2021年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

0.はじめに

 私は、大学4年時から5回目の受験で最終合格することができました。非常に恥ずかしいことですが、これまでは、毎年少しの準備もしないまま受験をしていました。しかし、当時職員室で隣の席だった同僚の先生が最終合格した姿を見たことが「合格することができる試験なんだ!」と試験について真剣に考えるきっかけになりました。また、そのタイミングで元塾生である同僚の先生に「とても厳しいけれど、本気で教員を目指したい人におすすめの塾があるよ」と「沖縄教員塾」を紹介していただきました。周りの先生方からたくさんの刺激を受け、試験に向き合うことができたことに、とても感謝しています。
 「沖縄教員塾」では、入塾前に個人面談があり、自分の現状と向き合わなければなりません。試験勉強をせず、試験の傾向、自分の苦手分野も把握していないこと。本や新聞を読んでいないのに、スマホを使う時間はあること。私が目をそらしていたことを上高先生につつかれ、生半可な気持ちで入れる塾ではない、合格できる試験ではないと痛感しました。私が2年間塾に通い、合格するまでに取り組んできたことを振り返っていきます。少しでも参考になる点があれば、幸いです。

1.一次試験対策

 私は、一部免除・加点などはなく、専門国語と教職教養の授業を受講しました。毎授業で推薦図書や新聞記事の紹介があり、上高先生の話を聞くのが毎回の楽しみでした。読書をしたり、ニュースを調べたりするきっかけになりました。また、授業では全員指名されるので、他の人への問題でも心の中で答えていました。受講者全員が国語教師を目指している者であるという高い緊張感のなか、集中して授業を受けることができます。
 コロナ感染予防のため、授業が停止し通信添削での学習になったときには、勤務校の臨任の先生同士で学校に残り、励まし合いながら勉強していました。その期間も、塾から届く充実した教材や上高先生の的確なアドバイスのお陰でペースを崩すことなく、焦ることなく試験勉強を続けることができました。

・専門国語

 毎週、前回の学習内容の確認テストがあり、満点を目指して復習をしていました。全てのテストで最高点が発表されるので、自分の点数の横にメモして常に順位を意識していました。
 記述式の問題集での学習は、自分の語彙力や読み取る力の低さに何度もショックを受けましたが、自分の言葉で解答を考える練習をすると、マーク式の問題になったときにも要点をピンポイントで捉えられるようになったと感じます。
 学習指導要領、古文(用言の活用、助詞、助動詞、敬語、和歌の修辞など)、漢文の重要句形のまとめプリントが配布されたので、ラミネートして、塾のカバン、車、職場に常備して、いつでも確認できるようにしていました。辞書を常に持ち歩き、分からないことをすぐに調べることを意識していました。

〈学習指導要領〉

 学習指導要領は、携帯のボイスメモに録音し、通勤中に声に出して暗記していました。少し覚えた状態で学習指導要領の問題を見ると、指導要領で使用される言い回しか、そうでないかすぐに判断できるようになりました。また、前後の言葉から答えを推測できるようになってきました。毎週の塾のテストでは、細かな表現の違いがある部分などが出題されるので、配布された系統表を使い、各学年の共通点や相違点を意識して覚えるようにしていました。

〈現代文〉

 私は、過去問などに取り組むときに、現代文に時間を使いすぎて、古文・漢文の時間が極端に短くなってしまうことが度々あったため、重要だと思う箇所に線を引きながら、とにかく速く読み終えることを意識していました。授業の時には、先生が解説している重要な部分と自分の線を引いたところが重なっているか確認しました。ポイントを抑えているがうまくまとめられていないのか、読み取り自体がずれているのかを確かめて復習の時間を調節していました。
 私は、焦って早とちりをしたり、一つ一つの言葉に気を取られたりして偏った読み取りをしてしまうことがあったので、全文を読んだあとに問題を見るようにしてから、点数が伸びたように感じます。

〈古文〉

 古文は、基礎的な学習の積み重ねであると痛感しました。古文単語や文法、古文常識が理解できていないと、どこをどう読めばよいか全くわかりませんでした。全ての問題を品詞分解し、分からない単語は辞書や文法書で調べました。辞書を引くことで派生語や語の成り立ちなども意識しながら学習することができました。また、授業後に配られるプリントで重要古語や敬語を確認し、色分けして復習をしました。
 試験前には、新しい問題を解くのではなく、過去に解いた問題をもう一度品詞分解し、自分なりに現代語訳をした後で、解説を読むことを繰り返していました。

〈漢文〉

 漢文は、配布された重要句形のプリントを携帯のボイスメモに録音し、通勤中に声に出して暗記していました。すると、漢文の助詞や助動詞の使い方が分かるだけで解ける問題がたくさんあることに気づきました。また、基本句形は限られていて、そのバリエーションがいくつかあると考えると整理しやすくなりました。
 授業では、問題を解き終えたら、参考書の空いているスペースに書き下し文と現代語訳を書き込んでいきました。また、重要句形と頻出語句を色分けして復習していました。それを繰り返していると、本文の中で注目すべきところが目に入りやすくなってきました。句形を見落とさなくなることで、本文の理解度が高まると思います。
 さらに、漢文は「諫める、犯人を推理する、別れを悲しむ」など話のパターンが少ないので、一つの話に入り込みすぎず、どのパターンの文章なのかを意識すると、読み取りやすくなりました。

〈沖縄の文学・国語常識〉

 沖縄の文学は、「新編 沖縄の文学」を読み、テーマごとに重要事項を暗記していきました。国語常識は、国語便覧や辞書を用いて学習しました。また、毎週のテストの解説プリントを読み、復習していました。上高先生の解説プリントは、一問ごとに非常に詳しい説明があるので、とても勉強になりました。
【指定教材以外に使用した教材】
・『例解新国語辞典』(三省堂)
・『例解新漢和辞典』(三省堂)
・『ベネッセ全訳古語辞典 携帯版 改訂版』(ベネッセ)
・『漢文必携』(桐原書店)
・『完全マスター古典文法』(第一学習社)
・『読んで見て覚える重要古文単語315』(桐原書店)
・『速読古文常識』(Z会)

・教職教養

 教職教養は、塾の教材と用語集のみで学習していました。毎回、上高先生が分野や文書の優先順位を示してくださるので、授業中はその通りに時間配分をしていました。また、合格者講話で、情報を一元化するとよいとアドバイスをいただいたので、授業や模試の復習のときには、引用集にラインを引き、自分なりの解釈を書き込んでいきました。
 特に「教育史・心理・原理」では、間違いの選択肢までしっかり確認することを心掛けました。また、「沖縄の教育」は、二次試験の面接や模擬授業を考える際にも重要になってくるので、どのようなキーワードが使われているか意識して学習しました。そして「特別支援教育」は、2020年の二次試験後に放送大学で特別支援免許状のための単位を取得しました。経験年数が足りず、加点には繋がりませんでしたが、非常に勉強になりました。
 試験前には、塾の模試を何周も繰り返して復習しました。上高先生から「正しい情報を学習しているので、間違いの選択肢に惑わされてはいけない」と教えていただいたので、復習、本番の試験でも選択肢を隠し、自分なりの解答を思い浮かべてから選択肢を選ぶようにしました。

・一般教養

 一般教養は、模試の時に問題を解き、国語、沖縄の文化や歴史に関する問題の解説を読むことだけで、特に対策はしていません。

2.二次試験対策

 二次試験対策は、一次試験までの点数が明確な勉強とは違い、自分が教師になりたい理由や生徒との関わり方、授業への考え方などを何度も見つめ直し、進んでいるのか進んでいないのか分からないような日々でした。そして、周りの方のたくさんの支えがあり、乗り越えられた日々でした。

〈一次試験前の取り組み〉

 今年は、一次試験の当日に受験調書の提出がありました。上高先生から一次試験前で忙しい時期に慌てることがないよう、ゴールデンウィークで一度書き上げるようにとアドバイスがあり、気持ちに余裕を持って取り組むことができました。その後、一次試験の勉強と並行して、何度も上高先生や勤務校の校長先生に添削していただき、志望動機や自己PR文などを仕上げました。一次試験前の追い込みに向けて、自分自身の考えを明確にすることができたので、試験勉強のモチベーションも高まりました。

〈一次試験後から一次試験合格発表までの対策〉

 面接ノートと模擬授業ノートを作り、それぞれの予定を立てることから始めました。私は、臨任経験が浅く、1学年の授業しか受け持ったことがないので、まずは全学年の教科書を読み込みました。
 また、面接ノートを作り、過去問への答えを書き出して、上高先生に添削していただきました。二次試験の課題発表後は、模擬授業の準備が中心になるので、この期間に面接で答えることの軸を固めておいたほうがよいと思います。私は、どのような質問に対しても生徒のことを中心に考えることを意識していました。さらに、この期間には読書をする時間を増やして自分の考えを言語化したり、教育課題などについて考えを深めたりすることも大切にしていました。

〈一次試験合格発表後の対策〉

 コロナの影響で二次試験が延期になり、5週間かけてゆっくり二次対策に取り組めました。苦しい試験対策が続くというよりも、しっかり準備の時間が取れると前向きに考えるようにしました。また、模擬授業の課題が「少年の日の思い出」と発表され、実際に授業をしたことがあることへの安心感や実際の生徒の反応を分かっているという少しの自信を持って用意を進められました。去年の課題は経験のない「走れメロス」で迷走してしまったので、この違いは大きいと感じました。
 模擬授業の練習は一人でできるものではありませんでした。勤務校の国語科の先生方や大学時代の先輩、小学校に勤めている友人などに何度も練習に付き合ってもらいました。授業の構成を大きく変えたり、貼り教材を変えたりと試行錯誤しながら、練習を進めていきました。また、勤務校の校長先生、教頭先生、その他の先生方にも試験官役をしていただき、本番同様の緊張感の中で練習する機会にも恵まれました。
 そして、塾での模擬試験では、上高先生から「試験のため、自分のための授業ではなく、明るく元気に生徒のための授業をしてください。」とアドバイスしていただきました。かしこまった面接用の自分ではなく、普段通りの自分を見てもらおうと心を決めることができました。二次試験本番では、これまで協力していただいた方に感謝の気持ちを持って、いつも通りの自分がアピールできたと思います。

3.生活

 私は、臨任経験も浅く、教材研究や日々の業務に追われていて、自分で入塾を決めたのに、仕事も勉強も中途半端になっているのではないかと悩むこともありました。仕事をしながら試験勉強をすることは心身ともに辛いときもありましたが、「人生の中で一番若くて体力があるのは今だ!」と自分に言い聞かせ、頑張ってきました。また、臨任経験を通して、生徒たちともっと関わりたい、一緒に学びたいと思えたことが合格へのモチベーションにもなっていました。
 入塾した当初は、週末はできるだけ休みたいと思い、火・木・土の授業を受けていましたが、全く復習が追い付かず、勉強が身についていないと感じ、土日にしっかり勉強時間を取るために火・土・日の授業に切り替え、塾で自習をすることにしました。また、スマホに費やす時間が一番無駄な時間だとわかっていながらも気になってしまうので、時間制限をかけたり、SNSアプリを削除したりと強制的にスマホから離れられるようにしました。そして、恥ずかしながら入塾までは新聞や本を読むという習慣がありませんでしたが、朝ごはんを食べながら新聞を読み、寝る前に1ページでも本を読むことを続けました。

4.さいごに

 「沖縄教員塾」で上高先生から学んだことは試験に合格する方法だけではありません。それ以上に教育者としての在り方や学び続ける姿勢、社会に目を向けることなどこれからの人生で大切にしたいことをたくさんたくさん教えていただきました。また、「沖縄教員塾」には本気で教師を目指して努力している塾生しかいません。様々な出会いが重なり、このような環境で学習することができたことに本当に感謝しています。
 私は、二回目の二次試験で最終合格することができました。今年は塾で配られる全ての教材に2021/〇/〇と日付を書き入れ、「私は二回目の授業だから、他の塾生より点数が高くて当たり前だ」と常に自分にプレッシャーをかけて去年の二次試験不合格の悔しさを忘れないようにしていました。また、『まんがで読む 徒然草・おくのほそ道』で徒然草の百五十段「能をつかんとする人」が紹介されていて、まさに私に足りないのは、未熟な自分をさらけ出し、先輩方にアドバイスをいただこうとする姿勢だと気づきました。
 すぐに怠けてしまう自分と向き合うこと、数え切れないほど多くの方に支えられていると気づけたこと、たくさんの個性を持った生徒と出会えたこと、教師としての楽しさや課題を知ることができたことなど、この二年間は私にとって必要な時間だったと思えます。
 試験合格に向けて、私を心身ともに支えてくれた家族や恋人、同僚、友人、かわいい生徒たち、そして上高先生に感謝の気持ちで一杯です。これからも目標に向かって努力する姿勢を忘れずに、常に成長し続ける教員でありたいと思います。本当にありがとうございました。

追記

 実は私の父も「沖縄教員塾」の管理者試験対策の塾生として上高先生にご指導いただいていました。今年度、私と父の親子ダブル合格となり、家族、親戚一同とても喜んでおります。親子ともどもお世話になりました。ありがとうございました。