2023年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校家庭

(1)はじめに

 私は4回目の受験で合格しました。
 大学4年次の現役受験の時にコロナが流行し,試験形態が大きく変わった年度からの受験です。その年は最終(2次)試験まで行きましたが,合格には至りませんでした。
 それから,臨時的任用職員として学校に勤めたり,舎監として非常勤として勤めたりしながら受験し続けましたが,1次試験はどれもあと一歩で及ばず。私の1つ上の順位の方から突破されていきました。
 どうにかしなければ,何かを変えなければどんどん合格から遠ざかってしまうと悩んでいた時,勤めていた場所にたまたま沖縄教員塾のチラシが配られていました。その時は,舎監として非常勤をしていたこともあり,金銭的な余裕はありませんでしたが,時間的な余裕がありました。最初は,勤務先からの近さと料金のリーズナブルさに惹かれて,HPに飛び,上高先生に面談の申し込みの電話をしました。とりあえず1年通ってみよう,と覚悟して入塾。この1年間があったから合格できました。あの時,あのチラシに出会えてよかった。合格を目指す方の参考になれば幸いです。

(2)1次試験について(一般教養・教職教養)

 まず,一般教養は特に勉強していません。これは,採用試験の勉強を始めた大学生の頃から一貫してそうです。私はもともと,数学や理科の問題は好きだったので,塾での模擬試験や過去問の理数系の問題は間違えたときは解きなおしていました。あくまでも好きだったからです。漢字の問題は,読み直しました。これは大人として,日本語には達者な方が素敵だと思ったからです。英語や社会の問題は,小中高と,とても苦手で,模擬試験でも見直すことをしないこともありました。見直しても基礎知識がないので,頭に入らず,定着しないとわかっていたからです。ただ,教職教養とかぶる範囲の社会系の問題は落とさないようにしていました。一般教養は半分くらい正解していれば,よい方でした。全くできないときもありましたが,気にしないようにしました。

 教職教養は,得意な範囲と苦手な範囲が割とはっきりしていたので,得意なものは確実に落とさないように適度に思い出すようにしました。大学を卒業した後も,得意だと言えるものは,大学の講義で面白かった内容や,きちんと勉強をした内容のものでした。私の教職教養の土台は大学時代に培われたものだと思います。もし,この体験記を読んでいる大学生がいたら,講義を真面目に確実に受けて欲しいと思います。土台ができ上がっているのと,また1から作り始めるとでは,かかる時間や労力が変わってくると思います。
 苦手なものは,定着しやすいように,塾で先生が話す内容を教材にメモするなどして記憶に残りやすい工夫をしました。先生がコメントを入れるような内容はエピソード記憶として残りやすかったです。毎回の小テストでは,間違えたところはすぐに振り返りました。どこをどのように間違えたのかまでが記憶に残って,正しい答えを覚えられるようになりました。私は特に法律文や条文の暗記が大の苦手でしたが,先生が,今までただの文章でしかなかったものに,意味や内容を付け加えてくれたことで,私の中で意味あるものへと変わっていきました。覚えられないのは,暗号のように見えるからで,意味や内容が理解できれば,すっと頭に入ってくれました。
 私の中で,教職教養の目標は6~7割程度の正解率でした。後半の模擬テストでは,それをクリアすることができていました。塾生のランキングも毎回出されますが,順位だけを意識しないようにしました。自分の点数の取り方に注目しました。ただ,上位に入ることはモチベーションになりました。

(3)1次試験について(専門)

 まず過去問を10年分くらい解きました。
 1年分ごとに,解く→解答する(正解割合をだす)→誤答レポートを作る,という流れで勉強しました。その中で,新しい学習指導要領に対応していない問題は省いたり,法律が変わっている問題は新しい法律を確認したりしました。特に家庭科は,民法などとも連携している内容が多く,民法は改定の多いものでもあるので,チェックするようにしていました。(ただし,改定が新しすぎて,問題に反映されていないこともあり,改定の時期も併せて確認するようにしていました。)過去問を解いているうちに,確実に落とせない問題がわかるようになりました。教科書レベルの知識問題です。教科書レベルの問題は,教材研究として勉強しながら実際に生徒に教える中で理解が深まっていきました。昨年は,この教科書レベルの問題を落としてしまっていたので,今年は特に落とさないように意識しました。勉強するときはそれぞれの分野のスペシャリストになりきって勉強しました(食分野だったら栄養学や調理学のスペシャリスト,保育分野では保育のスペシャリストなど)。私は生活に欠かせないあらゆる分野のスペシャリストなんだ! と思って勉強すると楽しく勉強できました。実際に家庭科教員とはそのようなものであると思うので,おすすめです。

(4)1次試験の勉強時間について

 この1年で常に課題だったのが勉強時間の確保でした。入塾したときは舎監の非常勤で,生活リズムが安定せず,勉強を始めても睡魔に負けてしまうことが多かったです。時間的,精神的な余裕はあったので,実質の勉強時間はコロナで引きこもりを余儀なくされた大学4年次の時の次に多かったとは思います。ただ,1日何時間やる! といったことは続かなかったので,隙間隙間で進めていました。
 4月から新しく,臨時的任用職員として働くことになり,4月からの勉強時間の確保はより難しくなりました。ただ,授業を受け持つことで,教材研究を通して勉強をすることができました。専門の勉強は教えられることが1番なのではないかと思います。結局,安定した勉強時間の確保は,働き始めたころからできていませんでしたが,勉強するという意識を常に持ち続けていました。毎日何時間ずつやる,ということはなかなか続かなかったけれど,1日ちょっとでもやる,ということは続いていました。眠たくなったら素直に寝ました。健康や身体を第一に考えました。多くの働く受験生が勉強時間の確保に苦戦していると思いますが,勉強時間が取れなくて悩んでしまうよりも,少し開き直ってできることをできるときにやる,というスタンスで臨む方が,効果があるときもあります。向き不向きがあると思いますが,悩んでいる人は試しにやってみてください。

(5)2次試験について(受験調書と面接)

 1次試験が終わって2~3日,試験のことを忘れました。そしてふと,自己採点をするかどうかを考えて,私はしない方がソワソワするのでしました。そして,ボーダーがすごく上がっていない限りは突破できる点数であることを確認して,1次試験の結果が出る前から2次試験対策を始めました。
 まずは受験調書を完成させました。過去に提出した受験調書の内容と現在の自分とを照らし合わせて直しながら書き上げました。上高先生の丁寧な添削があり,自信の持てる調書ができ上がりました。上高先生の「合格発表があってから,慌てて受験調書を作り始めるような人に子どもを預けることはできない」という言葉に納得しました。慌てていたら,このような仕上がりにはならなかったし,そのあとの面接対策にも万全で臨めなかったと思います。
 受験調書が完成したら,面接対策に取り組みました。上高先生から送られてくるメールの質問に答えていきます。即興で答えることを意識しました。「よく聞く」「相手が聞きたいことは何かを考える」ことを意識しました。この面接対策は,変な話ですが,楽しかったです。自分の考えを言語化することで振り返り理解することができました。メールでの質疑応答をもとにノートを作りました。このノートは2次試験の会場(待機教室まで)に持ち込んで,直前まで眺めていました。正直,試験直前に眺めたものなど頭に入りませんが,安心材料になりました。持ち込める形でまとめておくことをお勧めします。
 対面での模擬面接は,塾で2回,学校で校長先生に1度お願いしました。よく聞くこと,相手に確実に伝えることを意識しました。
 場面指導は,自分がやりやすい題材とやりにくい題材があったので,やりにくい題材が来たらどうするかの方針は考えておきました。やりにくい題材でも,やりようによっては自分の得意なフィールドに持っていくことができます。普段の私の指導方針が伝えられるように考えました。

(6)2次試験について(実技と模擬授業)

 今年からコロナが5類になったことを受けて,なくなっていた実技試験が舞い戻ってきました。実技試験を受けたことのない私はおびえていました。問題が郵送されてきてから,対策しました。調理の実技試験だったため,毎日家で,その実技問題に取り組みました。最初はかなり絶望的で,本当に絶望していましたが,現在臨時的任用で勤めている学校には,調理を専門とする先生が多くいらっしゃったこともあり,先生方にアドバイスをお願いし,そのアドバイスをもとに毎日取り組んだかいあって,何とかなるくらいまでに成長しました。本当に現場の先生方に助けられました。ちなみに,エプロンや三角巾は無地のものを新調しました。
 模擬授業は,現場の先生方にアドバイスいただきながら仕上げました。学校で1度,塾では面接と合わせて2度見てもらいました。郵送されてきた問題をくまなくよく読んで,どのような授業がよいかを考えました。対応する指導要領や解説,指導と評価の一体化の高校家庭編を読み,指導案を作成しました。そして,どの5分を切り取れば,よりたくさん私の考えていることを見ていただけるかを考えて,模擬授業を行いました。模擬授業だけではなく,授業を含めた全体像を意識しました。大きなイメージを持っておくこともとても大切です。

(7)最後に

 最初に2次試験に落ちたとき,かなりショックでした。私という人間を見て,それでも相応しくないと思われたと落ち込みました。あの時の自分はあれで精一杯でしたが,少しばかりの経験を積み,それを塾に通いながら今回の試験で発揮できたことが本当によかったです。上高先生は面白い方だと思います。授業で,先生の考えを聞くことが楽しかったです。これまで多くの塾生を育て上げてきたその目には,いろいろ見透かされているようで,先生と話すときは,背筋がシャンとする気持ちになります。その環境で勉強できたこと,自分の教員生活のこれからを考えることができたこと,人生に欠かせない充実した1年になりました。塾に入ろうと思ったのは,私のこれまでの受験人生(高校受験や大学受験)で塾という場所が私を育ててくれたことを思い出したからです。偶然のチラシとの出会いが,私を沖縄教員塾へ導いてくれました。塾が全てではないけれど,私にはベストでした。やっと沖縄県の教員としてスタートラインに立てることが本当に嬉しいです。ありがとうございました。