平成28年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校国語

1.試験勉強について

【1】学習方法
(1)平成26年4月から7月まで

(ア)使用した参考書等(以下の参考書等の番号は、次の項目「1日の流れ」の番号と同。)
   ☆『国語便覧』第一学習社
①『銀の漢字必須編』、『金の漢字最強編』水王舎
②~⑤『センター試験過去問研究国語』教学社
   『駿台 大学入試センター試験実戦問題集国語』駿台
   『マーク式総合問題集国語』河合出版
   『[入門編] 現代文のトレーニング改訂版』Z会
   『古文上達読解と演習56』Z会
   『漢文道場入門から実戦まで』Z会
⑥『基礎から学ぶ 解析古典文法』桐原書店
⑦『古文単語FORMULA600』東進ブックス
⑧『マドンナ古文常識217』学研プラス
⑨『精説漢文』いいずな書店
⑩『漢文語彙字典』尚文出版
⑪メセナに通っていたときに使用した問題集
⑫『頻出・日本文学史』河合塾
 『即戦ゼミ 入試頻出 新国語問題総演習 改訂版』桐原書店出版社
⑬『新編沖縄の文学』沖縄時事出版

(イ)1日の流れ 
①漢字
 1日それぞれ見開き3ページ分書き取り(3ヶ月で3周する計算)。間違った所はチェックをしておく。
②漢文(13分)、③古文(13分)、④評論(17分)、⑤小説(17分)
 設定時間内に問題を解き、解答する。漢文は句形と単語を確認し、音読。古文は品詞分解、⑦の参考書で単語を確認したあと、音読。
 ※時間設定は、問題文の長さで変更。上記の時間は、センター過去問やセンター実践用の問題のときのもの。
⑥古文文法
 助詞、助動詞、敬語を中心に、何度もノートに書き、声に出して覚える。
⑦古文単語
 漢字の学習と同。
⑧古文常識
 漢字の学習と同。
⑨漢文句形
 参考書、☆(便覧)から句形をまとめた単語カードを漢字の学習と同じように進める。
但し、句形単語カードは3ヶ月で5周する。
⑩漢文語句
 漢文句形学習と同。
⑪短歌・俳句
 漢字学習と同。加えて俳句は、☆の季語のページを眺める。
⑫国語常識問題
(⑫-1文学史、⑫-2同音異義語、⑫-3対義語、⑫-4四字熟語、⑫-5慣用句、⑫-6難読語、⑫-7故事成語)
 漢文句形学習と同。
⑬沖縄関係
 漢字の学習と同。
⑭学習指導要領
 学習指導要領の本文を穴埋め形式にし(学習指導要領のコピーを2部用意し、1部は過去5年間に出題された箇所を年度ごとに色を変えてマーキングしたものと、もう1部は過去に出題された箇所を中心に修正テープで文字を消したもの。)、自分で吹き込んだボイスレコーダーを聞きながら、書いたり声に出したりして確認。

 この年は4月から臨任をせず、自宅で勉強をしました。4月から6月いっぱいまでは、左記の学習をひたすら反復しました。現代文・古典にかかわらずわからない単語は紙の辞書を引き、辞書に線を引くようにしました。二度以上辞書を引いた単語は、ノートに書き取り間違えないように気をつけました。
 7月1日から試験までは、上記②~⑤を過去問に切り替えるとともに、解き直す度に制限時間を短くしていきました。また、①、⑥~⑫の学習で何度か間違ったものだけを繰り返し覚え直しました。⑬と⑭の学習方法は試験まで変えませんでした。二次試験の対策はしていません。

(2)平成26年9月から平成27年7月まで 

 平成26年度実施の採用試験後は、臨任として高校で勤務をしながら、勤務が終わったあと自宅や沖国大図書館で受験勉強に取り組みました。(1)のときのように学習時間は長く取れなくなったので、古文単語、漢文句形、漢文語句、学習指導要領だけは毎日目を通すようにしました。しかし、学習時間の平均は平日1時間、休日2時間でした。この年も二次試験対策はしていません。

(3)平成27年9月から平成28年7月まで

 8月から3月までは臨任をせず勉強に励もうと決め、9月から夜間土日会員として「沖縄教員塾」に通いました。
 3月からは臨任をしながらの勉強となりましたが、隙間時間を見つけて勉強をするようにしました。基本的には、(1)(イ)のルーティンをこなしながら、塾で取り組んだ問題の復習に力を注ぎました。今回は、10月には「面接調書」を仕上げ、12月までに論文4題(9題中)を書き上げていました。

(4)平成28年8月(一次試験合格発表から二次試験まで)

8月1日(月)~4日(木) 施策等を読む、論文を書く、面接過去問の答えを考える、模擬授業の準備
8月5日(金) 採用試験一次試験合格発表  
8月9日(火) 模擬授業の内容が届く(二次試験初日の10日前)
沖縄教員塾模擬1回目
① 12日(金)模擬試験論文       
② 13日(土)模擬面接          
③ 14日(日)模擬授業           
沖縄教員塾模擬2回目
① 16日(火)模擬試験論文
② 17日(水)模擬面接
③ 18日(木)模擬授業

塾、勤務校等での対策を含め、二次試験までに本番形式で行った面接練習5回、模擬授業練習7回、論文試験練習3回。

8月19(金)~21(日) 二次試験本番
 1日目:小論文(75分) 小論文終了後沖縄教員塾にて、上高先生との面接練習。
 2日目:面接(15分程度) 面接終了後沖縄教員塾にて、模擬授業の準備と上高先生との模擬授業練習。
 3日目:模擬授業(構想4分、授業8分)

【2】過去3回の試験対策で工夫したこと、考えたこと

 わたしは今回の採用試験を含め10回受験しましたが、平成26年度実施の試験以前は、ほとんど試験対策をしないまま挑んでいたので、惨憺たる結果でした。そこで一念発起し、平成26年の4月から7月までは毎日10時間以上の勉強を目指して取り組みました。以下に工夫したことを挙げます。
 ①朝6時に起きる。
 ②とにかく机に向かう。
 ③アウトプットとインプットのバランスを取る。
 ④体を動かす。
 ⑤息抜きも隙あらば学ぶ。
 一次試験本番の9時に一番脳が活発に動くように、試験開始3時間前の6時には起床していました。歯を磨いて水を一杯飲んだらすぐ机に向かいます。たとえすぐに勉強に取りかからなくても、とりあえず椅子に座るというルーティンにこだわりました。勉強を始めたころは、すぐに椅子に座ることはもちろん、何時間も椅子に座っていることが苦痛でしかたありませんでしたが、1ヶ月続けると慣れてきます。また、インプットとアウトプットのバランスに気をつけて勉強するようにしました。わたしは五感の中で「視覚」が優位なタイプだと思ったので、目で見て覚えられる単語カードを作成したり、配色や配置に気をつけてノートをまとめたりしました。学習用具を作成することがインプットしたことをアウトプットする作業になります。息抜きは、体を動かすことです。ストレッチをしたり、足踏みをしたりしてリフレッシュしていました。そのときには、『絵で解る琉球王国 歴史と人物』(2011年8月、JCC出版刊)などの「ためになって、面白い」本を読むようにしていました。
 一次試験本番は、問題内容を見て学習指導要領を解くまで5分、評論・小説・古文・漢文をそれぞれ20分ずつ、詩は15分、国語常識・沖縄関係問題は10分で解く時間配分で臨みました。試験前までは、学習指導要領→国語常識→沖縄問題→古文→漢文→評論→小説の順で解いていましたが、試験当日は1ページ目から順序よく解きました。問題用紙をめくる回数が減るのでこちらの方が良いと思います。
 二次試験については、過去2回の一次試験のときには全く対策をしていませんでした。その心構えが一次試験不合格という結果に少なからず影響したと思います。今回は、一次試験の対策と並行して二次試験対策も行っていたので、例年の心持ちとは全く異なり、1次試験はあくまで通過点であるという気持ちで臨むことができたと思います。しかし、一次試験勉強中に対策をしていたのは論文と面接調書だけで、模擬授業と面接の練習は行っていませんでした。特に模擬授業については、試験範囲(分野)が分かるのが二次試験10日前なので、できれば一次試験の対策と並行して行っていた方がよいと思います。面接は、本番までに本番形式の練習を5回(内、「沖縄教員塾」にて3回)は行いました。模擬授業の練習にも言えることですが、校種の違う人と面接練習をすると、違った視点からの指摘がもらえるのでおすすめします。

2.二次試験本番について

【1】小論文 75分

 課題:授業を通して豊かな心を育む方策について(「学校教育における指導の努力点」に引用箇所あり)

序論:
近年の少子高齢化や少年犯罪、自殺等の社会問題と社会を生き抜くために必要な豊かな心について

本論:
柱① 小説教材で育む「豊かな心」 
→登場人物の心情を想像して話し合うグループ学習を通して、思いやりの心を育てる。
柱② 新聞教材で育む「豊かな心」 
→社会問題や犯罪等に関する社説や読者の投稿等を題材にしてディベートをさせ善悪の判断や規範意識を高める。

結論:
本論と課題文を引用してまとめ

 「授業を通して」という課題文の文言により、小説教材と新聞教材を使用した「豊かな心」の育成について論述しましたが、結果はとても悪いものでした。「指導の努力点」にある内容に沿って論述すれば良かったのかと考えていますが、わかりません。

【2】面接 15分程度

 ほとんど過去に質問されたものからの出題が多かったと思います。特にストレスに関する話に多くの時間が割かれました。場面指導については制限時間がありましたが、時間を計っている様子は見られませんでした。明るく、笑顔で、ハキハキと話せば、得点差は開かないと思います。

【3】模擬授業 構想4分、授業8分

 教材:土佐日記 冒頭

目標:
①紀貫之の「試み」について理解しよう。②グループで口語訳をしよう。

指導事項:
「C 読むこと ウ 文章に描かれた人物、情景、心情などを表現に即して読み味わうこと。」

流れ:
1 授業態度、学習用具の確認
2 中学校の既習事項確認のため中学校で習った教材を挙げさせ、ジャンル、成立時代を確認。
3「男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり。」から解ること、不思議に思うことを予習させていると設定し、挙げさせる。→日記は男が書くものらしい、女は紀貫之であるなど
4 当時は日記は男性が漢字で書いていたこと、内容は記録が主だったことを説明。

 指導事項は、〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕と最後まで迷いましたが、授業全体を考えると「C読むこと」の「ウ」の方が適当と考えました。紀貫之によって「ひらがな文学」が生まれたというところまで言いたかったのですが時間切れになりました。緊張で動きが少なかったと反省しました。もっと教室を縦横無尽に動き回ればよかったと思います。机間指導は2回入れました。本文の範読はしていません。

3.合格して思うこと

 「沖縄教員塾」は資料が豊富ですがほとんど活用することができませんでした。惜しいことをしたと思います。また、せっかく少人数制の塾だから、もっと他の人と関わり、協力し合えばよかったと後悔しています。
 採用試験は、自分と向き合うことだと思いました。なぜ高校国語の教師になりたいのか、どんな高校国語の教師になりたいのか、沖縄県の未来を背負う若者を育成するために、自分がどうすべきかを考える時間でした。「合格」を目標にすると、その後が続かなくなると思います。合格はあくまで通過点であって合格した後が重要だという気持ちを忘れず、採用された後どう頑張るかを考え続けることが大切だと感じました。これからも、謙虚に、誠実に、目の前の生徒とその保護者、同僚、自分の家族、教材に向き合っていきたいと思います。