2023年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 小学校

(1)はじめに

 私は、神奈川県川崎市で5年間本務教諭として働いていました。出身は沖縄県ですが、大学進学の際に関東で生活をはじめ、①大学の教授から勧められたこと、②採用試験の倍率が低く本務教諭として働きやすいことから、川崎市を受験することを決めました。しかし、本務教諭として働く中で「地元で働きたい」という気持ちが強くなりました。特別選考「結・UI特別選考」ができたことにも背中を押され、今年度初めて沖縄県の採用試験を受験することを決めました。
 以下に、私の一次試験の勉強法と二次試験体験記を記したいと思います。一般の試験とは異なることもありますが、採用試験合格を目指す皆さんの参考になれば幸いです。

(2)一次試験

 一次試験は書類選考でした。一般選考の出願書類に加えて、特別選考申請書・課題作文を提出するという流れでした。課題作文は「沖縄県の課題をあげた、学力向上に向けて授業改善の取り組みの実践や構想」「沖縄県の課題をあげた、不登校の改善に向けた実践や構想」のうち、1つを選択するものでした。私は、学力向上についての課題を選択しました。自分が今まで行ってきた実践を具体的に書くことを心がけました。その作文を上高先生にメールで送り、2回添削をしてもらいました。その後、特別選考の該当可否が6月下旬に送られてきました。その後は特別選考の合否を待つのみでした。塾の二次試験対策が始まるまでの間は、上高先生から送られてくる教材や、沖縄県の教育に関する本を読んでいました。

(3)二次試験

 二次試験の対策のオリエンテーションがあり、そこで二次対策への臨み方や過去の面接質問の教材をいただきました。その教材を中心に対策を行いました。

<受験調書>

 受験調書は早めに書き始めることが必要だと思います。受験調書から面接で聞かれることが多いので、聞いてほしいこと、自分の強みにつながることを中心にしながら書いていきました。また、試験当日にその場で見ていただく物なので読みやすさにも気を付けながら書きました。初見でどう感じるかが気になったので、家族に見てもらい、内容で質問したくなることや読みやすさなど感じたことを教えてもらいました。上高先生には電話で質問をしたり、メールで添削をしたりしていただきました。

<面接>

 二次対策のオリエンテーションでいただいた教材・大学生の頃に使っていた面接ノートをもとに対策をしました。初めは目通ししながら質問に答えていき、詰まってしまったものに関しては、ノートに自分の考えを書いていくようにしました。やっていくうちに、自分が答えづらいものがノートにたまっていったので、何度も繰り返し読んで、覚えるのではなく、自分の心からの言葉になること意識して考えをまとめました。
 受験調書の完成後、上高先生から、面接対策の質問のメールを送っていただけました。当日の試験と同じように答えるために、メールを読んだら何も見ず、自分がその場で答えられることを送っていました。一度、答えられないものを飛ばしてしまったときに「本番では分からなくても答えなければいけない」というお言葉をいただいたことが心に残っています。日々の試験対策でも、本番と同じように行うことが大切だと感じています。分からない時、言葉に詰まってしまった時の態度や言葉こそ、試験で見られるポイントだと思います。

<場面指導>

 面接と同じように塾でいただいた教材と上高先生がメールで送ってくださる内容を中心に対策をしました。動画を撮って自分の表情や話す速さを確認していました。この時も本番と同じように、課題を見てすぐにはじめるようにしました。本当に思いつかないものでも、まずはやってみよう、本番もそのようなものにあたるかもしれないという意識をもつようにしていました。初めは恥ずかしさもあり、動画を見ることが嫌だなと感じていましたが、慣れてくると自分の癖や雰囲気を感じることはできるので、動画を撮るのは恥ずかしさに慣れるためにも有効な対策方法だと思います。

<模擬授業>

 合格発表後に送られてくる課題を見て、授業を考えていきました。塾で昨年度の合格者の方が話をしてくれる機会があり、その方々の模擬授業の雰囲気も参考にして考えることができたのでよかったなと思います。
 内容は国語5年生「小さな質問」という詩でした。指導書を読んで考えようと思っていたのですが、沖縄県や自分の自治体でも使われていない教科書会社だったので、指導書が手に入らず、本当に一からの教材研究でした。まずは学習指導要領の必要な部分を読み込み、身に付けさせたい力を明確にして指導案を作り始めました。試験でどんな質問でも答えられるようにと、略案ではなく、児童観以外の細案を作成しました。ここに一番時間がかかりました。気になることは知り合いの先生に質問しながら授業の構成を考えていきました。その後、導入で惹きつけられるような工夫を考えました。詩の学習の導入をいろいろ調べ、自分のいつもの授業の雰囲気が出せるもの、ICTの活用ができることをアピールしたかったので、そこがアピールできるものを基準に内容を決めていきました。動画を撮って授業をしてみた後、ノートに話すことを取捨選択しながら書いてまとめていきました。アピールしたいことが多く、時間内に収めることが一番難しかったです。
 その後、模擬試験で上高先生や現職の先生方に見てもらい、助言していただいたことを基に、さらに直していきました。何度も動画を撮って練習し、楽しくわかりやすい雰囲気をつくること、試験の対策をしっかり行ったことが伝わるよう、スムーズに授業が流れることを意識して授業をつくっていきました。

<模擬試験>

 塾で2回模擬試験をしていただきました。この試験を本番だと思い、準備をして臨むことが大切だと思います。本番と同じ流れでやっていただけるので、実際の動きや雰囲気を感じることができます。また、上高先生や現職の先生方に見ていただき、指導いただけるので本当に心強かったです。自分の気になるところだけでなく、強みも伝えてもらえたので自信にもなり、そこを試験官にアピールしようと思えました。二次試験は自分との戦いではなく、人との関わりを見ていただく場だと思うので、その体験を2回もしていただけるのは貴重だと思います。ぜひ入塾したら最大限に活用してもらいたいです。

(4)おわりに

 私はこの塾に入塾したおかげで、試験に真剣に向き合うことができました。試験は1人の力ではなかなか合格までたどり着くのは難しいなと感じます。筆記試験はもちろんですが、二次試験は人と人とのコミュニケーションが大切だと感じるので、1人で頑張ろう! ではなく、周りの方に助けてもらうことが合格への近道だと思います。上高先生やこの塾の合格者の方に話を聞いた時に、この人と仕事がしたいな、こんな人になりたいな、と感じました。きっと試験をしてくださる方も、そんな人に子どもたちと出会ってほしいと感じ、採用したいと思うのだと思います。試験対策を通して、なぜ教師になりたいのか、どんな教師になりたいのか、自分と向き合い、教師に近づいていけるといいと思います。つたない文章ではありますが、これから試験を受ける皆さまの少しでも参考になれば幸いです。