平成29年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校国語

(1)はじめに

 私は高校国語の教員を目指して3回目となった今回の受験で、念願の最終合格という結果を掴むことができました。この結果は、決して一人だけの力では掴むことができないものでした。これまで出会った多くの方々の支えのおかげです。
 以下に私の経験を記します。これから試験に挑むみなさんにとって少しでも役立つことができれば幸いです。

(2)一次試験

●平成26年冬~平成27年7月(一日当たりの学習時間:1~2時間程度)

 この期間は主に教職教養の勉強を行っていました。合格した友人から譲ってもらった問題集や、オープンセサミシリーズ等の市販の問題集などを使用しながらの勉強でした。専門国語の勉強はあまり行っていません。「国語は何とかなるだろう」という甘い考えが、どこかにあったのだと思います。この年は、専門国語も教養も思うように点数を取ることができず、一次を突破することはできませんでした。

●平成28年4月~7月(一日当たりの学習時間:5~6時間程度)

 この年から本腰を入れて勉強するようになりました。4月からは臨任をせずに自宅で勉強をしていました。塾には通っていません。専門国語と教職教養の出題分野と出題傾向を基に学習の優先順位を決め、一日当たりのノルマを決めて実行しました。二次試験の対策は行っていません。以下、一日の流れです。

1.学習指導要領

①過去に出題があった箇所・出題が予想される箇所を赤く記したもの、②過去に出題があった箇所・出題が予想される箇所を空欄にしたものの二種類を使用。②を見ながら暗唱テストを行い、①で確認する。一日の学習の始まりと終わりに必ず行う。

2.古文単語(いいずな・『古文単語330』を使用)

 一日12~13単語。試験までに単語帳を3周できるようにした。1周目はノートに単語と意味と用例を書き写し、2周目以降は赤シートを用いて単語帳で確認。

3.漢文句形(桐原書店・『漢文必携』を使用)

 句形編と語彙編のみ。一日あたりのページ数を決め試験までに3周できるようにした。1周目はノートに書き写し、2週目以降はノートを見ながら確認。

4.国語知識

 (数研出版・『クリアカラー国語便覧準拠ワーク』、桐原書店・『日本文学史必修ノート』を使用)
 本体には書き込まず、ノートに答えを書いて解答する。間違えたものは便覧で確認。便覧の準拠ワークは見開き1ページ、日本文学史必修ノートは見開き2ページ行う。

5.古典基礎演習(第一学習社・『完全マスター古典文法準拠ノート 基礎固め』他 10冊程度使用)

 古文単語や漢文句形等、ノルマ2・3で行った内容を確認する目的で行う。1冊あたり7~10日で終えるように、1日あたりのページ数を決めた。7月上旬までには全冊子を終えるようにした。

6.教職教養分野(友人からもらった問題集等、様々なものを使用)

 試験までに「教育法規週間」や「学習指導要領週間」、「特別支援教育週間」など自ら設定し、その期間にその分野の学習を行った。ノルマのページも分野ごとに設定し、暗唱テストを行ったり、覚えにくいところはノートにまとめて整理したりした。

7.沖縄の教育(「学校教育における指導の努力点」他)

 気分転換を兼ねて音読したり、赤シートで重要なフレーズを確認したりした。

8.教養テスト(協同出版・『沖縄県の教職・一般教養過去問 2016年度版』等を使用)

 過去問や予想問題などを解き、定着度を確認。解いた日付と点数を表紙に貼って記録。

9.センター対策問題集

 (古典:いいずな書店・『センター試験演習古典・オリジナル24問』他 10冊程度。
現代文:いいずな書店『センター試験演習現代文・オリジナル20問』他 10冊程度)
 評論・小説・古文・漢文、各一題毎日解く。評論は20分、小説・古文・漢文は15分を目安に解く。解答後は解説を確認し、分からなかった単語は辞書を引き、マーカーでチェックすることを徹底した。

 ノルマ制にしたのは学習の漏れを防ぐためです。ノルマを早くこなすことができた日は、決して翌日の分を先取りせず、残りの時間を自由に過ごして気分転換をするようにしました。これによって、試験まで自らの学習ペースを守ることができたのだと考えています。この年、初めて一次を突破することができました。

●平成29年4月~7月(一日当たりの学習時間:10時間程度)

 4月上旬に沖縄教員塾に入塾しました。受講者数が定員いっぱいで、専門国語を受講できなかったため、授業会員(専門国語以外)として週に1回、日曜日の教養のみ受講しました。4月~6月の半ばまでは臨任をせずに、昨年と同じく日々のノルマを設定して勉強していました。昨年と大きく異なる点は、①教職教養分野の学習において塾の資料を主に活用、②沖縄の文学を日々のノルマに追加(沖縄県高等学校障害児学校教職員組合『沖縄の文学』と塾のプリントを使用)、③塾からの漢字プリントを日々のノルマに追加、以上の3点です。
 塾の教養の授業では毎回、教職教養のテストが行われます。そして、平均点と上位の点数が発表されます。これはとても良い刺激になりました。週に一度の塾は、勉強のペースメーカー的な役割として活用しました。
 6月下旬からは臨任の仕事をするようになり、勉強時間は大幅に減りましたが、「これまでの期間で自分がやるべきことはやってきた」という自信があったため、試験への不安は無かったです。試験本番では、教養で思うように点数を取ることができなかったのですが、専門国語の点数に助けられ、一次を突破することができました。

(3)二次試験

●平成28年

 一度目の二次試験のときは、どのように対策をして本番でどのようにふるまったか、よく覚えていません。しかし、一つ確実に言えることは、全く「自分らしさ」を出せなかったということです。
 この年は合格通知が来てから二次対策を始めました。取組の遅さに加え、二次試験に関する情報も不足していました。そんなときに前年度勤務校の先輩が声をかけてくださり、運よく数名の一次合格者の方々と対策を行うことができました。しかし、現場経験豊富な先輩方の模擬授業や論文に圧倒され不安になり、次第に「上位合格は無理だ。ギリギリでも合格できればいい。」といった考えを持つようになりました。
 また、「早く合格したい」と焦った私は、様々な方が教えてくださった多くの情報を自分の中で整理することができず、すべてを取り入れようとしました。その結果、自らが楽しいと思えるような授業、どのように生徒と向き合っていきたいかという自らの想いといった「自分らしさ」が分からなくなってしまいました。
 このような状態で受かるはずもなく、最終合格はなりませんでした。

●平成29年

 私の場合、二次試験対策で最も時間を割いたのは模擬授業でした。次いで、論文、面接の順です。以下は二次試験が行われる日程の順に記しています。

①論文対策

 塾では十本の論文課題が出されました。どのような課題が当日に出されても書きあげることができるという自信をつけるためにも、一次試験終了後から二次試験までの間に十本すべてをやりきりました。添削は上高先生にしていただきました。論文はできるだけ多く書いておく方がよいと思います。論文を書く作業においては、様々な課題について考え、それぞれの課題に対する自分の中の「考えの柱」を明確にすることが大切です。この「考えの柱」は、面接の際にも大きく役立つものになると思います。

②面接対策

 塾からの二次対策資料に載っていた質問事項に対する答えを頭で考えたり、答える際のキーワードをノートに書いたりすることで対策を行いました。ただし、志望動機や1分間の自己アピールについては、ノートに文章として書いて暗記するようにしました。この二点が大事だと合格した先輩もおっしゃっていたためです。何度も添削して練り上げました。その結果、本番でも堂々と自信をもって伝えることができました。
 面接練習は、上高先生や前任校の教頭先生にもお願いして見ていただきました。また、塾生同士でも簡易的な面接練習を行いました。これによって、困ったときに咄嗟に出てしまう言葉の癖など、自分自身ではなかなか気付けない点に気付くこともできました。

②模擬授業対策

 昨年の出題は国語総合の古典分野からでした。今年の模擬授業も国語総合からの出題という点は同じでしたが、古典分野という指定はありませんでした。出題可能性のある範囲が昨年よりも広がったこともあり、「一日必ず一度は模擬授業を行う」というノルマを自らに課しました。自信をつけるという意味でも、この取り組みは良かったと思っています。
 模擬授業は、前任校や塾で行いました。教科・校種の関係なく、一日一度は必ず誰かに見てもらい、アドバイスをもらうようにしました。声の大きさや表情など、教師としての基本的なふるまい方については、他教科の先生の方が気付いて指摘してくださることが多かったような気がします。可能であれば、同じ教科だけではなく、他教科の先生にも見てもらうとよいと思います。
 また、模擬授業のためにノートをつくり、①学習指導要領における領域と指導事項、②板書計画、③本時の活動の流れ、④評価の観点、⑤単元の流れを書くようにしました。指導案のような形では作っていません。
 模擬授業に関しては、数をこなすことが最も重要だと思います。初めは緊張するかもしれませんが、準備が十分にできていなくても、自信がなくても、まずは誰かの前でやってみることです。焦っても間違えても、大丈夫です。完璧にできなくても、行ったということが自信に繋がっていきます。また、模擬授業の時間が終われば周りの人たちは、きっとアドバイスをくれるでしょう。そうやって少しずつ授業の形を作っていくとよいと思います。

(4)おわりに

 私は高校国語の教員になると決めて3度目の受験で最終合格という結果を手にすることができました。初めての一次試験、初めての二次試験では、経験豊富な先輩方に圧倒され、自信を失いました。そして、自らの現場経験の少なさを不安に思い、あたかも経験不足が不合格の原因であるかのように捉えたこともありました。しかし、その考え方は誤りでした。「自分らしさ」を失っていたこと、それが最も大きな原因でした。
 昨年の二次試験での不合格は辛い経験でしたが、この1年間で「自分」というものを見つめ直すことができたように思います。この経験がなければ出会うことができなかった生徒・先生・先輩・教員塾の仲間たちに支えられ、関わっていく中で「教師になりたい」という思いを改めて強く持つことができました。私を支えてくださったすべての方々に、この場を借りて心から感謝申し上げます。
 そして、これから試験に挑むみなさん。合格までの道は、決して簡単なものとは言えません。しかし、決して受からない試験ではありません。「自分らしさ」と「教師になりたいという志」を忘れずに、日々の努力を重ねれば、きっと結果がついてきます。くるしいかもしれません。でも、投げ出さずに頑張ってください。みなさんの合格を、心から祈っています。