平成27年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高校国語

(1)はじめに

 私は、3年間メセナ予備校に通わせていただきました。3年間、専門教科のみを受講しました。以下に、私の一次試験の勉強法と二次試験体験記を記したいと思います。教員採用試験合格を目指す皆さんの参考になれば幸いです。

(2)一次試験・専門教科

 私は、過去に二次試験を受験したことがあり、二回目にしてやっと最終合格することができました。 一次試験を突破(一回目)した年は、4月いっぱいで臨任の任期が切れ、5月以降から試験当日まで1日の半分は勉強という時期を過ごしました。その年はどうにか一次試験を突破できましたが、二次試験では力及ばず悔しい結果となりました。しかし、一次試験を突破できたことで、自分なりの勉強の仕方を掴むことができたような気がします。その要領を工夫し、忙しい中でいかに効率的に勉強できるかということを意識して、臨任をしながらようやく採用試験最終合格することができました。臨任をしながらの受験だといかに効率よく勉強できるかが勝負の鍵です。おそらく、受験生の中には「何を、どのように、どれくらい勉強したらいいのかわからない・・・」、「やらなきゃ!と思うけれど、勉強時間をなかなか確保できない・・・」と感じている方がいるかと思います。そこで、「いつ」「何を」「どれくらい」など、私が実行していた勉強法をできるだけ時系列で具体的に記したいと思います。

専門教科(国語)

 私の専門教科(国語)の勉強は、

  1. 「問題を解く」
  2. 「解答」
  3. 「問題文の中や設問の中にわからない語句があれば辞書(国語辞典、古語辞典、漢語辞典)を引いて調べ、必ず覚える(現代文・古文・漢文)」
  4. 「古文なら問題文を全文品詞分解、漢文なら重要句形のチェック」
  5. 「出典に関する知識、作者名、他の有名な作品などを便覧で調べる(古文・漢文)」

といった流れで勉強していました。問題を数多く解くことに力を入れるというよりも時間をかけて復習し、辞書と便覧を駆使して問題から吸い尽くせるものは全て吸い尽くすというようなイメージで勉強していました。現代文・古文に限らず、わからない単語はとにかく辞書を引くことと、古文では助詞のチェックに力を入れました。なぜなら記述式の問題では、助詞の用法に注意しないと解答できない問題があり、助詞(特に接続助詞)に着目するクセをつけることは、漢文の読解にも活かすことができるからです。

勉強に役立てていた参考書

『古典文法質問箱』著:大野晋、角川ソフィア文庫 →受験参考書ではないのですが、古典文法を知る上でとても勉強になりました。
『漢文法基礎』著:二畳庵主人・加地伸行、講談社学術文庫 →「漢文のことならこれ」というくらい、参考になりました。買って損はないでしょう。
『早わかり文学史』著:出口汪、中継新書 →日本の近代文学の流れをわかりやすく説明しており、文学史が楽しくなりました。

H26年10月頃~H27年7月(一次試験まで)
《H26年10月~H27年3月》

 メセナ予備校に通い、専門国語の講座を受講。週1回程度しか専門教科の勉強はできていませんでした。教職教養の月例テストを活用し、教職教養を中心に勉強していました。

《4月》

 年度初めということもあり、クラス経営や学校行事、授業の準備などで忙しい毎日だったので、思い切って「今月は一切専門教科の勉強はしない」と決め、教職教養の対策をしていました。(教職教養はどんなに忙しくても空いた時間を利用して勉強できるため。それに対して、専門教科の勉強は時間がかかる・・・。)

《5月~6月前半》

 GWからまとまった時間を確保できるようになったため、一気に専門教科の勉強を始めました。まずは過去問(5年分程)を解いて過去問分析から始め、今年はどのような出題になるかを自分なりに予想しながら今後の勉強の計画に役立てました。メセナ予備校で過去に実施された専門教科の模擬試験も参考にして自分の弱点や不安要素を明確にし、そこを重点的に対策しました。
 これまで過去に実施された問題や前年度実施の問題をどのように分析し、どういうふうに対策に役立てたのか具体的にまとめたものを以下に示します。 

~前年度(平成26年実施)の試験を分析~
学習指導要領

 過去の出題を見て、今年度(平成27年度)はおそらく「国語総合」もしくは「古典A」からの出題だろうと予想し、この2科目を重点的に覚えました。自分で対策プリントを作成し、それを活用して対策。しかし、どの科目から出題されても良いように「国語表現」、「現代文A」、「現代文B」、「古典B」も暗記し、それぞれの解説(特に各教科の「性格」)にも目を通して暗記していました。

評論

 例年評論文が出題される分野において随筆が出題。比較的読みやすく、それほど難しい文章ではなかったため、今年度(平成27年実施)はおそらく難しい文章が出題されるだろうと予想。しかし、評論文に関しては特に不安要素はなかったため、これといった対策はしませんでした。(これが落とし穴となり、本番では読みにくく、かつ難解な文章が出題。思うように点も取れず相当ショックを受けました・・・。)

小説

 大城貞俊著の『椎の川』からの出題。随筆と同様に本問も読みやすく、特に難しくはなかったため、今年度(平成27年実施)はおそらく難化するだろうと予想を立てました。私は、小説が苦手だったので、センター対策のマーク式問題集で小説の問題を解いて対策しました。時間内(20~23分)に早く正確に解くことを意識するため、記述式問題集ではなくマーク式問題集を利用しました。

韻文

 短歌・俳句からの出題。韻文の分野は、短歌・俳句と詩とが年度ごとに交互に出題されているので、今年度(平成27年実施)は詩が出題されるだろうと予想を立てました。過去に萩原朔太郎、高村光太郎、茨木のり子が出題されており、北原白秋、中原中也、三好達治、室生犀生、立原道造、石垣りんなどの有名な詩人を中心に、それぞれの代表的な詩集の名前と名詩を便覧で確認して対策しました。また、教科書に掲載されている詩の指導書を読み込んだり、インターネットを活用して青空文庫に掲載されている詩集に目を通したりもして対策しました。

古文

 物語からの出題が続いていましたが、説話からの出題でした。随筆や日記文学から出題されるのでは?と予想を立てながら、記述式の問題集で対策しました。

漢文

 老子や孟子、荘子など代表的な人物の考え方やその人物にまつわるキーワードを便覧で確認し、記述式の問題で対策しました。 ※古文・漢文はなるべく毎日解くようにし、復習をしっかりこなすよう(平均約2時間)心がけた。古語辞典や漢語辞典、便覧などを利用しながら品詞分解、重要語句の暗記、漢文句法、作品に関する知識など、文章題1題につき吸い尽くせるものは全て吸い尽くすつもりで復習しました。個人的には、センター対策のマーク式問題集で対策するよりも記述式問題で対策するのが良いと考えます。なぜなら、教員採用試験で出題される作品は、メジャーな作品からの出題であり、記述式問題集もそのような作品からの作問になっているからです。センター試験やセンター試験対策のマーク式問題集は、マイナーな作品からの出題が多いので、文学史を押さえるという意味でも記述式問題集をオススメします。また、記述式の問題は自分で解答を作成することが求められるので、自分の弱点が浮き彫りになります。本文読解が不十分であれば古文単語、助動詞などの基本的な文法事項の未定着など、自分にとって何が不足しているのかがわかります。まずは敵を知る前に自分を知ることです。

知識問題

 毎年、何が出題されるかわかりませんが、「ここでどれくらい点数を落とさないかで他の受験者との差が付くだろう」と考え、今まで対策していなかった過去を猛反省しました。過去に出題されたもの、メセナの模擬試験で出題されたものは全て暗記しました。第一学習社の便覧を中心に合計3冊の便覧を使用し、漢文の語句、四字熟語、慣用句などノートにまとめて対策。空いた時間を活用して、そのノートを見返して覚えるようにしていました。

沖縄

 『沖縄の文学』から琉歌に関する出題が続いていました。しかし、今年も琉歌に関する出題とは限らないと考え、『沖縄の文学』を全般的に読み込んで対策しました。メセナ予備校実施の模擬試験で出題された箇所などを参考にしながら、本試験でまだ出題されていないところを中心に対策しました。

  どの年度の過去問を解いても、復習の仕方は基本同じで「吸い尽くせるものは全て吸い尽くす」です。辞書、便覧を常に隣に置き、過去に出題されたものは必ず覚えるようにしました。特に知識問題のところは正解だけではなく、選択肢にある語句、作家、作品など問題用紙に書かれてあるもの全てです。

6月後半~試験2週間前まで

 問題を解いて演習を重ねるというよりも今までの自分の分析をもとに出題されそうなもの(詩、『沖縄の文学』、知識問題)を中心に、ひたすら便覧や自作のまとめノートに目を通して対策していました。
 学習指導要領は自作の対策プリントに毎日取り組んでいました。
 学習指導要領は毎年20点分出題されます。180点中の20点はとても大きいです。ここは何が何でも失点することなく満点を取りたいところです。また、二次試験の模擬授業対策にもなりますので、全文暗記するつもりで読み込むことを薦めます。
 現代文は、評論と小説を1日ごとに交互に解いて対策。(評論、小説、評論・・・)
 古文・漢文も、現代文と同様に1日ごとに交互に解いて対策。(古文、漢文、古文・・・)

試験2週間前~試験当日まで

 限られた時間内に解くという感覚を身体に染み込ませるため、過去問やメセナで実施された専門模試(難しいと感じた年度の問題など)をもう一度解きなおしました。学習指導要領、知識問題、『沖縄の文学』などに空いた時間があれば目を通していました。
  私は今回、上記のような勉強法で一次試験を突破することができました。現代文・古文・漢文に関しては、今までの積み重ねや前任校でセンター対策の授業をしていた経験が功を奏し、今まで力を入れきれなかった知識問題や韻文の分野を対策する余裕ができました。得意な分野や苦手な分野は一人ひとり違うはずです。古文・漢文で思うように点数が取れないのであれば、そこをまず克服し、現代文・古文・漢文で高得点を取れるのであれば、知識問題・韻文・沖縄の対策に力を入れるのが無難だと考えます。まずはしっかりと自分を見つめ直し、コツコツと積み重ねることが大事だと思います。

(3)一次試験・教養教科

 メセナの月例テスト(H26年度~H27年度)を中心に対策。平日は毎朝7時頃に出勤し、8時までの空き時間を利用して月例テストを2回分解いていました。試験までに各月の月例テストは最低でも10回は解き、とにかく満点が取れるまで何回も何回も解きました。月例テスト以外にも、分野別に以下のような優先順を付けて勉強しました。

早めに仕上げておいたほうがいい分野
1、教育史・教育心理・教育原理

→そんなに量も多くはなく、確実に点数が取れるため。早めに仕上げて、取りこぼしがないように定期的に見直す。暗記するだけ。

2、教育法規(特別支援の分野も含む。)

→範囲も広いため、一通り学習するだけでも時間がかかる・・・。早めに取り組んで何回も復習することと、穴埋め箇所の暗記ではなく、なぜこの語句が入るのかという根拠も考えながら学習するとミスはなくなる(と考える)。

3、学習指導要領(解説、特別支援の分野も含む。)

→教育法規同様、一通り学習するのに時間がかかる・・・。早めに取り組んで数をこなす。 小学校、中学校、高等学校で共通する文言、異なる文言を意識しながら学習するとよい。 この1~3の分野を仕上げるだけで60点中30~35点は確実に取れる(はず)。

4、生徒指導提要

→毎年出題されるので、まずは第一章の過去に出題された箇所を中心に目を通しておく。 第六章は、他府県では頻出なのでいつ出されてもおかしくはない。 ※実際に平成28年度では初めて出題された。

5、教育時事

→時期的には早めに全国版の教職教養の過去問を一通り解いて、どの答申から出題されているのかを把握する程度でよい。出題の割合としては結構多いので、油断できない。
『教職教養の過去問 (2016年度版 教員採用試験 PassLine突破シリーズ4)』
『小学校キャリア教育の手引き』
『言語活動の充実に関する指導事例集 小学校版―思考力、判断力、表現力等の育成に向けて』
『試験に出る重要教育答申 (2016年度版 教員採用試験 攻略Supportシリーズ1)』
『「生徒指導リーフ」シリーズ』

6、沖縄県に関する問題

→毎年、数題の出題がある。目を通しているかどうかで差がつくので、確実に点数を取りたい分野のひとつ。直前期の詰め込みでも対策は充分可能。

絶対に落としたくない分野
1、教育法規(特別支援の分野も含む。)

学習指導要領(解説、特別支援の分野も含む。) →時間と労力も使うが、毎年出題されることを考えると、この二つはどこが出題されても落とさないようにしたいところ。何回も何回も繰り返して、(数学と同じで答えを)暗記ではなく答えを導く過程を確認すること。

2、沖縄県に関する問題

沖縄県が出しているもの(「にぬふぁ星プラン」や「わかる授業Support Guide」など)は全てに目を通しておくこと。そのときに、過去に出題された箇所はもちろん、自分の中で「他の分野を勉強していて、この文言(言葉)は見たこと無いな」と思うもの(もしくは、選択肢として並べられたときに自分が「これは違うだろう」と思って最初に消しそうな言葉)にマーカーしながら読んでいく。直前に詰め込むというやり方もできるので計画的にやるとよい。二次試験対策(特に小論文対策)にもなるため、一次試験対策のうちから必ず目を通す。

3、教育史・教育心理・教育原理

→毎年10問前後の出題がある。ここを落とすのはもったいない。早めに覚えて、絶対に落とさないようにすること。

4、教育時事

→ここでどれだけ失点を抑えるかで、他の受験者と差をつけられるかが決まってくる?
 教職教養での得点8割(48~50点)と9割(54点以上)の差は、教育時事でつくだろうと考える。
 上記のように、教職教養の分野に優先順位をつけ、さらに「定期的に見直すもの」「詰め込みでも対策できるもの」に分けて勉強しました。優先順位をつけることで、空き時間の長さによって「何を勉強したら良いか」、「何をいつまでに終わらせられるか」など計画的かつ効率的に勉強できました。教職教養はいかに効率よく勉強し、専門教科の対策に力を注ぐことができる時間をどれだけ作れるかが勝負だと思います。専門教科だけで勝負するよりも教職教養でもしっかり点数を取ることが一次試験突破の鍵だと考えます。
 平日は、「定期的に見直すもの」を出勤前の空き時間や就寝前のちょっとした時間を利用して問題を解いたり、目を通したりして毎日勉強するようにしていた(実際、毎日はできませんでしたが・・・)。休日のまとまった時間に「詰め込みでも対策できるもの」を一気に詰め込み、試験直前は「詰め込み」のものだけに目を通していました。

定期的に見直すもの 教育法規(特別支援の分野も含む)、学習指導要領(解説、特別支援の分野も含む)

詰め込みでも対策できるもの 沖縄に関する問題、教育時事、生徒指導提要(特に第6章)

 教職教養は、勉強すればその分点数に反映されます。今まで専門教科しか勉強せず、トータルでの点数があまり伸ばせなかったという方もいるかと思いますが、教職教養でもしっかり点数が取れるようになれば一次試験を突破することができるはずです。隙間時間やちょっとした空き時間を有効に使い、なるべく専門教科の勉強時間を確保するようにしたほうが効率的だと考えます。臨任をしながら採用試験を受験するという人は、年度を跨ぐ前に早めに仕上げておいたほうがいい分野から取り組んでみてください。4月からは絶対に落としたくない分野で確実に点数を取れるように、定期的にメンテナンスをしていくイメージで取り組み、最後まで専門教科の勉強時間の確保を優先したほうが良いでしょう。
 個人的な意見ですが、国語という教科は点数が伸びにくい教科だと思うので、「専門だけ勉強」して「専門だけで勝負」するのではなく、教職教養でも点数を確実に取りにいったほうがトータルで点数が上がる(一次試験突破に近づく)と思います。

 私なりの勉強法が、皆さんそれぞれに合った良い勉強法が見つかるきっかけとなっていただければ幸いです。ぜひ、参考にしてみてください。

(4)二次試験

自己アピール文

 一次試験が終わってすぐに書き始めました。本県の課題である「確かな学力の向上」を念頭に、自分自身の強みや個性を表現できるよう意識して書きました。上高先生や勤務している学校の管理者、先輩教師に相談し、添削してもらい仕上げていきました。

適正検査(YG検査)

 特に対策はしていません。

論文

 論文の対策は一次試験の合格発表後から対策を始めました。メセナ予備校の二次試験対策講座での論文添削と、大学時代お世話になった先生にも添削をお願いして対策しました。1日1本仕上げることを目標に書いていましたが、最初の頃はなかなか書けずに1本仕上げるのに2日かかっていました。「学力向上」に関するテーマ(4~5題)を仕上げ、その他にも「特別支援教育」、「家庭教育」に関するテーマを書きました。
 私は過去に二次試験を一度受験していたので、当時書き上げた論文や資料のストックが活かされ、過去の自分に本当に助けられました。
 今年の小論文のテーマは、前年度、前々年度のような明記型ではなく、試験時間も60分から75分になっていました。落ち着いて課題文を読み、何が問われているのか自分なりに考え、今まで書いてきたことを柱にして書きました。
 【別紙資料】が配られ、「これを読んで、本県の教員としてあなたが取り組みたいことを1,200字以内で書きなさい。」という題でした。このような課題文読み取り型の論文試験の出題が続くかもしれません。

個人面接

 面接の対策は、一次試験の合格発表後から始めました。面接練習はメセナ予備校で2回、勤務校の校長と1回、本番さながらでしてもらい、その後指導と助言を仰ぎ、対策しました。毎日就寝前に『わかる授業 Support Guide』をサーっと全部一読してから寝るようにし、沖縄県の現状や、施策の内容を頭に叩き込みました。面接は二次試験の2日目だったので、1日目が終わった後、二次試験対策期間中に仲良くなった同じ受験者(受験校種、教科は違うが)と一緒に面接練習をひたすらやりました。面接本番ではとにかく「自分らしさ」と「笑顔」を意識して臨みました。自己アピールでは短い時間の中で、いかに試験官に印象を与えることができるかが勝負だと考え、何回も何回も口に出し、練習しました。予想外の質問をされても動揺せずに堂々と自信を持って答えることも意識しました。

模擬授業

 「教材は当日提示」という形式になってから2年目です。まずは、学習指導要領と解説を読み込み、「どのような授業を試験官は見たいのか」というのを考えました。私はこれまで「国語総合」を受け持ったことがほぼ無かったので、模擬授業の対策に一番苦労しました。現在勤務している学校や前任校で取り扱っている「国語総合」の教科書を貸していただき、「国語総合」にどのような教材が収録されているのかを調べました。課題文に「中学校の既習事項を踏まえた授業を行うこと。」と明記されているため、中学校の教科書も参考にしながら、中学校段階でどの程度古典に触れているのかも調べました。ある程度下調べした後に対策を始めたため、とても出遅れてしまいました。それからは、先輩教師や教頭(国語)に相談したり、実際に模擬授業を見てもらったりして指摘を受けながら「授業の型」を作っていきました。しかし、なかなか思うように模擬授業の対策がうまくいかず、上高先生からも厳しい指摘を受けました。空き教室を利用して一人で練習したり、中学国語の受験者の方と授業を見せ合ったりしてお互いの良い所や改善点を指摘し合い、とにかく数をこなしました。教材は、中学校でも学習している『竹取物語』、『枕草子』、『徒然草』、『平家物語』、『奥の細道』、故事成語『矛盾』を中心に練習しました。
 模擬授業の対策は決して一人ではできません。先輩教師や仲間である異校種他教科の受験生たちに模擬授業を見てもらい、何回も何回も指摘しいただいて改善・修正していくことが必要です。本番では、自信を持って面接と同様「自分らしさ」で勝負です。教師が面白くなさそうに授業をすると、生徒も当然面白くありません。生徒たちは教師を見るプロです。まずは、自分が楽しく授業をすることと、落ち着いてひとつひとつ確実にこなすことです。たった8分間という短い時間の中で受験者の教える技術を見ることはできません。大事なのは、「生徒を前に、普段どのような授業をしているのか」を試験官に見せることです。本番当日になるまで教材がわからないということをワクワクしながら楽しむくらいの余裕がなければ、扱ったことのない教材が提示されたときパニックに陥る可能性もあります。常に心の中に拳一つ分の余裕を持って臨めるように、できることは全てやってください。

(5)おわりに

 私は、教員採用試験合格に向けて本格的に勉強を始めてから4年経ってようやく最終合格を掴むことができました。私も皆さんと同じように試行錯誤を繰り返していました。しかし、どんな時でも自分自身の原動力となるのは「教師になりたい」という強い想いでした。前年度は、「臨任しながらで忙しい」などと自分に言い訳をして勉強を疎かにした結果、一次試験すらも通過できませんでした。その反省も踏まえて今回は自分なりの勉強法を信じて、それを実行し続けることによってどうにか合格できました。これまで私を支えてくれた家族、友人。二次試験対策をしてくださった上高先生はじめ、勤務校や前任校の先輩方。一緒に二次試験を乗り越えた仲間たち。私の教員採用試験合格に向けて協力していただいた皆さんに、本当に心から感謝申し上げます。そして、今から教員採用試験に挑戦する皆さん。本当に狭き門ではありますが、最後まで諦めなければ必ず合格できるはずです。教員採用試験合格がゴールではありません。採用後、生徒たちとどのように接し、どのように生徒とともに成長しているのかをイメージすることが大切です。拙い文章ではありますが、私が伝えられることを精一杯書き記しました。皆さんの合格に近づく一助となれば幸いです。皆さんの夢を応援しています。