2020年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校英語

1. はじめに

 私は高校生の頃から教員を志していました。両親ともに教員であることや、高校を海外で過ごした経験が必然的に「教員になりたい」という思いを生みました。しかし、大学4年次に受験した採用試験では全く歯が立たず、一次試験結果通知を捨てるくらい散々な結果でしたが、全く危機感を感じず、大学卒業後は沖縄に帰って臨時的任用職員として働き始めました。
 最初の学校では、初任研の先生方がいて、試験に受かるためのアドバイスをたくさんいただきましたが、真剣に耳を傾けることもなく臨任生活を謳歌していました。
 しかし、その学校を離れる際に2年間見てきた生徒たちの卒業式を見られないことが本当に悲しくて、ここでやっと「受かりたい! 教員になって生徒の成長を見続けたい!」という思いが芽生えました。
 次の赴任校では、勉強時間を見つけ必死に励みました。その年も1次通過はなりませんでしたが、少し希望の見えた順位だったので「次年度受かる!」という思いでいました。そこから今年合格に至るまでが怒涛の数年間でした。
 次の赴任先はサッカー強豪校で土日祝日休みなく働き、その中で毎日必死に勉強をしました。その年(平成30年度採用試験)1次通過しました。しかし、2次対策が間に合わず落ちてしまいました。次年度も同じ高校で臨任をさせていただきながら合格を目指しましたが、再度2次で不合格となりました。
 そして、今年度は非常勤として働きながら、過年度以上の猛勉強の末、最終合格という結果を得ることができました。もちろん自分の今までの蓄積、努力によって合格に近づけたことは言うまでもありませんが、それ以上に家族、お世話になった先生方、上高先生のおかげで今回の結果があると思いますし、これから教員として生徒を支えていくという決意がより強固なものになりました。
 長々と述べてきましたが、以下に私が今年度最終合格までにやってきた勉強法や考え方を記します。これから採用試験合格を目指している皆さまの参考になれば、と思います。

2. 1次試験について

 1次試験に通るためには①時間、②量、③気持ち、の3要素が重要だと考えています。具体的に言うと、勉強時間を確保すること(①時間)、とにかくやりこむこと(②量)、1番を目指して頑張ること(③気持ち)です。

●一般教養・教職教養
[一般教養]

 あまりやっていません。新聞(上高先生推奨)・ネットニュースは毎朝必ず読むようにしていました。

[教職教養]

 沖縄教員塾のテキストやチェックテストをすべて必ず解きましょう。去年まで別の予備校に通っていましたが、そことは比べ物にならないくらい沖縄教員塾のテキストは整理されていて的が絞られていたので、全幅の信頼を置いていいと思います。以下でテクニックを少し紹介します。

[教育史・教育心理・教育原理]

 自分なりの覚え方がいいと思います。私の場合はイメージで叩き込みました。例えば、[ケーラー=洞察説]は、ドイツ語でケラーは地下室という意味なので、「ケーラー=ケラー=地下室=暗い=洞窟=洞察説!」や、[弘道館=水戸藩]は「弘道=水道=水関係=水戸藩!」などです。とにかく結び付けやすいイメージを見つけましょう。

[法規・学習指導要領・生徒指導・県施策]

 沖縄教員塾のテキストで出たところを全て実際の文書にマーカーで線を引いて読みました。実際の文書を読むことは文書の雰囲気をつかめるので良いと思います。また何度も問題を解き、文書を読む、を繰り返していると、解いたことのある問題は字面を見ただけで答えがわかるくらいの境地に達しました。また文書を試験のためのツールとして読むのではなく、教師としての自分を想像しながら読むとイメージが掴めますし、よりいっそう気持ちが入ります。

●専門教科(英語)

 1次試験で最も力を入れなければいけないのが専門教科です。勉強の割合でいうと8割~9割専門教科です。沖縄県の採用試験は英検1級レベルかそれ以上のものですし、年々難しくなっています。私は塾には通ってはいませんが、とにかくやりこみました。以下に私が使ったテキストやウェブページを紹介します。
① でる順パス単(旺文社)
② 英検1級長文読解問題120(〃)
③ 英検1級リスニング問題150(〃)
④ 英検1級イディオム問題500(〃)
⑤ 英検1級予想問題ドリル(〃)
⑥ 英検1級集中ゼミ(〃)
⑦ TOEFLテスト英熟語700(〃)
⑧ TOEFLテストリーディング問題270(〃)
⑨ TOEFLテスト集中攻略リーディング(トフルゼミナール)
⑩ 全問正解するTOEFL ITP TEST文法問題対策(語研)
⑪ 全問正解するTOEFL ITP TEST文法問題580問(〃)
⑫ 沖縄県の英語科 過去問(協同出版)
⑬ 思考訓練の場としての英文解釈(1)(育文社)
⑭ CNN, Time, Japan Times, New Scientist (今回このサイトから長文問題が出題された!) などの英語のニュースサイト
⑮ National Geographic, Newsweekなどの英語の雑誌
⑯ TED(リスニング・リーディング用)

 テキストはすべて3周以上やりました。採用試験の英語の問題は、語彙、リーディング、リスニング全てにおいてハイレベルです。とくにリーディングは点数の割合が高いので、重点を置いてやりました。リーディングの際にわからなかった単語はすべてマークしてノートに書き記しました。また採用試験の長文はネイティブのニュース記事、物語、コラムなど多岐にわたるので、英語のニュース記事や文書をほぼ毎日欠かさず読みました。語彙は英検1級をやっておけば何とかなりますが、長文読解はさまざまなタイプを読んだほうがいいと思います。
 加えて、英語資格の加点は非常に重要だと考えています。私は1次通過した過去3回すべてで加点を付けましたし、1次通過者は加点を付けている方が多いです。採用試験の勉強の過程で英語の力はかなりつくのでTOEIC、英検、TOEFLのどれかを受けてみてください。おすすめは比較的難易度の低いTOEICです。
 英語科の指導要領・解説も一通り読みましょう! 今年は小学校指導要領からも出たのでそちらも目を通しておいたほうがいいと思います。私の場合は、過去に出た個所や出そうなところを何度も読みました。

●1次試験得点・順位推移(H29~しか見つかりませんでした)

H29: 教養61点、専門134点(加点なし)→16位
H30: 教養54点、専門132点(加点5)→7位/12名 1次通過
R1: 教養54点、専門130点(加点5)→8位/14名 1次通過
R2: 教養70点、専門138点(加点20)→2位/14名 1次通過

3. 2次試験について

 1次試験終了後や1次合格を待ってから準備するのでは遅いです。お忙しい方もいらっしゃると思いますが、少しでも早く、できれば1次試験の勉強と同時に始めたほうがいいと思います。2次で2回不合格の私が言うので間違いありません。そして、上高先生もおっしゃっているように「1次試験は足切り、2次試験が本番」です。

論文

 今年はコロナ禍で論文試験はありませんでしたが、県施策への幅広い知識が求められるので、時間をかけて対策をしたほうがいいです。県施策を読むことで論文だけでなく、教養試験、面接、模擬授業の対策も同時にできます。私は1回目の2次試験では1次合格まで書きませんでした。2回目は1次試験後から書き始めました。今年は1次試験と並行して数本書きました。沖縄教員塾では、今まで蓄積されたデータからどのキーワードを入れるべきかがわかりやすく示された書類がもらえるのでそれをもとに過去問を解きましょう。上高先生の丁寧な論文添削のおかげで、「今年こそは論文もいい点とれるかも!」と思っていました。

面接調書

 2次試験だけでなく、自分の目指す教師像の根幹をなす非常に大事なものです。上高先生に何度も添削をしてもらいました。そのおかげで自分がどんな教師になりたいか、再度見つめなおす良い機会になりました。

面接

 具体的な対策としては1次試験終了後、過去の面接の質問をほぼすべて書き出してその答えを書きました。両親、上高先生、現在勤めている高校の校長先生と何度も練習しました。面接の心得や模範解答はもちろんありますが、「誰のために教員になるか」を意識することが大事だと思います。面接を見ていただいた方々が共通して言っていた(る)のは「生徒を一番に考えられる教員になりなさい」ということでした。「生徒のために」という強い思いが教員を突き動かすということを学ばせていただきました。これからもその思いで教員生活を過ごします。

模擬授業

 重要だと言われているのは①声の大きさ・スピード、②生徒一人一人を見ること、③笑顔、④課題に正対すること、です。①、②は日々の授業で意識しました。③は個人的に苦手で、無理をすると余計に緊張が増すので①,②を磨きました。④は正対していない人でも受かっているので、やはり①、②、③が最重要なのかもしれません。また、授業づくりをする際には「『問い』生まれる授業サポートガイド」を参考にしました。そして、私は、ありがたいことに初任研の先生方、勤務先の先生方、上高先生、同教科の受験者に何度も模擬授業をみていただき、多くのアドバイスをいただきました。場数を踏み、模擬授業の独特な雰囲気に慣れることも大切です。

4. 生活

仕事と学習

 「採用試験の勉強を理由に授業や業務がおろそかになってはいけないという思い」と「採用試験に通っていないのに教壇に立っている後ろめたさ」のはざまで、毎日心にひっかかりのある日々を送っていました。なので、ここ数年は「スキマ時間」を有効活用して、仕事も勉強も充実させることを意識しました。私の場合は、部活の遠征先にも勉強道具を持って行って、ミーティング後には部屋で勉強するなどしました。どれだけ忙しくても時間は意外とあります。「スキマ時間」を上手に使うことが大事だと感じています。

気分転換

 ストレス解消のために、時間を見つけて釣りやジョギングに出かけました。ずっと勉強漬けはつらいですし、頭もスッキリしません! また面接でも「ストレス解消法」を聞かれる可能性が高いので、なにかしらストレスを軽減する方法を実践していることは良いことだと思います。ただ、一番好きなサッカーやフットサルは毎年4月に入ってからストップしました。罪悪感を持ちながらプレイすること以上に気持ちの悪いことはありません。「すべてが終わったら思う存分やるぞ!」という思いでした。

5. おわりに

 私は、昨年の2次不合格(通算2回目)をうけ、今年度からは上高先生のところでお世話になりました。どの教採対策をしている塾でも、受かる人も落ちる人もいます(割合は知りませんが…)。ただ、私は沖縄教員塾で受講者一人一人への丁寧な指導(厳しい指導)や先生の伝えることを通して、沖縄県の教員になることの大きな責務や、教員としてのあるべき姿を学ぶことができました。
 面接のところでも述べましたが、両親、上高先生、現在の勤務先の校長先生や多くの先生方が共通しておっしゃっていた(る)のは「生徒を一番に考えられる教員になりなさい」という言葉です。過去6回の採用試験では、自分が受かることだけを考えていましたが、今回は「生徒のために」という強い思いをもって臨むことができ、良い結果を得ることができました。また、これまで多くのアドバイスをくれた上高先生を含め周りの先生方、支えてくれた家族、友人には感謝してもしきれません。関わってきたすべての人の存在があったからこそ、今こうして教員としてのスタートラインに立つことができました。これからも初心を忘れずに学び続け、生徒の成長を支えられる教員になるために精進します。
 以上で合格体験記を終わりたいと思います。少しでも皆さまの合格に役立てば幸いです。