2019年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

1.はじめに

 教員採用試験を学生時代から受け続け、今回7回目の受験でした。大学卒業後は高校で非常勤講師、その後はキャリア教育コーディネーターとして県立高校で勤務しながら受験。しかし、仕事の忙しさ等を理由に真剣に向き合えていませんでした。
 2018年度から初めて臨時的任用教員として高校現場に入り、クラス担任を務めさせていただくなかで、まずは自分自身がしっかり腰を据えた状態で生徒と向き合いたいという思いが強くなりました。また、一緒に臨任として働いていた先輩の、「遠慮も躊躇もしている場合じゃない、早く合格しなさい。」という言葉で腹を括り、「絶対今年で合格する」と決めて2019年4月からこの沖縄教員塾に入塾しました。
 沖縄教員塾を選んだ理由は、沖縄教員塾に通っていて合格した先輩方が本当に素敵な先生方ばかりだったこと、塾のHPには詳細な合格体験記が多く掲載されていたこと、なにより「場外ホームランを目指す」という言葉に、自身が無意識に「省エネ」で合格しようとしていたということに気づかされたからです。働きながら通えるのか不安もありましたが、勉強時間の確保が緊急課題でしたので、すぐに入塾を決意しました。
 沖縄教員塾で勉強して感じたことは、強い合格への意志を持つ方には最高の塾だということ、上高先生は塾生の合格を目指すだけでなく、沖縄の教育を担う人材育成という観点から接しているということです。短い期間でしたが、上高先生から教育に携わる者としての心構えや在り方をも学びました。絶対に合格するという強い気持ちを持つ方や、真摯に教育と向き合う方々へ沖縄教員塾をおすすめしたいと思います。

2.一次試験対策 ※4~7月の勉強法

 振り返ると入塾するまでの勉強法はあまり効果的なものではありませんでした。限られた時間をいかに有効活用するか、という意識はほとんどなく、手当たり次第に問題を解いたり、知識を増やそうとしたりするやり方でした。学ぶ楽しさも感じられず、勉強自体が辛くなりました。4月に沖縄教員塾に入塾してから勉強法を見直しました。勉強方法は、過去の先輩方の合格体験記を参考にしながら、上高先生にもご相談をしました。基本的に、①復習中心、②必ず辞書を引く、③問題から吸収できる知識を吸収し尽くす、ということを徹底しました。平日の勉強時間を確保することが入塾の大きな目的でしたので、なるべく平日の授業に参加し、土日にはガッツリ復習できる時間をとれるよう意識しました。全体的に勉強不足なので、曜日ごとに勉強する領域を決めて、なるべくバランスよく取り組みました。電子辞書は使わず、古語辞典と漢辞海の二冊を常に持ち歩いていました。

<勉強スケジュール>

教職:専門=4:6で取り組みました。

国語 教職
塾:国語
国語 国語
塾:教職
教職 教職
塾:国語
国語
<時間の使い方>

平日:朝7~8時頃(就業前の40~60分程度)勉強 ※主に教職教養や古文単語など
   塾がある曜日:17:30退勤→19~22時 授業:演習と復習
   塾がない曜日:19:30退勤→20~22時 復習@琉大
土: 朝6時起床→9:30~11時頃(週明けの業務や授業の準備)
   14~17時 授業→17~22時 復習@塾
日: 塾がある場合
    朝6時起床→9~12時 授業:演習と復習
    13~17時 復習@塾 → 18~21時 復習@琉大
   塾がない場合
    朝6時起床→9:30~11時頃(週明けの業務や授業の準備)
    14~17時 復習、20~21時 復習@自宅or琉大

・まとまった時間がとれるときは、3時間ごとに休憩をはさむ意識で取り組みました。
・通勤・通塾の時間が長いので、録音した学習指導要領を聞きながら声に出して覚えました。
・10~15分の隙間時間には、Z会『速読古文常識』か学習指導要領を読込みました。

<勉強方法>

①スケジュール帳に勉強時間をブロッキング→演習内容と自身の弱点をメモ
②演習後は授業の解説を聞いた後に復習。
③復習:(解き直しor解説読み直し→)辞書や便覧で調べ、まとめる。
・入塾資料に記載されている辞書・教材、塾で配布される資料を中心に活用しました。
・手段を目的化しないこと、同じ間違いを2回以上しないことを意識しました。
・覚えるために何度も書くことはせず、知識を整頓する目的でまとめました。
・試験のために覚えるのではなく、繋がっていく学びとして深める、楽しむという感覚も大切にしました。

【専門教科】

●学習指導要領
・スマホのボイスメモに学習指導要領を録音、毎日の通勤・通塾時間に繰り返し聞きながら、唱えて覚えました。
・演習で間違えた箇所は、すぐに学習指導要領を開いて、正しい文章を唱えて覚え直しました。

●現代文
☆使用教材:河合塾『現代文 入試精選問題集7』、国語便覧
①塾の授業:演習→解説を聞く⇒(授業後10~15分)解説を読む→課題文の要約
②復習:間違えた漢字やわかったつもりになっていた語句、文章の流れなどを確認。
    国語便覧や辞書を活用してまとめ直し。
・授業で解いた問題を、その日のうちに10~15分程度で軽く全体をさらい、自身がどこでつまずいたかを把握(スケジュール帳にメモ)。翌日以降にできていなかった部分をじっくりまとめ直す、というやり方が後々しっくりきました。
・評論の要約は文章でというよりも、構成図を書くようにしました。
・間違えた漢字は例文・字義を辞書で確認しました。画数の多いものや、ややこしい漢字のみ書いて練習しました。
・文学史での正答率がよくなかったので、その都度国語便覧で確認しました。そのとき、似ている作家や同時代に活躍した作家にも目を通すようにしました。
・日頃から新書や小説を読んでいて、古典より読解は自信があったので、対策は古典に重きを置きました。

●古文・漢文
☆使用教材:河合塾『古文 入試精選問題集8』『漢文 入試精選問題集9』、
      三省堂『全訳 漢辞海』、ベネッセ『全訳 古語辞典』
①塾の授業:演習→解説を聞く⇒(授業後10~15分)課題文をノートへ書く
②復習:課題文全文を口語訳(辞書引き)→訳せなかった部分を重点的に復習
    →関連事項を探してまとめ直し
・古文・漢文は、解いた問題をもう一度解くよりは、本文をすべて自分で口語訳する方が私の生活リズムには合っていました。解いた問題の復習はなるべくその週で取り組むようにしました。
・A4ノートに本文を書き写し、助動詞などの文法事項を書き込みながら、自分ですべて口語訳しなおすことで、理解が足りていない箇所を洗い出しつつ復習しました。
・なんとなく知っている単語でも、確実に辞書を引き、語義や由来、派生語や類義語・対義語などもさらうようにし、ノートにまとめました。
・文法事項については、文法書や古語辞書を活用しながら解釈の仕方を確認しました。日頃の授業準備・教材研究も教員採用試験の対策にはとても有効でした。
・古文に登場する生活様式も、便覧や辞書で確認しました。
・漢文については、はじめは「精説漢文」などの文法書を活用していましたが、GW明け頃から、辞書メインで復習しました。漢字を漢文言語という観点でまとめられているので、漢字の語義から句形の解釈をしっかり復習することで、漢文を構造的に見るような意識に変わりました。漢文は調べれば調べるほど、分からない部分が出てくるので、復習するたびに新鮮で、漢文の奥深さや面白さに改めて気づかされました。
・漢文の関連知識として、少しだけ中国の歴史もおさらいしました。

【教職教養】

☆使用教材:塾の教材、ミネルヴァ書房『教職をめざす人のための教職用語・法規』
①塾の授業・復習:問題演習→解答→★印の問題中心にまとめ直し(教職用語集活用)
・授業で演習、その後復習で覚えなおすというサイクルで取り組みました。演習問題を中心に、出てきた人物や教授法を体系化するよう、教職用語辞典や塾で配布されたテキストを活用しながら勉強しました。
・特に、教職教養はこれまできちんと対策をしたことがなかったため、意識的に勉強時間を増やしました。4月頃までは、勤務前の40~60分の勉強時間を専門教科の復習にあてていましたが、5月からは教職教養の勉強時間としました。
・コメニウスやルソー、ペスタロッチなどを軸にして、そこから派生させるようにして教育史上の人物は繋げて理解していくようにしました。語呂合わせや断片的な知識の暗記が私には合っていなかったので、流れを大事にしました。
・似たような言葉・人物などの紛らわしいものは、表にするだけだと、かえって混乱してしまいましたが、教育史の流れと関連付けることで間違えにくくなりました。

【一般常識】

・手が回らず取り組んでおりません。今回の試験でもよい結果ではありませんでした。

3.二次試験対策

 一次試験を終えてから結果が出るまでの間は、論文を中心に対策しました。これまで一次試験対策しかしてこなかったため、論文対策をはじめとする二次試験対策は初めてで、形式に慣れず、時間がかかることもありました。

【論文】

・論文は、最初の課題を一つ仕上げるまでに2週間ほど(それ以上かも?)かかりました。課題と原稿用紙の横に県教委の資料を置いて内容を確認しながら取り組みました。
・レポートを書くような感覚で、県の施策を整理することを意識してまとめました。
・塾の教材では10問の課題がありましたが、取り組めたのは9問で、すべてをやりきることはできませんでした。
・「学力向上推進プロジェクト」や「問いが生まれる授業サポートガイド」を熟読。

【面接】

・論文対策と並行して、一次試験の結果が出るまでの間、面接過去問(塾教材)への返答をノートにまとめました。
・塾の資料は、【志望理由】【教師像】といったように、質問が項目ごとに分類されているので、一つ一つの質問に対して返答をまとめるというよりも、カテゴリーごとに伝えたい・伝えるべき内容を箇条書きにして書き出しました。
・私は口下手なので、通塾・通勤時間の車の中で大きな声で受け答えをする練習をしました。
・模擬試験でも、声の大きさ、表情、早口は何度も指摘されていたので、大きな声でゆっくり話すこと、表情を意識しました。
・校長先生や教頭先生とも面接練習をしていただきました。

【模擬授業】

 塾生OBOGの先生方、一緒に二次試験対策に取り組んだ皆さんのおかげだと心から思います。とにかく時間がない中で、今年の課題は「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」という広い範囲でしたので、1人では到底対応できませんでした。対策の進め方は、全員で分担作業して共有し、ブラッシュアップしてまた共有、という流れで授業案を作っていきました。模擬授業を見せ合うなどしました。「問いが生まれる授業サポートガイド」の内容や、メンバーの経験をもとにブラッシュアップを重ねました。メンバーの勤務校などの教室をお借りして、模擬授業を1日1~2回(×10名)ほど行っていました。
・校種・教科ごとに分かれて二次対策グループを編成、さらに学年ごとにグループに分かれて、授業作成を担当する単元を決め、「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の単元をおおむね網羅できるようにしました。
・授業案を作成するときには、①単元名、②目標、③導入、④展開、⑤まとめ、⑥指導項目などを表にしてまとめ、共有しました。(塾生OGOBの先輩の授業案も参考にしました)
・課題の範囲が広かったため、共有いただいたアイデアを実際に自分でやってみることに重点を置きました。
・板書計画をノートにまとめました。
・模擬授業の練習では、他のメンバーの授業を見ている時間もとても勉強になりました。
・模擬試験の際にも、自分の模擬授業が終わったら、他のメンバーの模擬授業を観察して、自身の引き出しを増やしたり、改善点を探ったりするなどしました。
・合格した先輩方や上高先生の「模擬授業は正しさよりは度胸試し」という言葉に何度も勇気づけられました。
・職場の初任研の先生方や教頭先生にも見ていただき、アドバイスをもらいました。

<おまけの息抜き>

・「未来合格体験記」
→合格した時点から、「何をやったから合格できた」「あの時の辛いことはこうやって乗り越えた」ということを振り返る形式で箇条書きしました。気弱になった時、自分を鼓舞することでモチベーションを保ちました。
・読書(元々の日課で、出勤前の数分や寝る前に読書をしました)
→本は、角川ビギナーズクラシック等の勉強に直接繋がるような本を読むこともありましたが、ほとんどは自身が今一番読みたい新書や小説を読んでいました。
・ストレッチや筋トレ、職員レク(バレーやバドミントン)
・推薦図書便り
→月1回、授業の中で生徒へ配布している推薦図書便りの作成。好きなものについて書く時間は、よいストレス解消になりました。
・課題整理
→漠然とした不安やストレスについては、そのまま放置せず、なるべく課題として言葉で整理していくこと、課題はなるべく小分けにすることを徹底的に行うことで具体的に対処することができました。

4.むすびに

 今回合格という結果に繋げることができたのは、上高先生をはじめ、沖縄教員塾で出会ったOBOGの先生方、一緒に二次対策に取り組んだ同志の皆様、日頃業務をサポートしながら応援して下さる職場の先生方、そして何より家族の支えがあったからだと心から思います。特に、一緒に二次対策をしたメンバーの存在が心強かったです。皆さんがいなかったら私はとっくに折れていたかもしれません。気持ちばかり焦って疲弊していくなか、塾で皆さんと会うとほっとし、また互いの頑張る姿に触発され、持ちこたえることができました。人との繋がりの大切さ、教師として大事にしたいこと、知っておかねばならないこと等々、多くのことをこの沖縄教員塾で学ばせていただきました。ここからがスタート地点ですので、対策を通して学んだことを生徒たちに還元していきます。
 最後になりますが、働きながら試験に挑む皆様へ。臨任をしていると、仕事や目の前の生徒の課題と自身の課題とで葛藤する場面も多々あるかと思います。しかし、私が短い臨任経験から感じたことは、1年間よりも3年間、しっかり腰を据えて生徒と向き合う方が生徒のためには絶対によいということです(というのも、私がクラス担任になって初日、入学式後の保護者から言われたことは「1年間、どうか最後までよろしくお願いします」という言葉でした。保護者も生徒も、途中で先生が変わることや年度途中で離任することに強い不安を持っているのだと感じました。)。私が書くのもおこがましいですが、臨任・本務の区別なく、一生懸命に生徒と向き合おうとする方こそ、本務採用としてきちんと現場に残るべきだと思います。長くなってしまいましたが、皆さんが本務採用となることを待ち望んでいる子どもたちがいます。教員採用試験は通過点です。皆さんの合格とご活躍を心から応援しております。