2021年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校保健体育

1.はじめに

 今年、8回目(入塾して3回目)の試験で合格することができました。また、今年は結婚、妊娠と今までと生活が大きく一変した中での受験となり、今年の試験では今まで以上に優先事項を決めて勉強に取り組みました。
 私は「初志貫徹」という言葉を大切に日々過ごしています。生徒の人生の中で大切な中学校生活の3年間に関わるということに、常に責任を持って生徒と関わり続けていました。大学卒業後は、非常勤講師、支援員、臨任(知的学級、情緒学級、通常学級)と毎年仕事内容が変化することと部活動の指導で、時間に余裕がありませんでした。必ず採用試験に合格して夢を叶えるという強い思いは、ずっと持ち続けていましたが、なかなか思いと行動が伴わず、採用試験の勉強はほとんどせずに受験していました。気がついたら5回目の受験を終えていました。勉強する時間がない、仕事が忙しいということは言い訳だ。本気で勉強しようと思ったのは、6回目の受験を迎えた時でした。また、採用試験に合格することで中学1年~中学3年までの3年間、見通しを持って生徒を成長させることができることに気がつき、早く試験に合格することが生徒のためになると思うようになりました。また、仕事をしながらの勉強となると、自分で資料を集めたりする時間はないと考え、すぐに塾に通うことを決めました。それぞれに合った勉強方法があると思うので、私が取り組んできたことが少しでも参考になればと思っています。

2.一次試験

 平成31年の4月から塾に通い、沖縄教員塾で「教職教養」、メセナで「専門」の勉強に取り組みました。入塾してから1回目の試験では、教養:43点、専門:134点、順位:75位でした。入塾して3か月でしたが、今までで一番良い結果となり、地道に勉強を続けていこうという気持ちになりました。教養50点、専門160点を目標にし、日々の勉強に取り組みました。入塾2年目の試験では、結構自信がありましたが、結果は不合格でした。落ち込んでいる暇はなく、まだまだ勉強が足りていないことを反省し、確実に勉強時間を確保することや、どの分野の学習が足りていないかなど分析するなど、勉強方法を見直しました。

【試験結果】

・平成30年(入塾前) 教養;30点 専門:102点 加点: 0点 順位:143位
・平成31年(入塾1年目) 教養:43点 専門:134点 加点: 0点 順位:75位
・令和2年(入塾2年目) 教養:46点 専門:160点 加点:15点(特支) 順位:38位
・令和3年(入塾3年目) 教養:62点 専門:170点 加点:10点(特支) 順位:13位

【一般教養】

 基本的には勉強していませんでした。模試や演習問題に取り組んだ際には、解説だけでも読むようにしていました。また、沖縄に関する問題は正答率を上げられるように意識して日常を過ごしていました。なので、勉強時間は確保していませんでしたが、日頃から新聞に目を通すようにしたり、沖縄に関する本を読んだり、日頃の生活の中で身に付けられることには意識的に取り組んでいました。

【教職教養】
○学習時間

 入塾1年目・・・週3時間(塾の時間)それ以外に余裕があるときは追加して取り組みました。
 入塾2年目・・・週6時間。教養の点数が伸びていなかったので、塾の時間だけでは足りていないことに気がつき、塾での3時間と他に3時間程度を必ず確保するようにしました。

○学習方法

 私は、塾の時間が教養の学習時間のほとんどを占めていたので、授業の時間をいつも大切にしていました。授業で指示された課題をこなし、それに加えて引用集に学習した内容に印をつけ、授業以外の時間で読み込むようにしました。また、授業の際に上高先生が学習の重要なポイント等を伝えてくれるので、それをメモしたり、自分の学習プランを見直したり、今何をするべきか常に考えるようにしていました。
 基本的には、塾の教材を活用して学習しました。過去問の出題された箇所、模試や演習問題で出題された箇所、出題可能性のある箇所、問題集で穴埋めになっている箇所等をすべて引用集の文章に暗記マーカーで印をつけて、重要な部分を隠して何度も読み込んで暗記しました。その時に注意していたことは、隠している言葉だけ暗記することがないようにしていました。全体的に暗記というよりは文章を理解しながら読むように心がけることで、試験時に選択肢の中から正解を当てることができるからです。入塾して1年目はとりあえず暗記するという学習の仕方をしていたので、読んだことのある条文や文章から出題されても、過去問や演習とは違うところが空欄にされると、ほとんど正解することができませんでした。1年目の反省を生かして2年目から文章全体を理解するように学習することで正答率を上げられるようになりました。

①教育法規

 教育基本法は、週に1回は全ての条文を必ず読むようにし、暗記するのではなく理解するように意識して、確実に正解できるようにしました。
 学校教育法、学校保健安全法は、引用集に載っている条文を中心に学習しました。「学校の設置者」「市町村の教育委員会」「校長」など条文の冒頭にどれが入ることが正解なのかしっかりと理解しました。また、特別支援教育に関する条文は確実に正答できるように、「準ずる」「特別の支援」「特別の指導」など、どの条文にどの言葉が使用されているかを理解するようにしました。
 教育基本法、学校教育法を優先して学習し、その後に残りの法規は読むようにしていました。

②学習指導要領

 特別支援教育に関する内容は確実に正解できるように何度も読み込み、理解するように学習しました。それ以外は、塾の授業と過去問や演習問題で出題された範囲などを読みました。あまり学習時間はかけず、余裕がある時などに取り組む程度でした。

③特別支援教育

 引用集に載っている法規・学習指導要領・学習指導要領解説を全体的にしっかりと学習し、この分野では確実に正解できるように時間をかけて取り組みました。また、特別支援教育に関する文書にも何度か目を通しました。

④沖縄の教育

 「教育の目標」「沖縄県教育大網」「沖縄県教育委員会の求める教員像」を中心に引用集に載っている文書をしっかりと読み込みました。また、県教委文書は二次対策でも重要な文書なので、意識して学習するといいと思います。

⑤教育史・教育心理

 この分野では確実に点数を取れるように学習に取り組みました。言葉だけ暗記するのではなく、用語集などを活用して意味や背景、歴史等を理解しながら学習していくように意識しました。そうすることで、出題の仕方や問題文、選択肢に似たような語群が使われていても間違えることはほとんどなくなりました。

⑥生徒指導

 いじめ対策推進法は確実に正解できるように何度も読んで学習した。生徒指導提要や文書などは過去問や演習問題で出題された範囲の文章を学習しました。

【専門(保健体育)】
○学習時間

 入塾1年目・・・1日2時間は学習するよう心がけましたが、目標を達成できていない日が結構ありました。
 入塾2年目・・・目標をもう少し明確にして、時間の指定をしました。朝5時~6時半、夜21時~23時は学習の時間にしました。1日3時間半の目標を達成できていない日もありましたが、どんなに仕事で疲れている時でも、毎日必ず少しの時間でも勉強机に座るように努力し、勉強しない日を作らないようにしました。

○学習方法

 学習指導要領、ルール、保健、文書等の4つの分野に分けて学習に取り組みました。基本的には何度も文章を読み込んで暗記しました。しかし、確実に点数を上げていくために、教養の学習と同じで、理解しながら覚えていくことに力を入れて取り組みました。
 さらに点数を上げるために自己分析ノートを作成しました。自己分析ノートには、毎回の演習問題等の解答をすべて書き込み、分野ごとの点数、どの問題で間違えているのかわかるようにノートにまとめ、苦手な分野を自分で把握し克服していきました。

10月~1月・・・全体的に読み込んで暗記していきました。
2月~6月・・・全体的に読み込むことに加え、演習問題に取り組み、間違えた問題や知らなかった問題を確認するようにしました。(自己分析ノートを活用)

①学習指導要領解説 保健体育

 出題のおよそ半分は学習指導要領解説からなので、1番時間をかけて取り組みました。1年目はとりあえず何度も読み、暗記する学習をしていました。また、中学校の内容が出題の多くを占めているので、中学校から学習していきました。2年目からは、学習方法を見直し、点数を上げるためにはどうすれば良いか自分なりに分析をしました。まず、出題数の多い「体育理論」「体つくり運動」「保健分野」から取り組んでいきました。1番出題数の少ない「武道」は囲み文を中心に学習するなどポイントを絞って取り組みました。また、1年目はあまり高校の分野を学習できていなかったので、高校の内容にも取り組むようにしました。さらに点数を上げるために、学年ごとの内容を意識して学習しました。「第1学年及び第2学年」「第3学年、入学年次」「入学年次の次の年次以降」ではどう内容が変わっているのか、指導者の目線に立って考え、学年ごとでの言葉の使い方や指導のポイントを意識することで、間違えを減らすことができました。
 出題頻度の高い範囲から学習を進めて確実に点数を上げるようにしていくようにしました。粘り強く最後まで諦めずに取り組むことで点数がどんどん上がっていきました。合格するためには、ほぼ間違えられないので、日々の積み重ねがとても重要だと感じています。

②ルール

 中学体育実技、アクティブスポーツ、ステップアップ高校の教科書を主に使っていました。教科書以外からの出題もあり、「空手」「琉球舞踊」「プールに関すること」などはメセナの資料で学習しました。
 球技からの出題が1番多いので、球技に時間をかけて取り組みました。ルール用のノートを作成し、メセナで取り組んだ演習問題の内容をすべてノートに書き込み何度も繰り返して問題を解きました。また、教科書を読み込むことやノートにルールをまとめるなど自分なりにルールを覚えやすい学習方法を探しながら学習を進めていきました。1番ルールが身につくと思った方法は実際にその競技を行ってみることです。しかし、全競技に取り組んで細かいルールまで身に付けるには、相当な時間がかかるので、実現はできませんでしたが、時間がある方は挑戦してみるととても身になると思います。他にも、仕事の時に、ルールや指導の仕方、技などについて、今まで以上に教材研究に取り組むことで、試験勉強にも繋げられるよう意識しました。

③保健分野

 中学保健体育、現代高等保健体育、高等学校保健体育の教科書を中心に学習しました。学習方法は②ルールとほとんど同じように進めていきました。

④その他の文書等

 「学校教育における指導の努力点」「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」「指導のガイドライン」「スポーツ基本法」を一つのファイルにまとめて、いつでも読めるようにしていました。特に「学校教育における指導の努力点」からは必ず出題されるので、絶対に間違えることのないように確実に暗記しました。

3.二次試験

 一次合格は初めてだったので、二次試験の対策にとても時間が必要でした。今年はコロナの影響で試験日が延期になったことで、準備期間が増えたため、しっかりと準備をして二次試験に臨むことができました。
 私は、模擬授業の対策に8割、個人面接の対策に2割くらいの割合で二次対策を進めました。

【個人面接】

 一次試験が終わった後から、すぐ面接の準備をしました。面接では「質問に対する答え」と「分野ごとのキーワード」の2つのことに取り組みました。
 1つ目の「質問に対する答え」は、塾の二次対策の資料を参考に、質問に対しての答えをノートに書いていきました。分かりやすく、そして実際に経験したことなどを入れて具体的に書くように心がけました。
 2つ目の「分野ごとのキーワード」は、準備してきた文章を言おうとすると相手に私の気持ちがしっかりと伝わらないと思ったので、「不登校」に関する質問内容だった場合は「当該生徒の気持ちを第一に考えて寄り添う」「教育相談担当」「報・連・相」「保護者との関わり方」など分野ごとに伝えたいキーワードや重要なキーワードを絞り込み、確実にそのキーワードは答えるようにしました。(志望動機や自己アピール文は事前に用意してその文章を答えました)
 面接の準備はほとんど1人でできるので空いた時間などで準備を進めていきましたが、そこまで時間はかけませんでした。面接の練習では、管理職や委員会の方々など、今までお世話になった先生方に自ら依頼をし、試験当日までの計画を立てました。塾を入れて4か所で面接の練習をしましたが、今思うことはいろんな方と面接の練習をしていてよかったなと感じています。面接は場の数を踏んだだけ自分の力になり、試験本番では今までの経験とこれからどういう教師になりたいか、私なりに、そして自信を持って面接官に伝えることができました。特に意識したことは、面接官の質問をしっかりと理解し、「何を聞いているのか」「今までの経験や日頃考えていることを分かりやすく具体的に伝える」「自分の言葉で気持ちをしっかりと伝える」ということにポイントを置いて面接に望みました。

【模擬授業】(「応急手当の意義と実際」まとめ・振り返り)

 一次試験が終わってから、課題が提示されるまでに「去年の資料や情報を集めること」「予想問題の模擬授業作成」の2つに取り組みました。私は、職場に中学校保健体育の初任者がいたので、その方から去年の試験の様子や取り組んだことなどを聞くことができました。また、模擬授業の対策は1人では難しく上手く進みません。周りのサポートがとても大きな存在になります。私は、ある中学校の校長先生から指導を受けることができ、試験に合格するために、たくさんのアドバイスを受けながら自分の授業を作成していくことができました。
 課題が出題されてからは、「中学校学習指導要領解説 保健体育」「指導と評価の一体化のための学習評価に関する参考資料(国研)」「問いサポ」を何度も熟読し、模擬授業を作成していきました。最終的に模擬授業の内容が完成したのは二次試験2日前でした。それまで、何度も何度も修正をし、5分間の模擬授業の構想案を練りました。
 授業を作成するなかでまず取り組んだことは「単元計画作成」「指導案作成」「授業プランシート作成」です。50分間の授業をしっかりと組み立てることで、授業の流れを明確に把握し、自信を持って模擬授業を行い、授業後の質問にも落ち着いて自分の考えを伝えることができました。
 授業の構想と同じくらい時間をかけたのが生徒との対話です。「問いサポ」を参考に、めあてとまとめを組み立て、生徒の言葉からまとめの文章を作っていくために生徒との対話を工夫しました。その中でも、私が一番苦労したことは表現の仕方でした。表情や表現に強弱を付けながら実際に生徒がいるかのように授業をしなければいけないということをずっと言われていましたが、なかなか上手くいきませんでした。なので、動画を撮影して、毎回自分で確認するようにしました。
 しかし、それでも上手くいかず不安ばかりでしたが、試験本番では、今までの中で1番いい授業をすることができました。本当に生徒が目の前にいて授業をしている感覚でした。それは、二次対策1週間前ほどから、気持ちの変化があったからだと思います。絶対合格しないと、、、とプレッシャーに押しつぶされそうになっていましたが、周りのサポートのおかげもあり、最後まで諦めず、試験本番で今の自分を出し切ろう、楽しもうと思うことができました。本気で取り組んだ分、自分の自信にも繋がり、試験本番を乗り切ることができました。

4.生活

 臨任を続けながら、入塾3年目に結婚、妊娠と今までの生活から大きく一変しました。それまでは、実家で暮らしていて、母親の協力のもと、勉強時間を確実に確保することができていたので、大幅に勉強時間も減少し、この3年間の中でも1番勉強時間が確保できていませんでした。その中で、合格することができたのは、今までの積み重ねだと感じています。また、一次対策では時間が限られているなかで、全体的に「量<質」と考えて学習を進めていました。時間がなかったと、また言い訳をすることは嫌だと思い、毎日学習時間を確保することはできていませんでしたが、今の状況で私ができることを最大限に取り組もうという思いで忙しいなかでも時間を作り学習に向かっていました。

5.さいごに

 私が伝えられることをたくさん書きましたが、1番大切なことは「必ず教師になる」という強い気持ちで最後まで諦めずに取り組むことだと思います。皆さん、それぞれ自分に合った勉強の仕方があると思うので、いろんな方のやり方を参考に自分なりの取り組み方を見つけ、言い訳をしないことが合格への道だと思います。
 今回、採用試験に合格することができ、周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。特に、上高先生には、入塾時からたくさんの言葉をもらうことで、自分自身を見つめ直し、しっかりと向き合うことができました。
 採用試験に合格して、やっとの思いで教員生活のスタート地点に立つことができました。これからも、生徒のために私のできることをしていきたいと思います。