平成28年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校国語

(1)はじめに

 私はメセナ予備校に2年間(小論文のみ1年、専門のみ1年)通い、1年沖縄教員塾でお世話になりました。8回の受験で2度の1次試験合格を経て、今回最終合格を掴み取りました。私の体験が皆さんの参考になれば幸いです。

(2)1次試験・専門教科

 私の専門教科の対策は「自分がどれだけ出来ないのか」をしっかりと受け止めることから始まりました。沖縄教員塾での専門科目では記述問題を中心にしており、答案が返却される度に自分の出来なさ具合に打ちのめされる日々でした。しかし、「自分は必死に勉強しなければ合格できないのだ」と奮起するきっかけにもなっていました。私の試験対策は、まず意識改革から始まりました。以下に具体的な勉強方法を記したいと思います。

<専門教科全般>

 ① 問題を解く
 ② 解答
 ③ 分からない語句や文法の確認(辞書を必ず使用することで語彙力を高めることを意識)
 ④ (古文)本文音読、現代語訳音読→問題を解く毎に2~3回 本文品詞分解→問題を解く毎に1回
 ⑤ (漢文)本文音読、現代語訳音読→問題を解く毎に2~3回
  ※古文・漢文の文法はしっかり確認して微妙な訳の違いに注意した
 ⑥ 出典に関する知識の確認
 手元には必ず、辞書、国語便覧3社、文法書(古文、漢文)を用意して取り組んだ。
 文法書は、実際に学校で使用しているものが分かりやすくて良い。
 以上の取り組みに加えて、3年間同じテキストの問題を嫌というほど解きました。答えは覚えてしまうのですが、その分難易度は下がり、勉強することへの嫌気が軽減されました。また、私は詩歌の分野に苦手意識を持っていたので、『小倉百人一首』(文英堂)をかばんに入れて持ち歩き、通勤時間やちょっとした隙間時間に読んで楽しむようにしていました。

【使用したテキスト】

『読解のための必修古典文法』文英堂
『漢文学習必携 2訂版』京都書房 
『現代文キーワード読解』Z会出版
『センター過去問集』河合塾
『萩野文子の特講マドンナ和歌の修辞法』学研
『ポケット版 実用四字熟語新辞典』高橋書店 

<国語/学習指導要領、知識問題>

 学習指導要領と『沖縄の文学』からの出題で30~40点の配点があります。また、他の問題と違ってある程度の予想ができる分野であるため、確実に得点しなければ合格は難しいと考え、しっかりと対策をしました。
① 学習指導要領
 学習指導要領はすべての文言を覚え、1問も間違えないことが当たり前という状態にしました。普段から目を通すことはもちろん、指導要領の付録にまとめられている部分をコピーして空欄補充問題は数パターン作り、何十回も解きました。ただ解くのではなく、科目ごとの特徴や共通点・相違点を比較することで覚えやすくなりました。
② 知識問題
 『大学入試 国語頻出問題1200』(いいずな書店)や沖縄教員塾で毎回行う豆テストを何度も繰り返し解きました。
③ 『沖縄の文学』高教組教育資料センター
 ここ5年ほどはかならず『沖縄の文学』から出題されており、配点も20点ほどと学習指導要領と並ぶほどの得点源になっています。私は、この分野も1点たりとも落とさないと決めて、すべての項目に関する解説部分を覚えました。試験前の2週間はひたすら自作の『沖縄の文学』空欄補充問題を解くことで記憶を確かなものにしていきました。

(3)1次試験・教養科目

 教養科目は沖縄教員塾の授業で配布されたものを確実に解くことを積み重ねることで対策をしました。
 教養科目の出題範囲は広いため、がむしゃらに勉強をしても効率が悪く、得点にも繋がりません。塾で出題の頻度を示されたので、それに則って出題頻度の高いものから確実に得点するつもりで学習を進めました。6月からは、各分野の演習問題を繰り返し解きました。私が特に心がけたのは、間違えた箇所は解答を見て確認すること、加えて、必ず出典の確認を行いました。学習指導要領なら『学習指導要領』、教育法規であれば『教育小六法』、生徒指導に関することであれば『生徒指導要領』『生徒指導リーフ』などです。自分で問題になっている箇所の前後の文脈や項目を確認し、単独ではなく体系立てて覚えることを意識しました。
 また、一般教養はメセナ予備校で使用していた月例テストや確認テストを3巡程度解きました。ニュースや新聞、県のHPなどにも毎日目を通して情報を取りこぼさないようにしました。
 私は学校に勤務しながら採用試験を受験していたので、各教科の先生方に質問をして理解するようにしました。(特に社会、数学、理科の先生方にはお世話になりました。)英語長文は英検準2級程度の問題が出ているのではないかと予想して、英検対策のテキストを使用していました。(『文で覚える単熟語』(旺文社)というテキストはまさに分量、問題レベルが一致していたように思います。)
 その他にも沖縄県が出している教育施策資料には必ず目を通していました。特に『わかる授業Support Guide』『不登校対策リーフレット』『学校教育における指導の努力点』『信頼される学校づくりをめざして』は2次対策にもなると考えてしっかり読み込みました。実際に今年度の論文は『学校教育における指導の努力点』の「豊かな心の育成」から出題されています。
 以下に大まかな試験までの流れを記します。

10月〜12月 教職教養基礎学習(塾のテキストを必ず毎回終わらせる、理解できていない箇所の確認)
1月〜5月 塾のテキストを使用した復習(暗記中心)
5月〜7月 演習問題を繰り返し解く(間違えた箇所には×印、2回以上間違えたら付箋、3回以上間違えたら2色付箋でマーク)
7月〜試験直前 3回以上間違えた問題のみ繰り返し解く

 少なくとも6月までには自分が苦手とする分野を把握して、試験までに対策する必要があります。そのために付箋紙などを活用するのは、私の勉強方法に合っていました。

(4)2次対策

① 論文対策

 私は論文の対策が遅れてしまい、沖縄教員塾で出された課題をすべて行うことができませんでした。そのために、今回の試験で論文の点数が低かったのだと理解しています。論文対策では本来なら1次試験までに10本は論文を完成させた方がいいと言います。私は、それを実行することが出来ませんでしたので、苦手とするキャリア教育分野や道徳教育分野などに力を入れて論文を仕上げていきました。また、上高先生にはもちろん、勤務校の校長や進路部長、同じ国語科の先生方にも添削をしていただきました。多くの方に添削していただくことで、絶対に1日1本~2本は書かなければならない状況を作り出して強制的に書くようにしていました。論文では、具体的なデータ(不登校の児童生徒数の推移、いじめの認知件数、高等学校の中途退学者数など)を出した方が良い場合があるので、最新の数値を調べておくと良いと思います。

② 模擬授業対策

 2次試験の模擬授業では、2次試験前に科目や対象学年が示されます。実際に扱う教材は、当日、教卓の上に置かれているため直前まで分からないという状態です。私は昨年も2次試験を受けていましたので、度胸を養うつもりで準備が出来ていなくても積極的に模擬授業を行っていました。知っている教材数を増やしたり、大まかな授業案を作ったりはしましたが、すべてパターン化してしまって、細部まで作り込むことはしませんでした。授業案も提出することはないので、板書計画をノートに書き、その下に指導の留意点や評価の観点、学習指導要領との関連を書き込むという形にしました。
 また、塾での模擬授業に加えて、勤務校で国語科や他教科の先生方に授業参観をお願いし、ご意見をいただきました。特に他教科の先生方からは目標の示し方や、国語科の教員同士では気づけないような細かなご指摘をいただき、参考になりました。国語科の先生には今年度の対象学年である1学年担当の先生に実際の授業を見せていただくなどして、対象学年のイメージを固めていきました。
 最後に私が模擬授業において大切にしていたことは、大きな声、明るい表情、丁寧な板書、朗々とした音読、という4点です。たった8分間の模擬授業でいかに自分が教員として優れているのかを示すかということを考えたとき、授業力があることはもちろんですが、上記4点をアピールした方が効果的だと考えました。自分のアピールポイントをしっかり把握しておくことも模擬授業の対策になると思います。

③ 面接対策

 面接対策は塾でいただいた2次対策資料の質問事項に1つずつ答える形で対策をしました。ただし、志望理由や理想とする教員像、沖縄県の教員として何をしたいかという核となる質問事項は1年かけてじっくり考え、暗記してしまうことをおすすめします。
 また、面接では場面指導があるため、具体的な場面を数パターン設定しておくと当日慌てなくていいと思います。私が行った対策ではありませんが、昨年合格した知人は、面接練習の様子を動画として記録し、自分の話し方の癖や姿勢を正す参考にしていたそうです。

④ YG性格検査

 特に対策はしていません。

(5)さいごに

 「(2)1次試験・専門科目」に述べたとおり、私の試験対策は「自分の出来なさ具合を認識する」ことから始まりました。本格的に試験勉強をするようになって感じたことは、「本気で試験を受けている人間は半分もいない」ということです。本気で試験勉強に取り組んでいるのは50人程度だと思います。そのため、1次試験で50位くらいまでは簡単に順位を上げることはできても、それ以降は苦しい年が続くと思います。私も10位から15位くらいを3年ほどうろうろしました。
 終わりの見えない試験勉強は大変に辛いものでしたが、それでも諦めなかったのは家族の支えと、どうしても教員になりたいという強い気持ちがあったからです。昨年の2次試験で不合格だったことは私にとって大きなショックでした。しかし、上高先生からの「いつかは合格できる」という言葉を信じてこの1年間も勉強を続けることができました。あなたが合格するまでに何年かかるかはわかりません。しかし、「絶対に教員になりたい」という気持ちがあればいつか合格できます。ただし、「やらねば落ちる」が教員採用試験です。やってください。がんばってください。心から応援しています。