2022年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語
(1)はじめに
私はこれまで一次試験通過の経験もなく、2年間塾に通い7回目の受験で合格しました。塾に入る前の勉強量は、採用試験の2・3か月前から勉強する程度で、試験当日とりあえず試験を受けるだけということを繰り返していました。その時は、試験会場に行くと知り合いに会ったり自分より年齢が下の人が増えていったりすることで、本気ではない自分が惨めで情けなく感じていました。
教員を本気で目指そうと思い、周りの先生方に勧められた沖縄教員塾に入ろうか悩みましたが、まずは自力で勉強してみようと思い、入塾の1年前は大学入試向けの参考書を使って勉強していました。しかし、学習時間確保の難しさや沖縄の文学など採用試験特有の問題の勉強方法が分からないこと、何より試験当日の点数と順位が伸びなかったことに限界を感じ、入塾を決意しました。
私の合格体験記から少しでもヒントが見つかり、参考になれば幸いです。
(2)一次試験対策
専門と教養の学習時間は、1年目が8:2、2年目が9:1くらいのバランスでした。基本的に辞典や配布教材、参考書(購入を勧められたもの)を使って塾の授業の復習をし、分からなかった古語や漢文の句形はその都度書き込んでいました。
入塾して半年は臨任をせず別の仕事をしており、時間に余裕があったため、徹底的に復習していました。授業がある平日は30分~1時間ほど、土曜日は授業前や後に自習をしていました。また、授業がない日の平日は夕方から、日曜日は午前から2~6時間ほど自習室を利用していました。授業の復習をすべて塾で終わらせるつもりで、週に4・5日通っていました。その年の4月からは臨任をしたため、学習時間がグンと減り、やり方も変わりました。
①古文
授業の受講の仕方
問題を解いている時は、主語を補ったり重要単語の意味を原文のそばに書いたりしていました。解説の時は、書き込んだ主語や単語の意味が正解かどうか、授業で取り上げられた文法や古語の意味を覚えているかどうかを確かめていました。覚えていなければ原文のそばに色ペンで記入し、復習の時に自分が理解しているものとそうではないものが区別できるように工夫していました。また、助動詞など配布教材のまとめプリントは毎時間持参し、授業で言われたことや自分が間違えやすいことをどんどん書き込んでいました。
復習の方法と学習時間
専門の中で一番時間をかけていたのが古文でした。
①演習問題に直接現代語訳を書き込む
→②解説の現代語訳と自分の訳を確認する
→③間違えた部分や曖昧な部分は古語辞典や古文単語の教材、まとめプリントで調べる
→④授業で配布された解説のプリントで単語や文法を確認する
という流れで復習していました。
臨任をしていない期間は合計で3~4時間かかり、特に③の作業は時間がかかりました。古文の復習は根気強さが必要で、毎回取り掛かるのが億劫でしたが、古文を読むスピードも理解度も上がったので、地道に続けてよかったと思います。④の塾で配布された解説のプリントは、教材の内容に合わせて重要な語句や文法が載っており、手持ちの古語辞典に載っていない訳が書かれていたり、分かりやすく書かれていたりしたので、教材の内容も古語や文法の使われ方も両方理解が深まりました。臨任を始めてからは、全訳せず重要な部分のみ書き込み、あとは上記と同じ流れで復習していました。
指定教材以外で使用した教材
『マドンナ古文』(Gakken)大学入試向けの参考書。助動詞の意味や接続、識別を覚えるのに役立ちました。入塾前に2・3周して、入塾後はほとんど使いませんでした。
『古文単語ゴロゴ』(スタディカンパニー)大学入試向けの参考書。入塾前に、この参考書を使って古語の意味や使い方を覚えました。入塾後は復習時、古語の意味を調べるための辞典のように使用しました。この教材には掲載されていない古語やその意味もあるので、解説のプリントに載っている重要語句やその意味を追加で書き込んでいました。
②漢文
授業の受講の仕方
問題を解いている時は、単語の意味や重要な句形を原文のそばに書いたりしていました。解説の時は、書き込んだ単語の意味や句形が正解かどうか、授業で取り上げられた単語の意味や句形を覚えているかどうかを確かめていました。また、配布教材のまとめプリントは毎時間持参し、授業で言われたことや自分が間違えやすいことをどんどん書き込んでいました。
復習の方法と学習時間
漢文の句形を覚えるために、句形のまとめプリントを声に出して毎日読んだほうがいいとアドバイスをもらったので、それを2年間毎日続けました。1年目の数か月は訓読文と書き下し文ありのプリントを読み、そのあとは白文のプリントを読んでいました。すると、問題を解いていく中で、自然と重要な句形を見つけられるようになりました。
毎時間の復習は、古文と同じ手順で行い、1・2時間かけていました。2年目は古文に重点を置いたため、ほとんど復習をしていませんでしたが、よく出る句形が出てきたときはまとめプリントや参考書で確認(色ペンで線を引いたり書き込んだり)していました。
③現代文
授業の受講の仕方
文章を読んでいく中で、重要だと思う文や言葉には線を引き、解説時重要だと言われた箇所に色ペンで線を引いていました。そのあと、自分が線を引いた箇所と授業で取り上げられた箇所が一致しているかどうか確認していました。また、段落と段落、文と文の関係を把握しやすいように、逆接の接続詞には△のマークをつけ、文章のテーマや筆者の主張がつかめるように、キーワードは〇で囲み工夫していました。
復習の方法と学習時間
文章をもう一度通読し、わからない言葉に線を引き国語辞典で調べる→解説を読みながら本文をたどりました。また、本と新聞を毎日読むことで、文章を読むスピードが上がり、時間内に解き終わることができるようになり、漢字の問題では、漢字がパッと思い浮かぶようになりました。
漢字については、毎回の漢字テストを復習していました。
①間違えた漢字を国語辞典や漢和辞典で調べる
→②意味や熟語を漢字テストのプリントに記入する
→③漢字を5回練習するというやり方をしていました。
④指導要領
指導要領解説のプリントに赤シート用のマーカーペンで出題された部分を隠し、テストで間違えた文言も下のほうに書きました。採用試験2・3か月前からは、寝る前に出題箇所を赤シートで隠し、正しい文言が言えるかどうかを確かめていました。また、1~3学年の指導内容がどう異なるのか声に出して比べながら読むことで、微妙な違いを把握できるようにしていました。
⑤沖縄の文学
沖縄の文学に関する知識が浅かったため、参考書の解説や注釈を読み、分からない語句を調べ書き込んでいきました。また、配布教材がとても分かりやすくまとめられていて、参考書だけではわからないものや暗記するために活用しました。指導要領と同じように、毎時間のテストや模試で出題された箇所に赤シート用のマーカーペンで線を引き、寝る前に赤シートで隠し覚えているかどうか確認しました。また、沖縄の作家の本を読み、知識だけではなく、実際に読むことで記憶に残るよう工夫しました。
⑥教養
授業では、穴埋め問題になっている部分をまずは自力で解き、次に解答・解説を見て正解・不正解を確認していました。解説の時に上高先生が話すエピソードや情報は初めて知るものも多く、深く考えさせられるので、一次試験対策はもちろん二次試験対策にも効果的でした。
復習時は、授業で解いた問題集と各分野の引用集・まとめを使いました。授業内で解いた教養テストと問題集で穴埋めになっていた箇所にあたる分野を調べ、赤シート用のマーカーペンで線を引き、そこが間違えた箇所であれば誤答を書き込んでいました。また、言葉の意味が曖昧であれば辞典で意味を調べたり、間違えやすい文があるのであれば比較し異なる箇所に線を引いたりしていました。引用集・まとめは、表で一覧になっていたり参考書に載っていない情報がまとめられていたりしていたので、読書感覚で読んで理解を深めていました。
1年目の途中までは時間に余裕があったため、毎時間、上記の方法で出題箇所をすべて復習していましたが、臨任で働いてからは専門に重きを置くため、教育法規、特別支援教育、教育史・教育心理の落としたくない分野3つを中心に復習していました。一般教養は模擬の国語と沖縄に関する問題の復習のみで、他は触りませんでした。
⑦模擬試験や当日のテストの受け方
時間配分を必ず行いました。最初は、時間内に解くことができず、上高先生からも「時間内で解けない解き方をしない」と言われていました。試験が始まり、ページ数と問題数を確認したら、終了5分前にすべて解き終わるように設定し、時間÷大問の数で一つの大問を何分で解くか決めていました。決めた時間になったら、解き終わっていなくてもマークをして次の問題に進んでいました。2年目には5~10分前に解き終われるようになり、本番でも約10分前に解き終わり、ゆとりをもって見直しができました。
⑧毎日やっていたこと
新聞を読むことと、1日2ページ本を読むこと、漢文句形まとめのプリントを声に出して読むことです。
⑨意識していたこと
- 勉強方法は、自分にとって少し頑張れば継続できるくらいのハードルのものを選んでいました。例えば、古文を訳するときは教材に直接書き込むことで、すぐに復習に取りかかれるようにしていました。直接書き込むと、スペースが狭く見た目はごちゃごちゃしてしまうのですが、“すべてを丁寧に見やすくする”ということを続けるのは、私にとってハードルが高く、継続が難しいと思ったため、シンプルな方法にしていました。
- 授業1回分の教材に、どれだけ多くの資料を使って分析するかということを意識していました。解説プリントで確認して終わりではなく、辞典で調べて、解説プリントも見て…というふうに手間と時間をかけることで、印象に残るよう意識していました。そのほうが次から同じ問題のミスが減るし、もし間違えたとしても時間をかけて復習したものなので、自分の中で悔しさが残り、次につながるからです。
(3)二次試験
受験調書は、まずは前年の受験調書を見ないで、思い浮かぶことを書き出しました。塾で配布された二次対策の教材を読んだり、書きたいテーマに合わせて県の文書を読んだりしていました。そこから、自己PRに取り入れられそうなキーワードを書き出し、自分の考えをまとめていました。
面接は、
①質問事項に対して、思い浮かぶ答えをスマホのメモに箇条書きにしていく
→②テーマに応じて、県の文書を読んで方針を把握したり自分の答えと結びつけられそうなキーワードをメモしたりする
→③順番を並び替えたり言葉を付け加えたりして、文章にする
→④上高先生に添削してもらう
→⑤完成した答えを専用のノートに書き込む、
という対策を、一次試験合格後まで続けていました。ノートに書き込むことで、頭の中に入れたり、自分の回答同士を関連付けたりすることができ、本番スムーズに答えることができました。また、自分の答えを細かく添削してもらえることで、どういう意図で質問しているのか、具体的にどのようなキーワードを入れたほうがいいかなどを知ることができました。場面指導は、まず、指導内容を考え、次に、実際に指導し、時間を計ったり内容がこれで良いのか確認したりしました。提出するまで3回ほど取り直したと思います。声の大きさや目線、言葉遣いも意識しながら教室で撮影していました。
実際の面接練習は、塾で2回、職場の校長先生に2回見てもらいました。最初は緊張して、自分が何を言っているかわからなくなったり、予想外の質問にしどろもどろになってしまったり…とボロボロでしたが、面接の回答を何度も声に出して読むことで、自分は何を伝えたいのかという軸ができ、改善できたと思います。
模擬授業づくりは、情報収集→シンプルにしていく作業というイメージです。まず、指導書を読み、教材の全体像や指導要領とズレないように確認しました。次に、授業実践例が載っている書籍を参考に、構想を練っていきました。10日前後で指導案と板書計画を作成し、大学教授に模擬授業と指導案の助言をもらいました。同じ題材でもいろいろなやり方があるため、「あれもこれもしよう」と最初は詰め込んでいましたが、実際にこの授業を1時間でできるか、この授業内容がどう次につながるのか、どこをどう評価するのかなどを助言も含めて総合的に考え、質問されたときに自分が答えられることを基準に絞っていきました。
模擬授業は、塾で2回、勤務校の先生方に1回見てもらい、あとはスマホで撮影しながら一人で7・8回ほど練習しました。黒板に貼る教具は、わかりやすく見えやすいよう、何度か作り直しました。模擬授業を予定通りにこなすことばかりにとらわれ、淡々とした授業になってしまい、塾での2回目の模擬授業で指摘されたので、明るく、笑顔で、大きな声を意識しました。自分でやるときは精一杯になってしまい、本来教師に必要な態度を忘れてしまっていたので、塾で客観的に見てもらえるのはとてもありがたかったです。
(4)生活
①臨任の仕事と学習の折り合いのつけ方
- 質より量! 復習が間に合わないことも正直何度もありました。その時、完璧を目指すのではなく、少しでもこなすことを目指しました。完璧を目指すと、できなかったときにモチベーションが下がり、授業や次の課題に影響してしまうので。ハードルを下げて目の前の課題を少しでもこなすことを意識していました。
- 毎週火曜日は仕事を切り上げて授業に出席するよう心掛けていました。また、火曜の授業の復習はできれば水~金に仕事を早く切り上げてやるようにしていました。国語にまったく触れない日がないようにしていました。
②学習時間の作り方の工夫
- スマホとの付き合い方を見直しました。家で問題を解くときや復習をするときは視界にスマホを入れないことと、SNSで知り合いとつながっていたので、アカウントを消していました。これだけでだいぶ集中力が上がったと思います。
- スマホはスクリーンタイムで何時間使用したか確認していました。使いすぎた日を把握できるので、自分への戒めにしていました。
- 家事など家のことはパートナーや家族に頼んでいました。周囲を積極的に頼って、サポートしてもらいました。感謝しきれないです。
- どうしても観たい番組以外、テレビを観ませんでした。これは意識してやったのではなく、仕事以外の時間を授業参加と復習に使っていると、自然とテレビから離れることができました。
- 新型コロナが流行し、外出が減ったことで、勉強に集中することができました。私は家より外で勉強したい派だったので、その面では不便でしたが、誘惑に負けやすい性格なので、よかったなと思います。
③気分転換の仕方
音楽を聴く。SNSを見る。人としゃべる。コンビニへ行く。ネットショッピングをする。時間や手間をかけずに気軽にできるものをやっていました。
④モチベーションの保ち方
合格したらやりたいことを想像していました。模擬試験の結果を見て、自分を鼓舞していました。周りの先生方に塾へ通っていることを話し、「次の採用試験で受かる」と宣言することで、自分へのプレッシャーと周囲の人から応援してもらっていました。
(5)あきらめずに教員を目指した動機
子どもたちのそばで成長を見守りたいと強く思ったからです。私は教員になるまで迷いがあり、別の仕事に就いたこともありました。合格まで遠回りになってしまいましたが、自分の気持ちに正面から向き合うことで、整理がつき、意思を固められたと思います。この経験がなければ、二次試験は合格してなかったと思います。採用試験合格を目指している皆さんも、教員としてこうありたいという気持ちを持って挑めば、継続することができると思うので、あきらめずに頑張ってほしいなと思います。
(6)最後に
合格の要因となったのは、やはり勉強量だと思います。やらなきゃいけないことや誘惑が多い中で、勉強時間を確保することはなかなか難しいと思いますが、合格のプロである上高先生にサポートしてもらい、同じ道を目指す仲間から刺激を受けることは、私にとって最適な方法だったと感じます。自分で勉強するのに限界を感じている方や、入塾を迷っている方には、ぜひ入塾してほしいなと思います。
そして、沖縄教員塾に通い、学習面はもちろん、精神面も変わりました。試験に関することはもちろん、沖縄の教育の現状や社会のあり方など、視野が広がり、物事が柔軟に考えられるようになりました。あとは、上高先生のお話は面白く、なるほどと思えるものが多かったので毎時間楽しみにしていました。今では定期的に聞けなくなるのが残念なくらいです。
教員塾で過ごした日々を忘れずに、愛情あふれる教員になりたいと思います。この合格体験記を読んでいる皆さんと、一緒に働ける日を楽しみにしています。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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