2019年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語
はじめに
私が最終合格できたのは、大学を卒業して三年がたった四回目の試験でした。沖縄教員塾に入ったきっかけは、二回目の一次試験終了直後、まったく手ごたえがなく絶望しながら会場を出ようとしたときに手渡された広告チラシでした。はじめは、「教員を目指している人間が塾に頼っていいものか」と思いました。しかし、自分が合格するビジョンがまったく浮かばなかったため、一次試験の結果が出る前に入塾することを決め、連絡しました。塾に入り、塾頭の上高先生や塾生の皆さんと出会ったことで、自分がいかに無知であるかを知ることができました。また、生徒に寄り添える教員になるために、今何をすべきなのかを考え、行動することができるようになりました。そして、入塾して二年後に合格を勝ち取ることができました。今では、本当に入塾してよかったと思います。私の体験記が、少しでも皆さんのお力になれれば幸いです。
一次試験対策
【一般教養】
塾で解いた問題の復習をすることを中心に取り組みました。過去問や練習問題を解いた後、専門である国語とその他得意科目と沖縄に関する問題だけを復習して、あとは答え合わせをして解説を軽く読む程度でした。いつも点数はあまり稼げませんでしたが、その分教職教養や専門科目の対策に時間を費やしました。
【教職教養】
入塾前は、大学の対策講座を受講していました。入塾後は、高得点が期待できる得意分野と、毎年出題が多い傾向の分野等を考慮し、優先順位を決めて対策に取り組みました。優先順位はだいたい、①教育法規・教育史・教育心理②沖縄の教育③特別支援教育④学習指導要領⑤生徒指導の順で勉強しました。復習の方法としては、間違えた問題とそれに関連する用語等をノートに書きました。例えば、幼稚園の目的・目標の条文を間違えた場合、ついでに小中高特支の目的・目標の条文も一緒に書いて覚えていました。条文等の穴埋めの問題は出題された箇所だけでなく、出題されそうだと思う箇所も色ペンで書き、それを読み、目と耳で覚えるようにしていました。教育史や教育心理の問題は、人物ごと、領域ごと(西洋教育史、日本教育史、学習、発達等)に用語をまとめて覚えました。塾で配布される引用集には、間違えた語句に線を引き、付箋を貼ることで、苦手な部分がわかりやすくなるようにしました。完全に苦手を克服し覚えた箇所は付箋をはがしていきました。模試や一次試験本番の直前に、必ずこの引用集に目を通すようにしていました。
【専門科目】
①学習指導要領
塾で国語の授業がある日に30分くらい早めに教室に行き、指導要領の勉強をする習慣をつけていました。ノートには、色ペンを使って学年・領域ごとに区別してまとめました。また、上高先生からいただいた領域ごとの一覧表には、ノートで使うペンと同じ色で、一学年は青、二学年はピンク、三学年は緑で色分けして、線を引いて覚えました。これを試験前日まで続けて、選択肢を見なくても答えが思い浮かぶようになるまで暗記をしました。
②現代文
まずは文章を早く読めるようになるため、新聞を読むことや、本を毎日読むことを習慣づけ、活字に慣れるようにしました。また、練習問題に出てきた意味の分からない語句や漢字は国語辞典や漢辞海を用いて調べました。そして、上高先生の解説を聞いてメモをとったり、問題集の解答解説をじっくり読んだりして、間違えた原因をつきとめるようにしていました。原因がわかると、付箋に書き込んで問題集に貼りました。そして数日後に同じ問題を解くようにしていたのですが、その際に付箋に書かれていることを意識して解くようにしていました。
③古文・漢文
最も多くの時間を費やし対策しました。9月~3月は基礎的な知識を身に付けることを中心に行いました。塾で解いた練習問題の復習を丁寧に行いました。4月~7月は過去問と塾での模擬試験の問題を解いて復習することを中心に行いました。塾の授業中は記憶を定着させる時間があまり設けられないので、とりあえずノートに覚えるべきことをメモしていました。そのあとの自主学習の時間にそのメモと問題を見返して復習していました。
古文の復習は、正しく品詞分解すること、すべての単語の意味を理解すること、敬語を理解し登場人物とその言動や関係性について正しく読み取ること、和歌の解釈をすることができるまでやりました。
漢文の復習は、漢字と語句の意味を理解すること、句法を理解すること、会話文がどこからどこまでなのか、登場人物のうちの誰が言った言葉なのかを理解すること、意味段落に分けること、主題を理解すること等ができるまでやりました。そして、数日後に同じ問題を解くようにして定着を図りました。
④国語知識・沖縄の文学
主に国語便覧を用いて勉強しました。便覧にのっていない言葉と出会ったら、その都度辞書を引きました。暗記事項が多いので、一覧表を作ってみたり、友人同士で問題を出し合ったりなどして、楽しみながら学べる工夫をすると記憶が定着していきました。また、どうしても覚えられないときは、気分転換も兼ねて勉強する場所を変えていました。そうすることで、その時の景色と一緒に記憶することができました。塾で受けた小テストはすべてファイルに綴り、二回ずつくらいは解きなおしました。
二次試験対策
【論文】
私は、面接と模擬授業は自信がなかったので、論文対策に一番力を入れました。「学校教育における指導の努力点」「学力向上推進プロジェクト」「『問い』が生まれる授業サポートガイド」等を読み込み、その内容を踏まえながら書く練習を何度もしました。下書きも合わせると、一次試験終了から一次合格発表までの期間で原稿用紙100枚分くらい書いたと思います。最終的に、塾で出された予想課題に対して練りに練った解答例を9枚作りました。
試験当日の朝は、会場にその解答例だけをもって臨み、試験開始ギリギリまで読み返していました。その結果、模擬授業と個人面接はそれほど高い点数ではなかったものの、論文で得点を稼ぐことができました。
【面接】
一次試験が終わるとすぐに対策を始め、だいたい二日に一回の頻度で行いました。私の場合は学校に勤めていなかったので、塾での対策が中心でした。塾の先生方や塾生の方と何度も模擬面接をし、そのあとに助言をもらい、返答内容の練り直しや印象を良くする話し方の練習などを行いました。ときどき家族にも面接官役をお願いして練習しました。学校に勤めているほかの塾生は、管理職の先生方に面接の練習をしてもらっていました。現場の先生方に直接アドバイスをもらえることは、私にはとても羨ましいことであり、内心とても焦っていました。しかし、上高先生や塾での模擬試験の試験官をしてくださった先生方、そして塾生の皆さんがいろいろな情報を教えてくださったり、助言をしてくださったりしたおかげで、合格にいたるまでの実力を身に付けられたのだと思います。
試験当日の朝は、予想される質問事項とその答えを書いたノート、「学校教育における指導の努力点」「学力向上推進プロジェクト」「『問い』が生まれる授業サポートガイド」等のコピーを持参し、順番が来るまで見返していました。
【模擬授業】
模擬授業の対策は、一次試験の合格通知に同封されている課題の告示を確認するまでは取り組めないので、論文と面接の試験日も含めて10日くらいしか対策できません。まずは、出題される教材を予想し、「『問い』が生まれる授業サポートガイド」を参考にしながら、それぞれの①身に付けさせたい力②めあて③言語活動④まとめ⑤既習事項⑥発問⑦評価規準を考えて、授業をある程度構想しておきました。その際、ノートや一覧表を作って、いつでも書き込みや修正ができるようにしました。そのあとは、塾や学校の教室を借りてひたすら模擬授業を行い、修正を繰り返しました。また、本番は時計を見る余裕がないので、8分の感覚を体に叩き込みました。これを論文と面接の対策と並行して毎日行いました。
試験当日の朝は、対策期間で作成したノートと一覧表を持参し、順番がくるまで読みながらイメージトレーニングをしました。
さいごに
勉強を始めてから合格するまでの四年間、悪い結果を受け入れられなかったり、自信がもてなかったりして、前に進めなくなることが多々ありました。しかし、どんなことがあっても勉強しなければ何も始まらないし変わりません。大切なのは、自信を持つことというより、自信が持てるようになるまで頭と手足を動かして頑張ることだと思いました。
対策中、支えてくださった先生方、塾生の皆さん、家族、友人、すべての方に心から感謝します。これからも謙虚な姿勢で学び続けていこうと思います。そして、これから受験する皆さん、最後まで自分を信じて頑張ってください。応援しています。
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