2021年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 特別支援学校中高美術

1「はじめに」

 様々な事情で時間のない受験生や体調が芳しくない受験生の皆さんに、この「はじめに」だけでも読んでいただき、参考になりましたら幸いです。
 沖縄教員塾のHPに「合格最低点ギリギリで合格しようとするから、何度も不合格を繰り返す。フェンスをギリギリ越えるホームランを目指して、フェンス前の外野フライを繰り返すのと同じです。沖縄教員塾では、場外ホームランを目指して、芯をはずれてもホームランになるような学力を目指します。」と記されています。それを目指すには、好きな分野の勉強を増やすよりも嫌いな苦手科目を勉強した方が、伸びしろがありそうだと考えました。そのために今年の一次試験で取り組んだのが、①「苦手科目を克服する」、②「重箱の隅のような細かい部分も勉強する」、③「勉強を楽しく行う」です。特に重要だったのが③でした。苦手科目をそのまま勉強するのはストレスが溜まります。しかし、自分が覚えにくい単語を語呂合わせやダジャレにして覚えることで、問題が解けた時はちょっとした快感があり、もっと勉強しようという気持ちになりました。勉強する→ダジャレや語呂あわせを考える→問題が解ける→勉強する、というサイクルが作れたので、今年は一次試験で過去最高の点数を取ることができ、合格に繋がったと考えています。
 また、二次試験で取り組んだことは『教員養成セミナー』や『教職課程』、『特別支援教育研究』などの本を買って読んでいました。はじめは単なる試験対策のつもりで読んでいましたが、普段の仕事にも役立つとても勉強になる情報ばかりであることに気づき、もっと早く読んでおけばよかったと後悔しました。沖縄教員塾の図書コーナーには様々な本があるので、入塾しているうちにたくさん利用させていただいて、知識を増やしていたほうが良いと思いました。

2「一次試験」

 今年は一次試験一部免除だったので、それ以前の勉強の取り組み方についてです。

【一般教養】

 ほとんどやっていません。世界史は、教育史や美術史に似ている感覚があったので応用できたら良いなと思い、模擬試験の資料を復習で読んでいました。

【教職教養】

 片道1時間弱の通勤時間も勉強できればと考えて、YouTubeを流していました。私が聞いていたのは保育士関連と思われる方がアップしていたものですが、教職教養で出題される用語と人物をダジャレのように覚えやすくしていました。分かる単語が増えることで楽しく勉強することができました。YouTubeでの勉強はあくまで補助的なものですが、疲れていてどうしても勉強をやりたくない時でもYouTubeを聞いて簡単なおさらいをすることで勉強する気になり、用語集や資料を読もうという気持ちになったので、勉強に入る導入として役に立ちました。

【専門】

 過去5年分程度の試験問題を何度も読み返して解きました。「自分の実力不足で解けない問題に時間をかけても意味がない。それより素早く答えを見て知識を覚え、短時間で何回も問題を解いた方が良いかもしれない。」と考え、解けなくて悩む時間を減らし、早く覚えるために復習のスピードと回数を重視しました。
 学習指導要領については、以前はどこから出るか分からないから、対策するのは努力の割に合わないと思ってあまり勉強していませんでした。しかし今年は、過去に出た部分を線で引いて傾向を探ったら、想像以上に見通しが良くなり、自分なりの予想も考えられるようになりました。実際の試験でも勉強していた部分が出ていたので、過去問を調べるだけでも十分に力が付くと思いました。
 それ以外の美術史等については美術検定2級程度の知識が出るという噂を聞いていました。しかし、私に2級の問題は難しかったので、もっと簡単な3級や4級の問題集・資料も買って勉強しました。4級の問題は基礎的な知識が多いのですが、3級、2級に繋がる大切な部分なので、簡単な4級から勉強をはじめて本当に良かったと思っています。その他に、特に苦手とした日本美術史を中心に勉強を行い、沖縄の美術史は沖縄県立美術館・博物館のHPに資料があるので、それを見て勉強しました。専門外の分野の細かい道具・材料までなかなか手が回らないですが、採用試験を解いている最中に「この問題は自分が気になっていたけど、勉強が手薄だったところだ‼︎」と後悔したので、もししっかり勉強していればもっと点数が上がっていたと思います。

3「二次試験」(今年はコロナウイルス感染症の影響のため、面接と模擬授業のみ実施に変更)

【特別支援教育】

 メセナ予備校から問題集・資料等を送っていただき、過去問を中心に何度も解き、資料を読んで復習しました。

【実技 デッサン】

 実技対策は中部にある芸術大学受験対策の塾に通い、中高校生たちに混ざりながらデッサンをしました。私は大学に入学するまでは美術にあまり興味がなく、絵も描いてこなかったので、一緒に描いている中高生の方がはるかにデッサンが上手という状況のなか練習していました。平日の仕事が終わったあとに画塾に行くのは時間も体力も余裕がありませんでしたが、20分だけでも描きに行ってサボり癖がつかないようにしました。デッサンが上手であれば採用試験に合格するというわけではないので、基礎・基本の知識や技術をしっかりと身に付けて、授業で生徒たちにどのように教えるかを意識して、デッサンに取り組みました。

4「三次試験(今年の二次試験)」

【模擬授業】

 去年はじめて模擬授業の練習をした時には、同じ職場で働く多くの先生方に見てもらいました。とてもありがたかったのですが、私自身の軸がなかなか定まりにくい、という側面もありました。今考えると、先生方の多様で貴重なアドバイスをうまく落とし込むことができず、申し訳ない思いをしました。与えられたテーマに対し、今持てる全力を尽くして準備する、というのは去年も今年も全く変わりませんでしたが、去年は残念な結果となりました。今年は去年の二の舞にならないよう、「自分の軸を持つ」ことを意識しました。そうすると、模擬授業を見てくださる先生方のアドバイスが分かりやすくなり、よりよい模擬授業になっていったと感じています。模擬授業の内容については、生徒の発言を拾い、褒めるところは分かりやすくしっかりと褒めて、生徒の自己肯定感が高まるような工夫をしました。また、上高先生から「マスクをしているので目元しか表情を出せる部分がない。もっと表情を豊かにしてほしい」とアドバイスをいただきましたが、努力してもなかなか改善することができませんでした。

【面接】

 面接対策は沖縄教員塾で2回、現在の職場で教頭・副校長に1回見てもらい、合計3回模擬面接の練習を行いました。『教員採用試験 面接試験・場面指導の必須テーマ100』などの本を読んで参考にしました。去年も面接を経験しているので少しは慣れているつもりでしたが、いざ模擬面接となると緊張してしまい、大きな声ではっきりと話すという意識は、しているつもりでも声が小さくなってしまいました。マスクもしているので声が届きにくいことを考えて、面接官に向かって話をするのではなく、その後ろの壁まで届くような大きな声が出せるように練習をしました。

5「最後に」

 私は2008年3月に大学院を修了しましたが、2006年7月に体調を崩してしまいました。徐々に回復はしていますが、今でも万全な体調ではありません。入塾希望の面接をさせていただいた時にも、私の体調のことを上高先生に相談した上で入塾させていただきました。自分の健康状態で採用試験に合格することができるのかと不安でしたが、上高先生の知識の豊富さや情報の的確さを頼りに、なんとか合格を勝ち取るまで勉強を続けることができました。特別支援中高美術は例年2人合格するのですが、去年は1人しか合格の枠がなく、私は2位になり不合格という結果で悔しい涙を飲むことになりました。「上高先生の言う『ギリギリのホームランではなく場外ホームランを狙いなさい』とはこういうことなのか。それなら来年、自分がぶっちぎりの1位になって必ず合格する」という気持ちになり、「はじめに」で書いたように自分なりの工夫をして勉強に取り組みました。合格して思うことは、当たり前のことですが、合格は決して自分一人の力ではなく周りの方々のサポートあってのものだということです。本当に感謝しています。
 来年度に向けて教員採用試験に挑戦する皆さん、それぞれの状況や体調などは人によって様々で、周りと比べて焦ることもあると思います。しかし、地に足をつけて一歩ずつ歩んでいくしかありません。歩んでいった先に、自分の人生に必要なタイミングで合格がくるはずです。採用試験合格に向けて、一歩一歩、自分のペースで歩んでいってください。