2023年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

はじめに

 私は5回目の受験で合格することができました。大学を卒業して2年間は放課後デイサービスで働きながら、記念受験程度で教員採用試験を受験していました。臨時的任用教員として働き始めた令和2年から塾に通い始め、入塾してから約3年で最終合格することができました。最後の年は専門試験のみの受験で、それに加え特別支援免許も取得しました。
 入塾を決意したきっかけは、友人が先に沖縄教員塾に入塾しており、一緒に勉強した際にその実力の差を見せつけられたのがきっかけでした。その頃の私は試験についての情報収集もしておらず、本気で目指している人がどのような勉強をしているのかもわかりませんでした。しかし、本気の友人を目の当たりにし、自分はこのままでは前に進めないと思い、その友人の紹介で入塾しました。

一次試験

 専門試験の勉強は、火曜日の復習を水、木、金に行い、土曜日の復習を土曜日の夜と、月曜日の夜に行いました。平日は仕事をしていたこともあって、仕事後、1~2時間できればいいという状態でした。教員経験が浅い私は体力がついていかず、最初の年は自分の身体と心と勉強のペースを見つけ出すのにとても苦労しました。家に帰ると休みたい気持ちに負けてしまう自分がいたので、校長先生にお願いをして、仕事後、教室に残って勉強していました。
 また、新型コロナウイルスの影響もあり、塾の講義形式が対面授業から通信に変わった時期もあったので、教室で勉強できたことはプライベートと勉強の切り替えもでき、私にとってはとても良い環境でした。

古文

 古文は私の特に苦手とした分野でした。塾の面談では、古文が全然できない私に上高先生が「スタートが人より低いのだから今周りに追いついていないのは当たり前」とおっしゃるほど低い地点からのスタートでした。しかし、この面談から、周りはライバルなのだから、追いつかないと合格できないという考えに至り、古文に向き合う気持ちが生まれました。できない自分を受け入れて一問一問なぜできなかったのかを辞書や塾で使用している教材で何回も見直し、ノートにメモしました。私のノートには同じことが何度も書かれ、自分が苦手としている単語や用法が自分でもわかるようになってきました。私は自分自身、記憶力があまりよくないと思っていたので、しつこいくらいメモをして、何度もノートを見返して声に出して読み上げて覚える方法をとっていました。(記憶力がよい方はあまり参考にしない方がいい方法かもしれません。)

授業と復習について

 古文の授業では時間内に問題を解くことが一番の目標でした。入塾1年目は、正解したくて一つの問題に時間をかけすぎていましたが、上高先生の「一次試験は点取りゲームだ。」という言葉に自分の問題への取り組み方が間違っていることに気がつきました。そこからは時間を意識して問題を解くようになりましたが、最後まで時間内に解くのが一番の課題でした。

 復習では、全ての単語を品詞分解し、意味を書き込み、現代語訳をしていました。古文の点数が伸び悩んでいる時期があり、上高先生から「細かな復習は辞書でやって、要点の確認の時にプリントを活用しなさい。」とご指摘いただき、その通りにするとだんだんと古文が理解できるようになってきました。そこからはすべて辞書で、助詞・助動詞は辞書と塾の教材の『古文上達 基礎編 読解と演習45』(Z会)で調べていました。そして、仕上げに確認し忘れがないか、上高先生から毎回いただくプリントで確認をして復習を終えていました。
 復習をする中で、単語が弱いと気付いてからは、『読んで見て覚える重要古文単語315』(桐原書店)を持ち歩き、時間がある時に暗記シートを用いて暗記していました。

漢文

 一番初めに行ったのは、句法を覚えることです。第1タームでは火曜日に新しい句法を習うので、古文の復習が終わった後に句法の復習を行いました。古文の復習を優先していたため、漢文は最低でも上高先生からいただいた「漢文句法のまとめ」を声に出して読んでから寝るようにしていました。
 第2タームからは文章問題に取り組むことが多くなりましたが、勉強の配分は変わらず古文が最優先で、漢文は古文が終わってから取り組んでいました。
 古文に力を入れていると漢文にとれる時間が本当に少なくなってしまいました。その時には、『文脈で選ぶ漢文句形とキーワード』(Z会)を持ち歩き、隙間時間に読んでいました。特に後ろのページにある中国の時代背景などを読むと、その当時のことがイメージしやすくなり、問題を解きやすくなったように感じました。

現代文

 現代文は得意なジャンルと苦手なジャンルとで取れる点数が大幅に違いました。苦手なジャンルというのは、自分自身に知識がないジャンルで、読んでいる時に想像ができずに文字だけを追ってしまうことがあるということと、そのジャンルの用語に触れる機会が少なく理解ができない、語彙力が乏しいために言葉の意味が理解できないということだと解釈しました。そこで、さまざまなジャンルに触れることを意識し、新聞を読み、読書も上高先生のおすすめする本を中心に、今まで読まなかった本を手に取るように意識しました。毎回ある漢字テストが現代文解釈にとても役立っていると感じてからは、漢字テストの復習も意識して意味を書き込んだり、語彙力を少しずつ伸ばしていきました。
 現代文を勉強するにつれ、熟語の大切さに気付き、勉強しなければと思ったのと、自己伸長のために何かに取り組みたいと思い、漢字検定2級にチャレンジしました。2級の漢字は現代文を読むにあたり必要な漢字ばかりだったので、試験勉強と検定合格の一石二鳥でした。採用試験を申し込むときにも資格の欄に書くことができました。

沖縄の文学

 沖縄の文学は、古文や漢文の隙間時間にちょこちょこ復習をする程度でしたが、覚えては忘れの繰り返しをしてしまっていたので、沖縄の文学Weekと題して1週間で『新編 沖縄の文学 増補・改訂版』(高教組教育資料センター)を一周し、重要なことを見返すことができるようにノートにまとめました。それからは、まとめノートとともに重要なことを定期的に見直して記憶を保っていました。

学習指導要領

 学習指導要領は、毎週のテストではボロボロでした。まずいと思いながら半分過ごしてしまっていました。(反面教師にしてください。)テスト2か月前ぐらいから、指導要領を覚えるためと、持ち運びやすくするために、公休日の塾がない日に全てパソコンで打ちました。間違いがないかの確認もしたので、その日で声に出して2周することができました。それからは、毎日1ページずつ声に出して読むようにしました。本番までには結構覚えられたのではと思っています。が、塾のテストはボロボロでした・・・。

教職教養

 塾で配布されるプリントですべて勉強していました。日曜日の午前中に授業を受け、できなかったところを日曜の午後、覚えたい語句や条文をプリントに書いて復習し、翌週の土曜日の夜にも少し見直しをして眠るようにしていました。
 上高先生の用意してくれた引用集を読むのが楽しく、勉強の息抜きのときにも読んだりしていました。

一次試験にむけての調整

 私は勉強の他に体調面でも心配がありました。3年目の最初までは上高先生と相談しながら体調がよくなることを目指して、生活や勉強法を変えたりとさまざまなことを試してきました。しかし、体調は相変わらずでした。それでも、この年で絶対に受かりたかったので、体調万全で問題を解くことを諦め、体調が悪くても問題を解けるよう練習することにシフトしました。
 その練習と付随して、ずっと私の課題だった文章を読むのが遅いことに対しての対策も始めました。『古文上達 読解と演習56』(Z会)を、5分で問題を全部解くという決まりを設けて、毎日5分で解いて、間違えたところを復習して就寝していました。この参考書の問題文は短い時間で解くのに適している文章量でした。早く解くとどこでつまずくのかを分析して、次の日には同じようなところでつまずかないように作戦を立てて挑んでいました。すると、塾でも時間内に解けるようになり、古文でしかこの練習はしていなかったのですが、現代文もだんだんと早く読めるようになり、本番でも時間内にすべて解答することができました。
 自分の弱みに対して効果の出ないアプローチを続けても成果は伸びませんでしたが、思い切って方向転換や行動を起こすと目に見える形で効果が出て、自然と結果がついてくることを実感しました。
 全ては試験に合格するために。この一心で取り組むことが大切だと感じました。

 試験本番ももちろん体調はよくありませんでしたが、体調が悪い中で点数を取ることを訓練してきた私は、何も不安ではありませんでした。いつも通りに問題に向かいました。本番と同じ条件で日々勉強すると、試験の日が特別なものではなくなります。そこでいつも通りの力を発揮すればいいと思います。これは二次試験でも共通することだと思っています。

二次試験

面接

 私は正直、合格する年まで二次試験のイメージが全く持てていませんでした。しかし、合格した年は、一次試験対策の第1タームのときから二次試験のことを考えていました。前年度、イメージは持てないものの、面接の質問事項などの答えは準備していました。その時に、こんなにたくさんの項目を、私は面接のとき暗記して話すことは無理だと思いました。だから、日ごろやっていることを思い出して答えられるように、全て今から準備しておくことが必要だと思いました。自分が思う教員像から、教育相談、生徒指導、学級経営など、自分が答えたいことを、この年実際に行って、面接時に思い出せるようにしました。結果的に、前年よりも学級経営を積極的に行う自分がいました。教育相談もいろいろ勉強して試して、生徒に寄り添うことができました。

 一次試験に合格し、私は初めて二次試験に挑みました。毎日上高先生から質問が届くようになりました。質問項目をWordに打ち込み、自分が実際に生徒に接している様子を思い出しながら答えを打ち込む日々でした。準備してきたものをしっかり文章に組み込むことができ、さらに前年度はイメージできなかった、自分が面接官と話している姿もイメージできて、本番を想定した準備ができたのでは、と思います。Wordに打ち込んだものはファイリングしてまとめていました。

受験調書

 受験調書も、自分がアピールしたいことはすべてやってきました。だから、嘘偽りなく書くことができました。私は嘘をつくことが苦手なので、面接で誇張しようとすると失敗する未来が見えていました。だからこそ、書きたいことは実際やる、と決心して今年一年過ごしました。
 本番の面接でも、面接調書に書いてあることを深掘り質問されたので、誇張して書いたものだったら私は完全にアウトだったと思います。ありのままを書いたので、面接官と楽しくやり取りすることができました。

模擬授業

 模擬授業では、上高先生、初任研指導員の先生、国語研究会の御三方にご協力いただきました。私の中では、上高先生の2回の模擬試験を本番だと想定して、初任研指導員の先生に3回、国語研究会のみなさんに3回、あとは学校で3回見てもらいながら授業を積み上げ、調整していきました。初任研指導員の先生に、指導案を作るとよいと言われたので、指導案作成から始めました。指導案があってよかったと思うことは、身につけたい力が可視化され、授業作成のときにズレていかない、評価が整理される、単元計画の見通しが持てるというところでした。模擬授業の後に模擬授業についての面接があるので、その際に頭が整理されていると混乱せずに答えられると思います。

 課題提示があってから3日後には毎日本番同様のタイムで一回通しをしました。変更作業で中途半端な授業のときも欠かさず行いました。毎日本番同様に行うことの利点としては、思考しているのと実際行うのではギャップがあることを確認できるということです。気づくのが早ければ早いほど、軌道修正が迅速に行えます。私も、この毎日の本番の中で、たくさんの課題とよい発見がありました。全部完璧にして練習を開始したい気持ちもあるかと思いますが、問題点の発見は実際にやってからでないと見えてきません。それが遅いか早いかでメンタル面も変わってくると思います。予期せぬことは突然やってくるので、その予期せぬことが起きても対応できるように、余裕をもって計画し、最低でも上高先生との最後の模擬面接までには、本番同様の模擬授業を準備しておいた方がいいと思います。そして、なんといっても毎日本番同様に通しを行うことで、経験値がすごく伸びます。場慣れはしておいて損はないです。
 模擬授業を見てもらうときは、毎回本番同様のスーツで行うことにこだわりました。服装も準備のうちです。本番同様の髪型、スーツで挑むことによって予期せぬハプニングに事前に出遭うことができます。私は黒板に貼り出すものが多かったので、スーツでどこまで手が伸びるかなどを確認する必要がありました。貼り出し方や袋からの取り出し方も何度も練習しました。この微調整を本番同様の練習で行うことでスーツが身体に馴染み、本番は安心して挑むことができました。

最後に

 一次試験の勉強では、実力がなかった私を上高先生は最後まで見離さずに支えてくださいました。途中で体調が悪くなってからも、面談でたくさん相談に乗っていただきました。そのおかげで、体調のせいにして甘えていた考えを払拭することができ、勉強に向き合うことができました。どんな理由があろうと、結果は合格か不合格、どちらかしかない。私は合格するために塾に通っている。そう言い聞かせて、日々過ごすようになりました。
 教師である私は、仕事では子供たちのために全力を尽くします。塾でやっと、自分のために頑張ることができます。そこに喜びを感じていました。そしてさらに無敵の上高先生と、尊敬できる塾生のみなさん、こんな素敵な環境で学べたことにとても感謝しています。ありがとうございました。
 二次試験は、人柄が出ます。本番で見せたい人に普段からなることが大切です。私はそれをモットーとしてきました。理想は、行動しなければ、理想のまま終わってしましますが、行動さえすれば、理想に近づくことができます。それは気持ちがあれば案外難しいことではないと思っています。
 気持ちが入りすぎて長々とした体験記になってしまいましたが、「自分はできない」「理由があって勉強がきつい」と思っている方に届いたらいいなと思います。