2020年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

はじめに

 私は今、40歳です。これまでにも何度か教員採用試験を受けてきましたが、今年、初めて一次試験を突破し、二次試験も合格することができました。この沖縄教員塾との出会いは、元塾生である同僚の先生に紹介していただいたことがきっかけです。沖縄教員塾HPに掲載されている厳しい言葉に感銘を受け、「その通り、教師になる者として、私自身の学力をあげることが優先だ」と思い入塾しました。きっと、この沖縄教員塾に入塾していなかったら、昨年までの自分と何の変わりのない毎日を過ごしていたと思います。
 マイペースな私がこうして教員採用試験に合格できたのは、この沖縄教員塾に通い、上高先生と出会ったことや同じ志をもった塾生に刺激されたお陰だと感謝しています。以下、試験に合格するまでを簡単ではありますが、振り返っていきます。

1.一次試験対策(一次試験:一部免除)

 記すことも恥ずかしいのですが、私は、臨任経験は長いものの、これまでほとんど対策としての勉強をしてきませんでした。そのため、塾で使用している教材を主に使って学習し、上高先生からアドバイスをいただいた通りに学習し、塾で配布されたプリント類を解き、間違えたところを繰り返し復習していきました。そんな中で特に、私が力を入れて取り組んでいたことが三つありますので紹介します。
 まず一つ目は、漢字テストを毎回行い、間違った漢字や書けない漢字を辞典で調べることです。私は漢字や語彙力が身についておらず、そのことが点数を落とすことに繋がっていたので、多少、時間がかかっても漢字テストは毎回行い、復習するようにしていました。
 二つ目は、漢文・古文の復習を行うことです。基礎的な漢文の句法や古文の文法についても、私は身についていないので、塾のプリントを解き直し、解説を見ながら一つ一つ教材に、直接、記入していくなどの基礎的な学習を行いました。そのとき、わからない古語・句法・古典文法などは辞典やテキストを使い、ひたすら調べていきました。
 三つ目は、時間を意識して問題を解くことです。私は、国語に関する語彙力や基礎力が乏しいため、問題文を読むことに時間がかかってしまい、すべての問題を解き終わることができなかったり、問題文の内容を理解できずに、解答の選択に迷ってしまったりしていました。しかし、問題を解く「流れ」を意識して、文章の要点や概要を一度で読み取れるようにして、立ち止まらずに問題を解くように練習していきました。

2.二次試験対策(今年は、コロナウイルス感染症の影響のため、面接と模擬授業のみ実施)

 【面接】

 まず、面接調書を仕上げるため、これまでの自分やこれからの展望を踏まえて考えないといけないのですが、語彙力が乏しい私なので、仕上がるまでに少し時間がかかりました。完璧な調書を目指して書き終えたら面接と考えていたため、模擬面接練習を行うことをためらっていましたが、上高先生や先に合格した人達からアドバイスをもらい、完璧な面接調書ではなく8割を目処に仕上げ、面接練習にも付き合ってもらいました。塾3回、学校現場3回を実施し、終わる度にアドバイスをいただいたことで、自分自身の改善に繋げることができました。本番もそうですが、できるだけ自分が経験したことや自分の言葉で答えることを意識して挑みました。(面接調書に関しては、「抽象的で、あなたらしさがみえてこない」という意見を多くもらったので、前日、書き換えて本番に挑みました。)

【模擬授業】

 授業の構想を練るため、専門書や沖縄県の学力推進等の施策に関する資料を読みあさりました。どのような授業展開が求められているのか、身につけさせたい力は何なのかを考え抜いて、授業を組み立てるようにしました。塾3回、学校現場3回を実施し、面接練習同様に、終わったらアドバイスをもらって改善し、次に活かせるよう意識して行いました。今年は、コロナウイルス感染症の影響で、集まる人数や回数に制限がありましたが、とても質の高い練習を行うこうことができたと感じています。塾では、上高先生や教科の先輩方が的確なアドバイスをしてくださり、学校現場では私自身のことを知っている人達や他教科からの視点でのアドバイスをもらうことができたからです。

3.生活 

 私は臨任経験が長いのですが、四年前より特別支援学級の担任を務め、国語専門に関する知識や学力についても薄れ始めていました。そのため、とにかく勉強する時間を増やしていく努力をしましたが、学校現場にいるため、普段の業務・生徒支援・部活動との折り合いをつけることがとても難しく、何度もくじけそうになりました。でも、塾に行くと、私と同じように学校現場に勤めながら、一生懸命に授業に参加している他の塾生を目の前にすることで「このままではいけない」と自分自身を鼓舞することができました。なるべく、周囲の人には塾に通っていることを告げ、17時には帰宅するようにし、塾には休まずに参加するようにしました。そんな中、今年の4月からは、コロナウイルス感染症のため学校は休校になりましたが、課題の対策や電話連絡、消毒作業などの事務的業務が増えたことでストレスを感じることも多くなりました。
 このような状況ではありましたが、上高先生は塾生のことを考慮した対策を続けてくれました。講義は自宅学習に切り替わり、メールでのやりとりを行いましたが、この学習方法が私にはとても合っていたと思います。上高先生もこれまで同様に、細かい添削や指導をしてくださりました。私も、塾に通っていた時同様に、火・土曜日は演習を解き、他の日は最低でも1時間は机に向かい復習をするようにしました。また、読書量を増やし、毎日、新聞に目を通すように心がけました。

4.最後に

 私は、今まで、「子どもたちの成長に寄り添いたい」という思いがあっても、日々の業務をこなすだけで、本腰を入れてなかなか勉強する気になれずにこの歳まできました。臨任を勤めながらも、教師という職業に先を見通せず、採用試験を受けないということを続けてきました。今、振りかえると、本当に身勝手な考えだと自分自身、反省しています。また、これまでの人生を振り返ってみても、かなり紆余曲折な人生を過ごしてきましたが、家族や友人たちはいつも私を信じて励ましてくれました。教員採用試験の合格をいただいた今は、やっと、教師としての本格的なスタートが切れる喜びでいっぱいです。私自身が「良き学び手」として、日々の授業改善の修練を積み重ね、子どもたちとしっかり向き合っていける教師でありたいと考えています。
 一年間という短い間でしたが沖縄教員塾では、教育者としての心構えや立ち居振る舞い方も身につけることができました。塾頭の上高先生は、時には厳しいことをおっしゃいますが、すべて、叱咤激励の言葉であり、私にとっては励まされる言葉が非常に多くありました。このような私が、教員採用試験に合格できたのは、沖縄教員塾に通い、上高先生に教師になるための環境や試験に合格するための学習内容を整えていただいたことや、背中を押していただいたこと、学校現場での先生方や仲間の支えがあってのことです。本当に感謝しています。

 

〈使用した教材・図書〉塾の教材以外

『大学入試 国語頻出問題 1200 [四訂版]』(著作:有座俊史 編著 出版社:いいずな書店)
『中学校教育課程実践講座 国語 平成29年改訂』(編著:高木展郎 出版社:ぎょうせい)
『中学校 国語授業づくりの基礎・基本』(監修:日本国語教育学会 出版社:東洋館)
『中学校 文学―主体的・対話的に読み深める―』 (監修:日本国語教育学会 出版社:東洋館)
『単元を貫く学習課題と言語活動 ―課題を解決する過程を重視した授業づくり―』(監修:日本国語教育学会 出版社:東洋館)
『教育科学国語教育9月号(特集)「書けない」を克服する つまずき指導&おもしろ活動』(発行所:明治図書出版)