平成29年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 高等学校国語

(1)はじめに

 有難いことに私は臨任が途切れることなく、気が付けば初めて教壇に立ってから8年の月日が経っていました。毎年、「教材研究を重ねれば採用試験の勉強にもなる」と自分に言い聞かせてきました。しかし、今年の3月に臨任の話がなかった時に改めて自分の境遇がいかに不安定で危ういものかを思い知り、一念発起して勉強に集中することにしました。1日最低10時間は学習時間を確保すると決意し、糸満青年の家の学習室で朝から晩まで過ごしました。7月からは臨任が決まり働きながらの勉強となりましたが、平日も3時間は自宅で勉強しました。合格してみると、上高先生のおっしゃっていた「学習時間が少ないことが不合格の要因だ」という言葉が身に染みました。私でも合格できるのだから、これから受験する皆さんも学習時間を確保さえできれば必ず前進できると思います。

(2)一次試験・専門教科(一次一部免除対象)

 一次は専門だけだったので、とにかく専門の得点が140点超えるように計画して取り組みました。そのためには、「指導要領」や「沖縄の文学」など確実に点に繋がるところは満点をとるつもりで挑みました。

〈指導要領〉

 自作の豆テストを作成し、毎日取り組みました。豆テストは指導要領をコピーし、最初は過去に出題された箇所を修正テープで隠し記述方式で行っていました。本番は選択ですが、必ず記述で正確な解答が答えられるようにしていました。昨年から文章形式で出題されるようになっていたので、単語だけでなく文章で覚えることも心掛けました。

〈沖縄の文学〉

 全て『新編 沖縄の文学』(高教組教育資料センター)を中心に勉強しました。参考書代わりに利用し、過去問や過去の模擬試験を見直す際には必ず手元に置き、出題された部分はチェックしました。私の解いた沖縄の文学の問題でこの本に載っていない知識はまずありませんでした。

【使用テキスト】

『新編 沖縄の文学』(高教組教育資料センター)

〈国語常識〉

 塾で配布されたテキスト(沖縄教員塾)を隈なく暗記しました。四字熟語や故事成語は国語便覧で意味を確認し、一問一答を自作し覚えるまで何度も復習しました。特に季語や時候の挨拶など感覚だけで解いていた問題の取りこぼしがないようにしました。

【使用テキスト】

専門国語 国語知識(沖縄教員塾)
専門国語 国語常識問題(沖縄教員塾)

〈韻文〉

 毎年苦戦していたので、割り切って暗記科目として取り組みました。これも塾で配布されたテキストを活用し、解説を暗記しました。本来は鑑賞を楽しみたいところですが、そういった私情を捨て、俳句では季語、和歌では枕詞等にみられる技巧をただひたすら暗記しました。和歌の技巧によって生み出される効果さえも暗記で補いました。とはいえ、全ての作品を網羅することはできないので、作家ごとに有名な作品を3~5つほど選びノートにまとめ、作風をイメージできるようにしました。

【使用テキスト】

専門国語 短歌・俳句(沖縄教員塾)
新国語便覧(第一学習社)

〈散文〉

 現代文も古文もとにかく時間との戦いだと思ったので、毎日「評論」「小説」「古文」「漢文」の文章題を解きました。思い切ってセンター試験の過去問を解くことはやめました。センター試験は選択肢にある程度のパターンがあり、解答を誘導されてしまい力がつかないと思ったからです。問題集は中堅以上の私大か国公立2次対策用の記述式を購入し解いていました。しかし採用試験に比べると文章が短いので、6月以降は採用試験の過去問を解きました。最終的に3回は同じ問題を解きましたが、満点は1回も取れなかったので何度も取り組むべきだと感じました。

【使用テキスト】

首都圏「難関」私大古文演習 (河合塾シリーズ)
最強の古文 読解と演習50(Z会出版)
漢文道場(Z会出版)

(3)二次試験

 一次の対策と並行して4月から週に1本は論文を完成させるようにしていました。一部免除者は得なようで、教職教養を触らない分、二次試験では不利になると考えたからです。新学習指導要領や学力向上推進プロジェクトの内容理解を深めるために論文を書くことは効果的でした。結果的に合格発表が出てからは模擬授業に集中することができ、論文を書き溜めたお陰で面接にも対応できる基礎的な知識を身に着けておくことができました。模擬授業は以前勤務していた学校の国語科の先生方に「評論」「小説」「古文」「漢文」のひと作品ずつ見てもらい、それぞれの型を決めました。本番でどの作品を指定されても型を貫く。実際、本番は練習していなかった作品でしたが「既習事項」と「本時のめあて」は決めていたので、なんとかそれらしい形で授業ができました。一次試験の合格発表が出てから二次試験までは思った以上に時間がありません。一次試験が終わってからではなく、特に論文に関しては早めに取り組むことをお勧めします。

(4)おわりに

 私は8回目の受験でやっと「採用候補者名簿」に名を連ねるチャンスを得ました。何年も苦戦していたので途中で転職も考えました。紆余曲折ありながらも合格できたのは、「今年こそは絶対に何があっても合格する」という強い決意でした。私には皆さんにアドバイスできるような優れた学習方法もなくコツもありません。しかし、勉強法は受験生の数だけあると思います。「絶対に合格する」と覚悟を決めて、誰のやり方でもなく自分の勉強スタイルを築いて下さい。