2024年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校・国語

1. はじめに

年度 1次試験 2次試験
順位 専門 教養 順位 模擬授業 得点
令和5年度(大学4回生) 18位 125点 58点 1次不合格
令和6年度(入塾・大学院1年次) 5位 122点
+15点(特支)
66点 1位 52点 174点

 私は、2回目の受験で一次・二次ともに合格しました。1回目の受験は県外の大学に在学中だったため、情報も得られず、同じ自治体を受験する仲間もおらず、十分に対策もできないまま本番に臨みました。その結果一次試験は不合格でしたが、順位的にはもう少しのところにいたため、来年は絶対に合格したいと思い、10月頃に沖縄教員塾に入塾しました。
 沖縄教員塾への入塾は、一次試験時に会場校門付近で配布されていたチラシを見たことがきっかけです。国語のオリジナル教材があり、沖縄県の教員採用試験に特化していたことや、県外にいても受講できるという点が魅力で、入塾を決めました。上高先生は、私の学び方に合わせた指導をしてくださり、教員採用試験以外にも沖縄のこと、学校のこと、社会のことなど様々なことを教えていただきました。本当に感謝しています。
 私は大学卒業後、臨任などせずに、沖縄県内の大学院に進学して受験しました。また、9期は通信添削のみでの最初の合格者でもあります。学生や県外の方をはじめ、教員採用試験の受験者、教員塾の入塾を考えている方々に参考になれば幸いです。

2. 一次試験について

〇専門と教養の学習時間のバランス

 専門と教養の割合は、8:2のバランスで取り組んでいました。1回目の受験では特に教職教養に力を注いでおり、書店に売っている参考書を使ってひたすら暗記をしていました。教職教養は、何も分からないところからのスタートだったので、覚えれば覚えるほどすぐに点数が上がっていき、勉強したという実感が得られたからというのが一番の理由です。しかしそのせいで専門にかける時間はとても少なく、どちらも中途半端で効率の悪い勉強法だったと思います。入塾してからは、上高先生から専門に時間をかけるよう教わり、ほとんどの時間を専門に充てていました。

〇専門国語の対策

 専門の教材は週に1度郵送されてくるので、答案をスキャンしてメールで送り、その後上高先生からメールや電話、zoomを通じて、解説をしていただきました。過去問題や模擬テストでは、各分野の解く時間を決めて、時間内に解けるよう(理想は見直し5~10分残す)に意識していました。

(1) 現代文

 意識したことは、以下の3つです。
・時間内に解くこと
・分からない問題に時間をかけすぎないこと
・解いたらすぐに復習をすること
 できるだけ一読で大事な部分をつかめるように、重要な部分に線を引いたり、接続詞や指示語に印をつけたり、キーワードは書き出したりして、効率よくスピーディーに読むことを心がけていました。はじめは時間内に解き終えることに苦戦していましたが、上高先生から「一つの設問に時間をかけすぎない方が良い」というアドバイスをいただき、それを意識するとだんだん解くスピードもあがっていきました。マーク対策だけでなく、大学受験二次試験対策の記述問題(駿台の『国公立標準問題集 CanPass』)にも取り組むことで、自分の中で答えを持ちながら選択肢を選ぶ(二択で迷わない)クセが付いたと思います。上高先生からは電話で、どこで読み間違えているのかを振り返り、私が納得できていない部分を中心に解説をしていただきました。毎週二回漢字テストもあったので、自分が分からない単語は辞書で調べ、自分の語彙を増やすようにしていました。

(2) 古文

 大学受験や大学の授業で古典文法の基礎は学んできたつもりでしたが、忘れていたものも多く、塾の教材でもう一度学び直すことができて、とても良い機会になりました。河合塾の『ステップアップノート30 古典文法トレーニング』で文法を確認し、毎週火曜日の確認テストで自分にどれくらい定着しているかを試していました。文法学習は、高校時代に使用していた桐原書店の『解析古典文法』を活用していました。単語は、演習の中で出てきたものをノートにまとめ、自分なりの単語帳を作っていました。演習後余裕があるときは、解答をした後に品詞分解と現代語訳を行い、古典常識などは『国語便覧』も活用していました。私は特に主語の把握が苦手だったので、敬語や助動詞などを気にしながら読むよう意識しました。

(3) 漢文

 私は漢文がとても苦手だったので、塾の教材「漢文句法まとめ」を繰り返しノートに書いて暗記しました。また、漢文を学習する際には同時に音読も行うことで、重要句法は白文でも読めるようにしていました。

(4) 学習指導要領

 学習指導要領は、3×10の30点と全体に占める割合も大きく、勉強をすれば確実に満点をとることができる問題だと思っています。大事な用語はオレンジのペンで書き、赤シートで隠して何度も読み返したり、塾の教材で演習を重ねたりしました。また、読み上げたものを録音し、その音声と一緒に音読することも行っていました。

(5) 琉球沖縄の文学

 1回目の受験では、琉球沖縄の文学についてインターネットで調べ、自分でまとめていたので、時間もかかり、全てを網羅することができませんでした。そのため、塾の教材がとても有り難かったです。琉球沖縄の文学は、沖縄県教育文化資料センターの『新編 沖縄の文学』で学び、週に2回の小テストで確認していました。沖縄で生まれ育った私ですが、対策をして初めて知る内容も多く、歌謡や組踊などはYouTubeで実際の動画を見ながら頭に入れていました。

(6) 新聞の活用

 上高先生からの新聞の切り抜きを毎週楽しみにしていました。新聞を読むことで社会のことを知ることができ、自分自身の興味の幅も広がったような気がします。また、読むスピードもだんだん上がっていき、現代文も一読で的確に理解することができるようになったと思います。

〇教職教養の対策

 教職教養は、毎週日曜日の午前中にzoomで受講していました。1回目の受験では全てを丸暗記しようとしていたのですが、塾の教材は過去問を踏まえて要点がしぼられていたので、効率よく点数を上げていくことができました。教材にはオレンジのペンで記入し、赤シートで隠して何度も振り返られるようにしました。私は、テスト前などノートまとめをしようとしがちなのですが、そうすると時間がかかってしまうため、ノートにまとめることはやめて、ひたすら書き写したり、YouTubeにある一問一答を何度も聞いたりしながら覚えました。一次試験に近づくにつれ、模擬テストをする機会が増えていったので、自分の得意な分野と苦手な分野を把握することができ、苦手分野を中心に振り返るようにしていました。

〇一般教養の対策

 一般教養は、時間をかけての対策はしていません。過去問や模擬テストで分からなかった分野があれば、解説をしっかり読んだり、図書館に行き中高の教科書を見たりして復習をしていました。

3. 二次試験について

〇受験調書

 一次試験の受験対策の際に、上高先生が「沖縄県が求める教員像」を解説してくださったので、自分に照らし合わせて、強みを見つけたり、これまでの経験を振り返ったりするところから始めました。そして、一次試験が終わるとすぐに受験調書に取りかかりました。まずはノートに、教員になりたいと思ったきっかけや学生時代に取り組んだこと、沖縄県の施策で自分の言いたいことに近いものなどを書き出し、調書を書くための材料集めをしました。自己PR文は、キャリア教育の「かふやみ」を入れながら書いたので、自分の言葉で説明できるように読み込み、取り組みたいことと結びつけて書くようにしました。一次試験の結果が出る前には受験調書は完成させていました。

〇面接
(1) 面接ノート

 一次試験のいじめや生徒指導、沖縄県の施策などの対策は、二次試験にもそのまま役立つ部分だったので、しっかりと読み込みました。面接対策は、上高先生からメールで質問が送られてきて、それに私が回答し、アドバイスをいただくという流れでした。文章で回答を送るのですが、それを丸暗記すると飛んでしまうので、私は面接ノートを作成し、付箋に重要な言葉だけメモをして記録していました。私が文をつくるうえで気をつけたのは、以下の二点です。

  • 「~したいです」「~したいと思います」を多用しない
    →「~します」という言い切りの形にすることを意識しました。
  • 大学受験とは違う、自分の考えを伝えることが大事
    →教員採用試験は「この人がどのような人か」という人柄を見るものだと上高先生から何度も言われていました。私は、これまでの大学や大学院の受験通り、教育論や施策の言葉を入れることが大事だと考えていましたが、そうすると自分の思いが何も伝わらない文になってしまいます。主語を「私」にし、自分の言葉で伝えることを心がけながら文を考えることで、自分なりの思いを持つことができたと思います。
(2) 面接対策

 面接の対策は、とにかく声に出すことを意識し、以下のように練習をしていました。
【面接の文章を読み上げる→付箋に書いた重要な言葉を見ながら文で言う練習→問いだけを見て答える練習】
また、大学院にも二次試験を受験する友人がいたので、一緒に練習を重ねていきました。学生のため現場の先生方との関わりがあまりなかったのですが、高校時代の恩師やその知り合いの先生に面接対策をお願いし、場数を踏むことで緊張せずに自分の言葉で話せるように練習しました。上高先生とは、zoomを使ってオンラインで面接をしたり、対面での模擬面接が何度かありました。そこで、早口になったり、手振りをしてしまったりする癖があると上高先生に指摘していただいたので、その部分を直すために動画を撮ったり、録音したりしていました。
 場面指導は、HR目標と結びつけること、全体へ投げかけてやり取りを行うことを意識して、どんなお題が来ても対応できるようある程度型をつくっていました。

〇模擬授業

 今回の課題は言語文化の【読むこと】の部分だったので、高校の教科書を複数社集めて比較したり、高校時代の恩師や教員塾の先輩方からアドバイスをいただいたりして授業づくりを行いました。6分間しかない模擬授業ですが、模擬授業後の質問もあるため、指導案の細案を作成しました。現場経験がないため(実習も県外で行ったため)、私の高校時代を思い出しながら対象とする生徒像を決め、単元計画や評価規準・基準、パフォーマンス課題や単元をつらぬく問いなども設定しました。はじめは台本を作っていたのですが、数をこなすことで自分の中に入っていき、目の前に生徒がいるような気持ちで挑むことができました。
 大学院の教授や恩師の先生に紹介していただき、校長先生や他教科の先生、小・中学校の先生などいろんな人に授業を見てもらいました。人によってアドバイスが異なるため、はじめは迷うこともありましたが、最後は自分が良いと思ったものをするという軸を決めることで、取捨選択しながら練習を重ねることができたと思います。

4. 生活について

 私は、大学4回生から大学院1年生にかけて、2回目の受験をしていました。大学時代はほとんど授業がなく、アルバイトと卒業論文だけだったので、比較的余裕があり、勉強時間を確保することができました。大学院入学後は、毎日1~4限まで授業があり、週に1度実習もあったので、できるだけ早く課題を終わらせ、夜遅くまで大学の院生室に籠って勉強をしていました。通信添削は、自分の都合の良い日時に解くことができ、提出日が決まっているのでサボることもなく、私にとてもあっていたなと思います。
 モチベーションを保つために、勉強した時間や量を可視化するアプリ(Studyplus)を活用していました。また、スマートフォンを使いすぎないように、設定でアプリの使用時間の制限をしていました。5月頃、忙しさやプレッシャーから精神的に辛くなっていた時期があったので、食事の時間は自分の好きなドラマを見たり、大学院の同期と話す時間をつくるなどをして、気分転換をしていました。

さいごに

 私は、沖縄教員塾に入塾し、対策を行う中で、一回りも二回りも成長することができたと感じています。それはただ単に知識をつけたからだけではなく、自分の中でどんな教師でありたいか、生徒のどんな力を伸ばしていきたいかという教育観の軸を持つことができ、自分に少しだけ自信を持てるようになったからです。上高先生には、試験対策だけでなく、教師として、人として大切なことを教わることができました。上高先生をはじめ、大学院の先生や高校時代の恩師、塾の先輩方、大学院の同期、そして家族など様々な方に支えていただき、得られた合格だったのではないかと感じています。本当に感謝しています。
 大学時代の私は「現場経験がないからどうせ受からない」と言い訳ばかりで勉強を疎かにしていました。しかし、同じく現場経験がない今の私でも、合格することができました。学生でも、しっかりと対策をして自分なりの考えをしっかり持っていれば、合格できると思います。若さやフレッシュさ、生徒からの親しみやすさ、これからの成長など、学生だからこその強みを武器にして、頑張ってください。応援しています。
 最後まで読んでくださり、ありがとうございます。私の体験記が、少しでもお役に立てれば幸いです。