2020年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

1. はじめに

 有難いことに私は大学卒業後、すぐに臨任として教壇に立つことができ、何年も「教材研究をしっかりやれば、採用試験の勉強にもなる」と自分に言い聞かせてきました。しかし、臨任の話がなかった時に、改めて、自分の置かれた環境がいかに不安定なものか思い知り、沖縄教員塾に入塾しました。入塾したものの私は沖縄教員塾の勉強についていけず、一度塾を辞めました。その後、自分で勉強をしていましたが、去年の一次試験で全く手ごたえを感じることができず、一次の結果発表を前に、上高先生に入塾希望の電話をしました。入塾してからも仕事との両立や体調管理ができず、授業の内容についていくだけで必死でした。そんな私の勉強方法が参考になるかわかりませんが、この一年取り組んだ内容を伝えたいと思います。

2. 一次試験

・一次試験は、専門教科9割、教養1割のバランスで学習を進めました。
・使用教材は、塾の指定教材や配布資料、豆テストがほとんどです。

(1) 専門教科
① 指導要領

 塾の豆テストを繰り返し声に出して読んでいました。また、私はもともと高校を受験していたので、高校の指導要領の内容と関連付けて覚えるようにしていました。

② 沖縄の文学・国語常識

 塾のテストを中心に勉強に取り組みました。間違った問題は解説を繰り返し読み、『沖縄の文学』や国語便覧を使用して、理解を深めました。また、短期間で成果が出やすいとの周りからのアドバイスもあり、試験直前には復習時間を増やしました。

③ 現代文

 時間配分を意識して、問題に取り組みました。評論では接続詞とキーワードを、小説では心情表現に特に注意して読むようにしていました。問題文の余白は、各段落の見出しのようなものを書き、内容合致問題や、段落関係の問題などに役立てました。また時間内に解き終わることを絶対条件として、悩む問題があったとしても1分かかったら次の問題に取り組むようにしました。要約を提出することはできませんでしたが、模範解答と自分が問題文に線を引いた箇所を確認し、大きなズレがないか、読み落としがないか確認するようにしていました。

④ 古文・漢文

 塾の指定教材や確認テスト、「漢文句法まとめ」と中心に学習しました。解き終わった問題は何度も音読しました。音読しながら単語の意味や、文法、句法が頭に浮かぶまで繰り返しました。私は文法が苦手だったので、漫画や小中学生向けの本を読むことで、古典のいろいろな作品に触れ、大まかな内容や人物関係などの理解に役立てました。通勤中には『速読古文単語CD対応』(Z会)を聞いていました。

(2) 教職教養・一般教養

 教職教養は塾の教材を中心に学習しました。教材の最初にある出題分析を確認し、優先順位に従って取り組みました。学習時には「引用集」と『教育用語の基礎知識』を持参して理解を深めるようにしました。試験の直前には、模擬テストのみ何度も確認をしました。一番力を入れたことは、授業で上高先生の解説やエピソードを集中して聞くことです。人物の人生や、塾のOBOGの方が取り組んだことを聞き、理論と実践を繋げて学ぶことができると思いました。一般教養は、模擬テスト後に解説を読む程度でした。

3. 二次試験

(1) 面接

 一番辛かったのは面接調書を書き上げることです。これまで漠然と「教師になりたい」としか考えていなかった私には、「なぜ沖縄県の教員なのか」「なぜ中学校なのか」という質問に対して、自分の言葉で書くことが本当に大変でした。
 面接は、面接調書の内容や言葉からの質問に始まり、答えた内容にさらに質問してくるという感じでした。自分の答えた内容を深く掘り下げられて行くため、話や伝えたいことがブレないようにするために、考えを暗記するのではなく、どの質問がきても自分の考えに繋げられるようにすることを意識しました。本番は「相手に伝えること」を大切にし、自分の言葉で話すよう心掛けました。

(2) 模擬授業

 上高先生との模擬授業練習はボロボロでした。「改善点だらけです」と言われたほどです。今年の二次試験は、授業内容とともに、私が教壇に立っている様子をいかに面接官に具体的に見せることができるかがポイントだったと思います。そのため、上高先生のアドバイスをもとに、授業の流れが具体的に伝わるような掲示物を作り、授業の流れが目で分かるように工夫しました。特に一番大変だったのは、「誰も反応しない空間で、大きな声で、授業をする」環境に慣れることでした。早めに取り組み、他教科や管理者、職種の違う友人など多くの人に見てもらうことが大切だと思います。練習を繰り返すことで、発問のタイミング、間の取り方、生徒の発言を聞く姿勢、目線の動きなどを、自分のクセを知り改善することができました。本番は、とにかく「笑顔で ハキハキした声で 挨拶をする」ことだけ最後に確認しました。

4. 生活

 仕事を優先しました。授業に出席できたときは復習に時間を割きました。授業がない日は、過去問の現代文1題と古文・漢文のどちらかを取り組みました。時間配分に慣れること、本番の文章の長さになれることを意識しました。通勤時にはCDで古文単語を聞き、寝る前に漢文句法、朝起きて単語・漢文句法の確認という流れを続けました。
 次に「睡眠時間」を大切にしました。23時には寝て、朝4時から勉強しました。睡眠時間を削ると、勤務中の集中力が落ち、仕事の効率が悪くなるからです。残業をしないためにも、健康を維持するためにも睡眠時間は絶対に守りました。
 そして、帰宅後に自分の勉強だけに集中させてもらえるよう、家族に協力をお願いしました。そのため中途半端が許されず、ほどよい緊張感をもって勉強に取り組むことができました。どうしても勉強に集中できないときは、運動したり、友人と食事をしたり、自分の好きな海を見に行ったりと、リフレッシュをしっかりしました。特に泣ける本を読むことは、頭を勉強から切り離すことができたので、おすすめします。

5. おわりに

 私は10回目の受験でやっと合格することができました。これまで、他の仕事を考えることもありましたが、「教師になって、子どもたちと成長したい」という気持ちがあり、諦めずにここまで来ることができました。沖縄教員塾に入塾した1番の理由は、「情報が得られること」です。自分では得られない情報も、上高先生から教えてもらうことができます。そして沖縄教員塾で一番苦しかったことは「自分の弱さと向き合わされること」です。どんな場面においても「生徒の前に立つべき人か」という厳しい目で見られます。そのたびに、逃げたくなったり、弱音を吐いたりする自分と向き合わされます。自分の弱さを認めたうえで努力を重ねられたことが、今回の結果につながったと感じています。
 これまでたくさんの方々に助けていただきながら、合格をめざしてきました。合格という結果を受けた今は、より一層努力をしなければという気持ちでいます。まだまだ私には足りないところだらけです。採用までの期間はもちろんですが、これからも学びつづけていきます。皆さんにアドバイスできるような学習方法やコツは私にはありません。しかし「今年、絶対に合格する」という覚悟を決めて取り組めば、必ず結果はついてくると思います。諦めずに頑張ってください。