訳なく、かなしかったです。こんなに大勢の方に支えられてお力添えいただいて、ありがたいことに私の中の100以上の力、120で向き合えた試験で不合格の結果だったことをきっかけに、今年の試験では4月から仕事をお休みして試験に挑むことを決めました。
 私は今回初めて、1次試験までは、「自分を縛らないで、やりたいことをやり日常の生活も大事にしながら、試験勉強を進める」ことを心がけました。山に行く、音楽を聴きに出かけ、習い事をする……そうすることで、私の心のエネルギーにもなると同時に、仕事を休んで勉強をする中でも、試験勉強するときにダラダラしない(明日も明後日もその先もたっぷり時間がある状況に甘えない)いいリズムができたように思います。私の中で、2次3次に向かう気力を蓄える時間としても大切なことだったと感じています。1次試験が終わってからは、毎日塾へ行きました。
 規則正しい生活リズムも心がけました。ラジオ体操とジョギング・ウォーキングを毎日続けました。朝走っていると、体中の血が巡って気持ちいいのと、風の感じや空の表情、草花や生き物と出会ってわくわくしたり、ひらめきが生まれたり、考えがまとまったりして面白かったです。

 試験に向けて、いろいろな状況・心境の中、踏ん張って、子どもたちのために頑張っている、沖縄教員塾に通う皆様の合格を心より願っております。

*オリエンテーション資料に記載のある文書や本、塾にある本のほかに2次・3次対策で参考にした文献*
・内定獲得のメソッド 面接 自己PR 志望動機(才木弓加)
・教員採用試験対策 ステップアップ問題集⑫専門教科特別支援学校(東京アカデミー)