平成28年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

1.はじめに

 本年度は、仕事をしながらの受験でした。仕事を切っていた期間は一度だけあり、二年前に半年間は仕事をせずに試験勉強に集中しました。その年は合格することはできませんでしたが、この半年間が今回の合格につながったと思います。仕事を切って勉強する方の中には、仕事がないという不安な気持ちや、周りに対して申し訳ないという気持ちを抱えながら勉強をする方も多いと思います。実際、私も今まで臨時職員を続けていたのに、仕事を切ったらこの先、仕事はあるのだろうか、収入もなく家族に申し訳ない、という気持ちで一杯でした。しかし、その分合格して恩返ししようという気持ちも同時に高まりました。私は、早い合格ではないので、臨時教員を長く続けながらも、なお本務の先生になりたいという気持ちを持つ方にとって私の体験記がお役に立てれば幸いです。

2.一次試験について(本年度のみの取り組みのみ)

(1)一般教養・教職教養
(一般教養)

 専門である国語と、自分が好きな教科である英語、沖縄の問題のみ解いていました。週に1回くらい。

(教職教養)

 模試形式の問題を繰り返し解きました。また、授業の中で使用教材の学習優先順位が伝えられるので、優先順位の高い問題だけを繰り返し解きました。また、塾での小テストを復習していました。予習はあまりできなかったので、できなかったところをもう一度解き直すようにしました。試験前は、復習のみを繰り返し行っていました。本年度は仕事をしながらだったためこのやり方でしたが、時間をかけられる人は、もっと時間をかけても良いかと思います。

(2)専門教科
(指導要領)

 今年度から中学に変更したので、本格的に取り組んだのは5月後半からでした。指導要領の穴埋めのノートをつくり、すき間時間に覚えました。(表は穴あきで、裏に答えを書いていました。)
 塾で指導要領の資料も配布されるので、参考にしながら取り組みました。また、指導要領は、二次の模擬授業でも必要な知識となるので、解説も読んでいた方がよいと思います。そして、解説を読んで理解した方が覚えるのも早く感じました。

(現代文)

 塾の教材のみで学習しました。また、筆者を確認する際には国語便覧をよく読むようにしました。おもしろいので、気分転換にもなりました。上高先生が回答を配布するので、その際の説明をよく聞き、再度解答解説を読むようにしていました。また、記述式の問題だったことも私にとって、とても良かったです。マーク式だと曖昧に解答してしまいそうな所を、丁寧に自分の言葉で説明する力が付いたように思います。はじめは慣れなくて、時間内に解答できないこともしばしばありました。

(古文・漢文)

 塾の教材のみで学習しました。授業で復習に使える補助プリントを用意して下さるので、自分が解けなかった所や、理解が深まる箇所を確認していました。また、授業内の小テストでできなかったところを復習するようにしていました。

(沖縄の文学)

 過去問の沖縄問題の部分を繰り返し解きました。また、似たような記述がある教材を使い、自分なりにノートにまとめていました。

3.二次試験
(1)面接

 主に塾の資料を参考にしながら、自分なりに答えをノートにまとめていました。また、自分の学校の管理者にお願いして面接を練習していただきました。その際に言われたことは、①年配の私たちのような人が面接するのだから、明るく元気に、若者らしく答えること②分からないことは、もじもじせず、分からないけれども、自分なりに分からないことに対する対応策を答えること③結論を先にのべ、理由を後に述べなさい、ということでした。私は、声と元気は良いが、緊張が伝わるのでゆったり構えなさいと言われました。塾でも同じように、緊張して早口になる点を何度も指摘されたので、いろいろな人に見ていただくのは、とても良いなと感じました。

(2)模擬授業

 塾で中学国語のメンバーと分担して、出題されそうなところを話し合ったり、アドバイスし合ったりしました。私は、この話し合いが二次試験の中で一番楽しかったです。皆でいろいろなアイディアを出し合い、他の塾生から各学校での取り組みを聞くことができました。私は、中学校の経験がなかったので、生徒への指示の出し方や、板書で気を付けること(読めなさそうな漢字にはルビをふる等)は、実際に中学生に指導している先生しか気づかない点なので、とても参考になりました。今年度合格できたのも、メンバーに恵まれたからだと思います。この塾に通う方は意識が高く、自分ももっと頑張らないといけないと感じ、前向きに取り組むことができました。二次対策で模擬授業を2回見ていただきました。自分では気づきにくい改善点や、良い点を指摘してもらえるので、それをメモして意識して模擬授業に活かすようにしました。しかし、いつもの授業の雰囲気が出るかと思いますので、普段からわかりやすく、生徒にとって良い授業を心がけることが大切なのだと感じました。
 また、塾以外では勤めている学校でひたすらエア授業を行い、高校国語で一次合格をした方と、お互いの授業を見て、意見交換をしました。勤め先でも、ともに頑張る方がいたので、不安に襲われることもありましたが、お互いに励まし合って笑顔で二次対策ができました。

(3)小論文

 練習の際にたくさん書くことはできませんでしたが、小論文の大きな柱をノートに書いていました。本番では二マスほど残しましたが、書ききることができました。塾の二回目の模試では、時間内に書ききることができず内心非常に焦っていましたが、日数もないため、次にこの課題が出たらこのように書くという柱をノートにまとめました。小論文の点数はあまり良くなかったので、やはり余裕がある人は早めに取り組んでいた方が焦らなくてすむと思います。また、小論文での自分の考え方は、面接にもつながると思うので、県の教育方針等を踏まえた自分なりの考えをまとめておくと良いかもしれません。
 ※一緒に二次対策をしていた同僚は、小論文が高得点でした。その方は、序論を多く書いたようです。テーマとなっている教育課題の文言を多く取り入れ、沖縄県の教育課題について序論でふれたと聞きました。(それが絶対高得点につながるという確証は全くないので参考程度に…)

4.これまでの取り組み

 「はじめに」でもふれましたが、私はすぐに合格できた人ではありません。臨時経験や他の職種などを経て今回の合格に至りました。今年度は仕事をしながらの学習だったので、学習時間自体はあまり確保できていません。しかし、今までが長かったのでその積み重ねもあるかと思います。部活動を担当していないときには、毎日月例テストを一セット解き、復習しました。専門の学習では、センター式の問題を古文、漢文、現代文を1題ずつ解くようにしていました。もちろんできない日もありましたが、それらの日々があり今回の合格につながったと思っています。特に、半年間勉強に集中した期間は、不安な気持ちもありましたが、今まで隙間時間にやっていたことを丁寧にやり直し、学ぶことの楽しさを感じることができた期間でもあります。

5.最後に

 勉強法などは、自分の生活スタイルや自分の性格に合わせていろいろな方法で行えばよいかと思います。自分の生活スタイルにあった勉強法を見つけ、自分を分析し、得意、不得意を知ることで勉強の優先順位がつけやすくなると思います。
 私は、高校国語から中学国語へ校種を変更して受験しました。ぎりぎりまで非常に迷い、悩みました。その理由は、中学校を経験していないこと、そして中学校へ変えるからには自分が中学校で何ができて、どんな思いで行くのか、県立しか経験していない自分が、中学生に対して何を伝えられるのか思いを確かにしてからでないと校種変更してはいけないと感じたからです。上高先生に話したら、「大学生でもそのまま経験せずに行くのだから、悩んでも仕方ないよ」というようなニュアンスのアドバイスをいただき、妙に納得したのを覚えています。しかし、自分の中でなぜ中学に行くのかという問いに対しては、自分なりの答えをもって校種変更をしました。どんな場所でも、自分がその場所で役に立てる人間になろうと腹を決めると、あとは勉強に集中するのみでした。校種変更を迷っている際にはなかなか勉強のペースもつかめなかったのですが、決まってからは、できることとできないことを分け、少しずつペースをつかむことができました。仕事をしながらだったので、時間の確保は厳しかったのですが、何とか合格することができました。
 今回の合格は、支えてくれた家族や、周りの人たちのおかげです。私は、合格体験記を書く日が来たら、絶対に感謝の気持ちを伝えようと思っていました。職場の方や、生徒、保護者の方にも「絶対先生になってね! 合格してね!」と言われるたび、ありがたい気持ちと同時に恩返ししたいという気持ちがいつもありました。今回合格できたことで、恩返しの第一歩が踏み出せたかと思います。教員になってからの生活の方がまだまだ長く、この先の方が重要です。学ぶことの楽しさと、教員であることの責任や厳しさを改めて教えていただいた上高先生にも感謝申し上げます。いつか、塾生である皆さんとお仕事できる日を楽しみにしています。