2019年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校英語

1. はじめに

 私は30歳の時に、初めて臨任として高等学校で働き始めました。最初の2年間はただただ仕事に慣れることに精一杯で、教員採用試験? 何それ? という感覚でした(本当です)。大学院を修了していましたが、院の研究では自分のための英語であったため、英語をだれかに「教える」という立場にたったことがなく、初めての学校現場は四苦八苦の毎日でした。私の友人が英語の初任研として赴任する学校で一緒に勤務をすることになった時に、教員になるためには教員採用試験を受けて合格しなければならないということ、教員採用試験には一般教養、教職教養、専門教科の試験があること、そしてその難易度にようやく気づきました。臨任を始めて2年目の冬に専門教科の塾に通い、3年目に沖縄教員塾にも通い始めました。
 私は沖縄教員塾の1期生です。沖縄教員塾では授業会員として教職教養のみを受講していました。入塾当初は勉強と仕事の両立ができるかどうか不安でいっぱいでしたが、教養試験の勉強は現場での仕事とリンクすることが多く、「学校で働くということ」を理解するためにはとてもよい機会となりました。また、上高先生との面談を重ねる中、沖縄教員塾で1番最初の高校英語合格者として実績を残すぞ!! という思いが強くなり、その決意を固めてこれまで取り組んできました。以下に、私の一次試験の勉強法と二次試験体験記を記したいと思います。教員採用試験合格を目指す皆さんの参考になれば幸いです。

2. 一次試験(一般教養・教職教養)

一般教養

 ほとんどやっていません。模擬試験の復習や資料を読む程度でした。

教職教養

 9月からの第1タームでは、テキストへの答えは赤字で書き、赤シートで隠しながら何度も何度も復習を行い、授業の最初に行われるチェックテストで毎回満点を取ることを目標にしていました。満点がとれなかった時には、その単元の復習をしっかり行いました。
 4月からの第2タームでは、過去問題・予想問題の演習を中心に取り組みました。模擬試験後には、個人成績表から自分の苦手な分野(=点を落としている分野)を把握し、1点でも点数をあげるために焦点を定めて苦手克服に努めました。

教育史・教育心理・教育原理→満点を意識して取り組む!!

 徹底的に暗記しました。ほぼほぼ語呂合わせで覚えたりしました。
例)ぺい!→ペーターゼン・イエナプラン
  岡の上には花がいっぱいある~♪→岡山藩・花畠教場
  水戸黄門!→水戸藩・弘道館(漢字は違いますが、音で覚えていました。)

教育法規→満点を意識して取り組む!!

 一番の苦手分野でした。とにかく何度も何度も読み込みました。夜寝る前や、早朝講座がない日に読んだりしていました。暗記だけでは限界があったため、これまで見聞きした指導ケースや実際に経験した指導場面とリンクさせて考えるようにしたり、空欄の前後との文脈をしっかり考えて取り組むようにしました。

学習指導要領

 沖縄教員塾のテキストは、小・中・高それぞれの学習指導要領が並べて掲載されているので、小・中・高で共通する内容、異なる内容が一目瞭然です。小学校、中学校、高等学校それぞれの時期の発達段階を思い返しながら、理解するようにしていました。

生徒指導提要

 とにかく何度も何度も読み込みました。生徒指導リーフもあわせて取り組んでいましたが、表現方法が微妙に違ったりするところがあり、暗記にとても苦労しました。教育法規同様、暗記だけでは限界があったため、これまで見聞きした指導ケースや実際に経験した指導場面とリンクさせて考えるようにしたり、空欄の前後との文脈をしっかり考えて取り組むようにしました。

沖縄県に関する問題→満点を意識して取り組む!!

 毎年必ず出題のある項目ですが、自分で絞り込むことは困難だったため、授業で配布される問題や資料を繰り返し解いたり読んだりしました。「わかる授業Support Guide」や「『問い』が生まれる授業サポートガイド」、「学力向上推進プロジェクト」、「沖縄県いじめ対応マニュアル」、「不登校対策リーフレット」などの文書に関しては定期的に読むことをおすすめします。これまで見聞きした指導ケースや実際に経験した指導場面とリンクさせて読むようにしていました。確実に2次試験の論文や面接、模擬授業の対策にもなるので、じわじわと脳に刷り込みさせていく気持ちで読んでいました。

3. 一次試験(専門教科:英語)

勉強の改善点

 私が勉強を始めた頃、英語を「教える」ために必要な知識はほぼゼロでした。私自身が理解できない、納得できない問題は、生徒に説明もできません。「根拠を持って答えを示す」ということをモットーに、専門教科の勉強に取り組みました。
 2018年の8月に一次試験に不合格した時とても落ち込みました。その日1日はずっと泣いていました。とても悔しい思いをしました。そこで私は、来年度(今年の)採用試験一次合格のために、勉強をする上で改善が必要だと思うことを考えました。それはやはり、勉強時間を確保することでした。英語の塾の先生には毎年のように、「あなたの課題は勉強時間を確保すること。3月まではいいペースで成績もあがってくるのに、新年度になると一気にペースダウンして成績も落ちてしまう。」と言われていました。
 仕事と勉強の両立はとても大変です。臨任をしている間は、ありがたいことにずっと担任を持つことができていましたが、そうなるとどうしても仕事を優先していました。部活の顧問もしていたため、土日も出勤しなければなりません。ただ、やっぱり仕事をいいわけにしたくない!! と思い、自分の中で最低限守るルールをつくりました。もちろんどうしても帰れない日もあり、ルール①を破ることもありましたが、そこは土日の勉強で取り返したりすることで、バランスを取っていました。臨任だと受け持った生徒の次年度の成長をみることができません。それがとても悔しかったのを覚えています。1日でも早く本務教諭になって、生徒の成長をそばで感じたいと強く思い、ルール②、③は徹底して行いました。

① 平日は絶対18時には帰る
② 早朝講座がない日、夜寝る前、時間が空いた時に単語帳を開く
③ 1日1題、長文問題を解く

英単語
使用参考書

「英検1級でる順パス単(旺文社英検書)」¥1,870
アプリ「英検1級でる順パス単(旺文社英検書)」¥860

 塾では毎時間単語テストがあります。モチベーションを保つことがきましたし、得点順位が張り出されるので、自分自身に喝を入れることもできました。使用していた単語帳は、「英検1級でる順パス単(旺文社英検書)」です。音声もダウンロードできます。出る度A(動詞・名詞・形容詞副詞)出る度B(動詞・名詞・形容詞副詞)出る度C(動詞・名詞・形容詞副詞)熟語の4つのカテゴリーに分けられています。4月以降は、なるべく1カテゴリーを1日で消費できるようにしていました。とにかく全ての単語に目を通す!! ことを、その日その日の目標にして取り組んでいました。

〈2018年9月~2019年3月〉

 各カテゴリーを、塾の単語テストの日程に合わせて確認していました。アプリも併用していました。

〈2019年4月~〉

 1日に1カテゴリーの単語を読むようにしていました。出る度Aと出る度Bはよく見ているので、すぐ一周できますが、出る度Cと熟語にとても時間がかかりました。出る度Cに関しては、今日は出る度Cの動詞、明日は出る度Cの名詞、という具合に分けて、行っていました。アプリも併用していました。

誤所指摘・語句整序

 塾のテキストを中心に何度も復習をしました。土曜日に文法の授業が設定されていました。授業では、解答時間が設定されるので、なるべく時間内に、正確に解くようにしていました。解答解説の際には、先生が1人ずつあてながら、その選択肢を選んだ根拠を説明するように指示をしてきます。この根拠を述べるという過程が私にとってはとても有意義で、大好きでした。他の人があてられても、心の中で正解とその根拠を述べるようにしていました。

長文読解
〈毎週の課題:英字新聞〉

 毎週英字新聞記事の課題(最大2つ)が出されます。木曜日に、長文読解の授業が設定されており、英字新聞の単語テストと、内容解説が授業の最初に行われます。文化、歴史、政治、生物学、科学、宇宙、医療などさまざまな分野の記事を読むことができました。英検1級レベルの単語もたくさん出ていたので、単語力を試す機会にもなっていました。新聞独特の文構造にたくさん触れることができました。英字新聞を読むことは個人的に続けていこうと思っています。

〈授業の中での課題文〉

 英検1級や、TOEFL、難関大の二次試験問題、他県の採用試験の問題、本県の過去問題を制限時間内に解いていきます。私は空欄補充がとても苦手でした。間違えては、「あ、そっか。なんだ凡ミスじゃん。」ということが多すぎました。空欄補充の際には、空欄の前後を細心の注意を払って読むようにしました。内容理解を曖昧にせず、指示語を明らかにしながら、時間をかけて復習しました。復習の際には精読、授業では速読と意識していました。復習で行った精読の成果を次に生かせるように、常に意識して取り組んでいました。
 読解問題においては、選択肢から一つの答えに絞るときに「根拠を持って選択肢から除く」ようにしていました。間違っている箇所に下線をひき、×をつける。その作業で1文ずつ、選択肢を削っていきました。また、本文中にある意味のわからない単語もしっかりマークし、覚えるようにしていました。長文読解の解答解説の際も、先生は1人ずつあてながら、根拠を説明するように指示します。根拠を説明することは、最初はとても難しいのですが、正確に読むには欠かせない作業です。実際に私は自分の授業においても取り入れています。内容理解が曖昧だと根拠は説明できません。的確に理解するために重要な過程だと身を以て学びました。
 個人的に長文読解は大好きですが、時間を制限されると、未だに苦手です(笑)

リスニング 
使用参考書(個人的)

「最短合格!英検1級リスニング問題完全制」¥2,640
「2018年度版英検1級過去6回全問題集」¥2,790
「完全攻略!TOEFL ITP(R)テストリスニング」¥2,640

 大の苦手です。本当に苦手です。
 リスニングは土曜日の文法の授業の最後に設定されていました。授業では、英検1級、準1級、国連英検、TOEIC、TOEFL、のリスニング問題を解きました。塾でのリスニングだけでは足りなかったため、2日に1回のペースで、自分で購入した英検1級、TOEFLのリスニング問題を解いていました。息抜きに、ポッドキャストの「バイリンガルニュース」を聴いたり、海外ドラマを観ることもありました。おすすめは「CRIMINAL MINDS」、「THE MENTALIST」、「SUITS」です。英検1級レベルの単語がいっぱいでてきますし、そのシーンと合わせてスッと頭に入ってきます。中毒注意です(笑)

4. 二次試験

自己アピール文

 一次試験が終わってすぐに書きました。普段の授業で心がけていること、本県の英語教員として目指すことを念頭に、自分自身の個性を表現できるよう意識して書きました。友人の国語教員や、上高先生にアドバイスをいただきながら仕上げました。

論文

 論文の対策は一次試験を終えてすぐ始めました。上高先生から出される最初の課題をクリアするまで5回ほど書き直したと思います。最初の課題をクリアしてからは、全課題を書き切ることを目標にとにかくたくさん書きました。最終的に8題しか書けませんでしたが、たくさん書くことで、次第にコツがわかるようになり、どの課題でも使いまわせる表現のストックが増え、時間をかけて取り組んでよかったと思いました。今年の論文のテーマは、「沖縄県公立学校教員等育成指標」に関する課題でした。過去問や予想問題にはありませんでしたが、課題文をよく読み、何が問われているのか自分なりに考え、「課題に正対すること」を念頭に、これまでの練習で書いてきたことを中心に書きました。

個人面接

 面接の対策は、一次試験の合格発表後から始めました。面接練習は、沖縄教員塾で設定された2回、面接試験前日に練習を希望して1回、勤務校の校長と1回、第一教頭、第二教頭とそれぞれ1回ずつ、両教頭一緒に1回の合計7回させていただきました。
 「わかる授業Support Guide」や「『問い』が生まれる授業サポートガイド」、「学力向上推進プロジェクト」、「沖縄県いじめ対応マニュアル」は毎日目を通していました。それでもまだ上高先生からは、「○○○○(私の名前)がでてこないんだよね~」と言われ、同じ受験者(高校国語)と夜な夜なケンタッキーで葛藤しては、練習をしたりしていました(笑) とにかく何度も口に出し、練習しました。
 勤務校の校長と両教頭には、一次試験終了後、「一次試験受かっていたら面接練習をお願いしたいのでスケジュールを教えてください!」とお願いをしました。本番さながらに練習してもらいました。1回の練習に30分~40分ほど時間をかけていただきました。
 国語教員の友人からは、「この人と一緒に働きたいな」って思わせるような態度で挑めとアドバイスをもらいました。予想外の質問をされても、決して飾らず、自分の気持ちを、自分の言葉で、自分らしく答えようと意識していました。

模擬授業

 二次試験三日目の模擬授業は、楽しく終えることができました。私の模擬授業の一番の勝因は、上高先生をはじめとする沖縄教員塾で模擬授業の試験官をしていただいた先生方、勤務校の先生方、同じ受検者、そして友人にたくさん模擬授業の練習を見ていただいたことです。
 塾では3回、学校では4回、友人には1回模擬授業を見ていただけました。塾では通常模擬授業の回数は2回ですが、上高先生の計らいで、宮古から免許更新のために本島にいらっしゃる先生にも見ていただけました。模擬授業の練習の中で、上高先生に言われた言葉が鮮明に残っています。「試験官のための授業をしない。生徒のための授業をすること。普段こんな授業やってないでしょ? もっと自分らしく楽しくやっているでしょ?」その言葉をきっかけに、生徒にとってわかりやすい英語、ききとりやすいスピードや声の大きさ、生徒の目を見て問いかけること、生徒の表情をみながらすすめていくことなど、「生徒主体」の授業、そして「自分らしさ」を心がけるようにしました。
 塾での模擬授業スケジュールの合間を見つけて、高校の他教科の受験生と予定を合わせ、模擬授業の練習もしました。他教科の受験生に見ていただくことで、想定外の指摘やアドバイスをいただくことができました。
 勤務校では、一次試験を終えてすぐ、同じ教科の先生(今年3年研)に、「一次試験受かっていたら模擬授業をみてほしいのでスケジュールを教えてください!」とお願いをしました。一次試験の結果が出た後には、英語科の先生方に模擬授業をみてもらえるようにひとりひとりお願いに伺いました。勤務校では模擬授業の練習日を3日間設定し、先生方の都合のよい時間に教室に来ていただき、模擬授業を見てもらいました。現場の先生方の指摘は鋭く、ひとつひとつのアドバイスが生徒目線にたったものでした。夏期講座期間にも関わらず、模擬授業検討に長い時間つきあってくれました。
 二次試験最終日の前日には、親友に模擬授業を見てもらうことで、心の安定と準備完了の体制を整えました。

5. おわりに

 私は、教員採用試験に関する知識や情報がゼロの状態から、教員採用試験合格に向けて本格的に勉強を始め、4年かけて最終合格することができました。採用試験を受ける度に、「合格」って現実に存在するんだろうか? と疑う程、その道は険しかったです。ただ不思議と諦める気持ちはみじんもありませんでしたが、最初の3年はやはりどこか仕事のせいにしていました。転機は昨年の2018年です。とても悔しかったです。必ず来年度こそは受かると決心をし、挑みました。そのおかげか、今年度は私が(勝手に)希望していた高校に勤務することができたり、現在教育センターで研修を受けている先生の検証授業に一緒に取り組むことができたり、重点拠点校事業にも携わることができたりと、とても充実しています。
 一次試験の手応えは正直わかりませんでした。ただただ必死に時間いっぱい解いたという感覚だけでしたが、なぜか合格は確信していました。そのおかげで、一次試験終了後は二次試験の論文に集中して取り組むことができましたし、模擬授業や面接練習のお願いも一次試験の合格発表前に行いました。去年までは、論文を書いても、最初の課題をクリアすることもできませんでしたが、今年は一次試験の合格発表までに4つ目か5つ目の課題まで終えていたと思います。今年は採用試験へ挑む気持ち、採用試験合格への気持ちが本当に違いました。
 一次試験の対策は1人でもできます。二次試験対策は1人ではできません。二次試験にむけて対策を進めていく中、頭によぎるのは家族や友人、これまでの臨任生活の中でお世話になってきた先生方、そしてお世話になった英語塾の先生、上高先生の顔です。何も言わずにいつも温かくサポートしてくれた家族や、共に勉強に励んだ友人、ずっと応援し続けてくれる友人。そして、勤務校でお世話になった先生方と「もう一度一緒に仕事がしたい。本務教諭になって、感謝を伝えたい。」という気持ちでいっぱいになります。どれだけたくさんのひとに支えられてきたんだろうと、感謝の気持ちがあふれ、何度も涙しました。私の教員採用試験合格に向けて協力していただいた皆さんに、心の底から感謝しています。教員採用試験の「き」の字も知らなかった私が、「教師になりたい」という気持ちをぶれずに持ち続けた結果、「合格」をつかめたと思っています。
 来年度に向けて教員採用試験に挑戦する皆さん、自分の気持ちを信じて、採用試験合格に向けて1日1日を大事に過ごして下さい。たくさんの先生と話して下さい。同じ教科の先生や、他教科の先生と授業の話や相談をいっぱいしてください。生徒の話もたくさん聞いてあげて下さい。すべてが糧になります。合格がゴールじゃありません。合格してからがスタートです。今、それを強く実感しています。合格後、沖縄県の教員としてどのように生徒たちと過ごしていくかをイメージすることが大事だと思います。
 長くなりましたが、私が伝えたいことを精一杯書きました。私がお世話になってきた恩返しをこれからはするつもりです。少しでも皆さんの合格に役立てば幸いです。