平成28年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

 私は、大学四年から今年まで採用試験を毎年受験してきました。今年は中学国語で合格しましたが、昨年までは高校しか受験したことがありませんでした。入塾したのは昨年の9月です。最初は、とりあえず入塾だけはしてみようという軽い気持ちでした。入塾当初はアルバイトをしていましたが、11月に臨任の声がかかり、やっぱり本気で合格したいと思い真剣に勉強しはじめました。今年の4月からは週1回の非常勤講師のみをして毎日塾に通いました。一番の勝因は、仕事を減らして勉強時間を確保したことだと思います。
 4月から一次試験のある7月までは、1日平均10時間は勉強するように心がけて塾に通いました。風邪をひいたり家の用事を頼まれた時も、最低8時間は勉強できるように時間を作りました。理由は、本来は働いているはずの時間を勉強にあてるわけなので、フルタイム8時間働くのと同じ時間以上勉強しなければ、仕事を減らした意味がないと思ったからです。臨任やバイトを辞めたので塾代や生活費を親に借りて4月からは生活していました。親にこれ以上迷惑はかけられないという気持ちも、諦めずに勉強する動機にもなりました。
 一次試験まではとにかく国語の専門に力を入れました。評論や小説は得意だったのでそんなに対策はしませんでしたが、土曜日の記述式の問題の解答解説をよく読んで、減点された理由を整理しました。
 課題だったのは古文と漢文で、勉強時間の7割ぐらいは古文と漢文を勉強しました。できないものは自己流に勉強しても効果は出ないので、上高先生のおっしゃる通りに学習しようと決めていました。昨年欠席が多かったので、まずは塾の授業に追いつきなさいと言われたので塾指定の教材で、動詞の活用や助詞、助動詞、漢文の基本句形など基本を勉強しました。指定教材以外で使った参考書は高校生の時から使っていた古典の単語帳と「漢文マスター」という参考書です。どちらもポケットサイズでずっと鞄に入れて持ち歩いて、暇があれば読んでいました。参考書をたくさんこなすより、持っているもので何度も繰り返し問題を解いたり確認するほうが得点につながりました。こうして授業に追いつくと、次は古文と漢文の読解問題で誤読が多いことに気が付きました。文法は覚えたのになぜだろうと思っていたところ、古典常識や慣用表現、漢文の特殊用語や諸子百家などの知識がとても少ないことが原因でした。これらを重点的に国語便覧などで学習し復習すると、正答率が上がりました。心がけていたのは、記憶を長期記憶として残し、試験本番に知識を引き出せるようにすることでした。古典常識や諸子百家などは絵やイラストも自分でノートに書いてキーワードと一緒に書いて、印象に残るように工夫して覚えました。
 一般教養や教職教養は、他の受験者より勉強時間は少なかったのではないかと思います。配点の割合を考えると専門の国語に力を入れたほうが得策だと考えたからですが、試験本番に何があるか分からないので効率よく学習したいと思っていました。授業中に上高先生が、学習の優先順位を教えて下さったのでまったくその通りの順番で勉強しました。教育法規や指導要領など、絶対に出題されると分かっているものから順に勉強しました。現在私が非常勤をしている学校の、初任研の先生に試験直前にもらったアドバイスも同様で、「絶対に出題されるとわかっているものから学習して、試験直前も教育法規や指導要領の確認をしたほうがいい。」とおっしゃっていました。一次試験は得点率が高い者が受かるという単純なシステムなので、出題頻度が高いものから勉強するのが当然だなと納得しました。合格発表後に「死ぬほど勉強したんだろうね」と周囲には言われましたが、がむしゃらに勉強するというよりは効率よく勉強するように工夫しました。もともとマイペースな性格なので、自分で決めた計画をこなすのはそんなに苦ではなかったです。
 とはいえ、毎日勉強していればそれなりにストレスもたまったのでストレス発散のために読書をしました。古典に関係するものを読めば罪悪感も少ないかと思い、源氏物語や和歌や百人一首に関する本を読みました。塾の本棚に源氏物語関係の本もあるので、借りて何冊か読みました。本だけでなく、『ちはやふる』や『陰陽師』などのマンガを読んで古典常識や和歌の解釈への苦手意識が無くなりました。試験一カ月前くらいには、勉強時間は平均12時間くらいになっていました。疲れて、明日塾を休みたいなと思った日には、コンビニでアイスを買って塾の冷蔵庫に入れて帰りました。そしたら翌日、アイスがあるから塾に行こう・・・という気分になって頑張れました。
 一次試験の勉強は、以上のようにマイペースに勉強しました。そして試験当日は、今年から専門の国語からスタートだったので、問題が配られた瞬間に裏面を透視しました。問題に触れてはいけませんが、見てはいけないという指示はないので、可能な限り目を凝らして透けている文字を読みました。前日には沖縄の文学を学習していたので、透視した時点でどんな問題かだいたい分かりました。頭の中で問題を解く順番を決めて、試験開始の合図とともにすぐに取り掛かることができました。
 二次試験対策は、結果が出る前から塾に行って論文を書きました。もし一次で落ちていても、来年も塾に通えるか分からなかったので、今後のためにも二次対策しておこうという気持ちでした。一次試験の合格発表後は、すぐに面接や模擬授業の練習に取り掛かったので論文を書く時間があまり取れませんでした。やはり発表前から論文は書いておいたほうがいいなと思いました。模擬授業は塾生同士で練習したり、高校で臨任をしている友人に教室を貸してもらって練習したりしました。いろんな人に見てもらえたことで当日はあまり緊張しませんでした。二次試験当日は、とにかく三日間は体調を崩さないようにということだけ考えました。面接と模擬授業の日の朝は、車の中で発声練習をしたり、身なりを整えて資料はあまり見ませんでした。これまでの臨任経験や学習してきたことを思い出して、当日は開き直って思いっきり模擬授業をしました。

 合格体験記を書いていて、ほんとに初歩的なレベルから自分は始めたんだなと恥ずかしくなりますが、できないことを認めて、つまずいているところから勉強し直したことが良かったのかもしれません。入塾したばかりの頃は、教師を続けるか迷っていた時期でもあります。これからの人生をどう生きるか真剣に考えたことが、最終的には勉強を続けるモチベーションになりました。上高先生を信頼して、自分自身を信じて勉強を続けて良かったです。先生には本当に感謝してもしきれません。
 来年は初任研で、これからがスタートです。今回の試験勉強中に、生徒たちにはこんなふうに古典を教えたいなとか、こんな本を紹介したいなと考える機会もたくさんありました。合格したから終わりではなく、今回学んだことは今後の教員生活や授業に活かしていきたいと思います。生徒たちのために何ができるか常に考え、学び続ける教員を目指して精進したいと思います。