2019年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語
(1)はじめに
私は、2018年の4月から2019年の8月までの約1年4カ月間、沖縄教員塾に通いました。採用試験は大学4年次から受け続け、今回で10回目の受験だったと思います。
宮古島での臨任経験が長く、仕事がある環境に甘え、本腰をいれて採用試験の勉強をすることなく時間が過ぎていきました。2018年4月からは沖縄本島へ行くことを決め、本島内での臨任を希望していましたが、教育事務所から連絡がなかったため「これは勉強をしなさいということだ」と気持ちを切り替え、沖縄教員塾に連絡をしました。
以下に、私の一次試験の勉強法と二次試験の対策を記したいと思います。教員採用試験合格を目指す皆さんの参考になれば幸いです。
○2018年4月~8月・・・全日会員(専門教科・一般教養、教職教養を受講)
※この時期に時間をかけて勉強したことが、後の合格につながったと思います。
○2018年9月~3月・・・授業会員(専門教科のみ受講)
※8月20日から中学校での臨時採用の連絡があったため、9月から授業会員に変更しました。
※臨時教員として働きながらの勉強はとても大変で、復習が追い付かない日や、授業に参加できない日もありました。
※上高先生に勧められて、この期間で特別支援二種免許状(採用試験の際に10点加点)を取得しました。
○2019年4月~8月・・・全日会員(専門教科・一般教養、教職教養を受講)
※3月まで一部免除の対象になっていると勘違いしていました。願書提出の際に対象ではないことに気付き、4月から全日会員に変更して一般教養・教職教養を受講しました。
※4月以降も学校で働きたいと思い教育事務所に臨時登録していたのですが、2月上旬に妊娠していることが分かり、4月以降休んで勉強することを決意しました。しかし体調が優れないことも多く、思うように勉強時間を確保できずに不安ともどかしさを感じながら勉強していました。
(2)一次試験について
1.一般教養・教職教養
○2018年4月~8月
4月に入塾後、塾で配布された資料、問題以外は取り組んでいません。一般教養には全く手をつけず、教職教養、専門教科の勉強に時間をかけました。
教職教養の勉強法としては、塾で配布された資料にマーカーで線を引き、ひたすら暗記することをしました。間違えやすい部分は、自分の言葉で説明書きを入れ、同じ間違いを繰り返さないように気をつけました。また、私は教育原理や教育心理などの人物名を覚えることがとても苦手だったので、ゴロ合わせで覚えていました。
月例テストやチェックテストで間違えたところは資料と照らし合わせながら復習し、間違えた選択肢だけでなく、他の選択肢も調べ、他の問題が出ても対応できるようにしました。私はノートにまとめる方法が合わなかったので、暗記用マーカーは大活躍でした。
この時は専門教科に重きを置いていたのと、教職教養でも頻出の教育法規や学習指導要領、特別支援教育を中心に取り組んでいたため、沖縄関係の問題に関してはあまり取り組めませんでした。この年度の試験から沖縄に関連する問題が多く出題されたため、試験本番では思ったよりも点数は取れませんでした。
○2019年4月~8月
再度教職教養を受講することになり、以前勉強したことを覚えているか少し不安もありましたが、意外と覚えているものも多くありました。勉強法は以前と変えず、暗記用マーカーを使用し、資料に言葉を書き込みながら覚えていきました。教育法規や学習指導要領、特別支援教育などは以前の記憶が定着していたため、学習指導要領解説や沖縄問題にも取り組むことができました。しかし、専門教科の点数を上げることが合格への道だと感じていたため、教職教養には週に1回の授業日にしか取り組んでいません。
2.専門教科
塾に通いはじめた2018年4月から、特に苦手な古文と漢文に集中的に取り組みました。古文、漢文の基礎もなく、勉強法もわからない中でスタートしたのを覚えています。塾生には9月から通って古文、漢文の基礎を終えていた方が多く、私は他の塾生よりも遅れをとっていたため、授業で上高先生にあてられたときも「わかりません」と答えることも多くありました。
しかし、全日会員ということもあり、働きながら塾に通っている塾生よりは勉強時間を確保できていたため、上高先生から勉強法などのアドバイスをいただきながら、自分に合う勉強法を見つけていきました。上高先生には「復習に時間をかけなさい。辞書をひきなさい。」ということを言われ、漢文句法、古文文法などの基礎に加え、授業で扱った問題の復習にとても時間をかけました。以下に、使用した教材と私なりの勉強法を記します。
○古文・漢文
【使用した教材】
・『基礎からのジャンプアップノート 古典文法 演習ドリル』(望月光、上田慶子 共著)
・『基礎からのジャンプアップノート 漢文句法 演習ドリル』(三羽邦美 著)
※上記の2冊は2018年4月の入塾後から取り組み、1ヶ月程度で終えたと思います。この2冊で漢文句法、古典文法の基礎に取り組みました。
・『基礎から学ぶ 解析古典文法』(桐原書店)※塾に毎日持参し、復習の際に必ず使用していました。
・『漢文早覚え速答法』(田中雄二 著)※夜寝る前等に目を通していました。
・『漢文句形とキーワード』(原安宏 著)※塾に毎日持参し、復習の際に必ず使用していました。
・『古文単語ゴロゴ』(板野博行 著)※塾に毎日持参し、復習の際に必ず使用していました。
・『頻出古文単語400』(仲光雄 著)※塾に毎日持参し、復習の際に必ず使用していました。
※2018年10月頃から、古文単語を覚えるために車で『速読古文単語』のCDを流し、家では『古文単語ゴロゴ』のCDを流し、耳から覚えるようにしていました。
【勉強法】
- 授業で問題を解く
- 上高先生の解説を聞きながら解答をする。
- 翌日に、復習する。復習の際は、上記の教材以外にも必ず古語辞典、漢字辞典を活用。辞書を引いた方が、確実に記憶が定着します。
古文はルーズリーフに本文を書き込み、すべて品詞分解をする。書いた本文の右側には助詞・助動詞の活用形や意味を書き込み、左側には自分の言葉で訳をしていく。ルーズリーフの下に線を引いて5センチ程の余白をつくり、重要単語をまとめる。
漢文もルーズリーフに白文もしくは訓読文を書き込み、句形を確実におさえ、書き下し文、現代語訳をしていく。白文を書き下し文になおす際は、自分の言葉で説明書きを加えながらしっかり理解できるようにする。古文同様、ルーズリーフの下に線を引いて余白を作り、重要単語や句形をまとめる。
上記のような流れで勉強していました。問題をむやみに多く解くことはせず、一つの問題に時間をかけて復習し、同じ間違いを繰り返さないように心がけました。一つの問題の復習に3時間~4時間かけていたと思います。
しかし、臨任として働くようになってからは、上記のような方法で復習に費やす時間がなかったため、塾の授業で解く教材の本文に直接書きこみをして、古文であれば品詞分解や現代語訳、漢文であれば句形や現代語訳を書き込んでいきました。また、上高先生から配布されるプリント(古典文法や漢文句形などがまとめられたもの)を活用し、マーカーや書き込みをしながら、限られた時間で復習をするようにしました。上高先生から配布されるプリントには、間違えやすい古文助動詞の違いなどが細かくまとめられているので、最大限に活用することをおすすめします。
2019年の4月からは妊娠していたこともあり、勉強に専念することとして全日会員に変更したため、ルーズリーフを使った勉強法に戻し、復習に時間をかけるようにしました。勉強方法は人それぞれだと思いますが、私にはこの勉強方法が1番合っていました。自分が置かれた環境を考えながら、自分に合う勉強法を早く見つけることが大事だと思います。
○現代文
塾の教材しか使用していません。以下、勉強法です。
- 授業で問題を解く。問題を解く際は、接続語に着目し、重要だと思う個所に線を引きながら解く。そして、時間内に解くように、無回答がないように心がける。
- 上高先生の解説を聞きながら解答をする。その際、上高先生がおさえた各段落の重要な文に線をひいたり、解説を書いたりする。
- 授業後、早い段階で復習する。わからない言葉は辞書を引き、意味をおさえる。記述式の問題は再度解説を読みながら、自分の言葉でキーワードを入れて解答する。選択問題では、なぜこれが正解になるのか、不正解になるのか自分の言葉で説明書きを加える。
○沖縄問題・知識問題・学習指導要領
『新編 沖縄の文学』※暗記用マーカーを使用し、覚えました。
『常用国語便覧』(浜島書店)※知識問題で活用しました。
私は知識問題が苦手で、1点の知識問題に時間をかけるよりは、他の問題に時間をかけた方がいいと考え、あまり取り組んでいませんでした。しかし、本番では1点の差で合否が分かれます。得点できるものは確実に拾わなければと考えを改め、知識問題にもしっかり取り組むようにしました。四字熟語や対義語などは辞書を引き、作家や歌人は便覧を見ながらノートにまとめて、時間があるときはノートを見て覚えるようにしました。
学習指導要領は、塾で配布されたプリントに暗記用マーカーで線を引き、声に出して読みながら覚えるようにしました。間違えやすい語句は、各学年の教科書の内容や授業を思い出して関連付け、説明書きを加えながら覚えるようにしていきました。
(3)二次試験について
私は、平成30年度の1次試験の自己採点が164点でした。教養の難易度が上がり、専門の難易度が下がっていたため合格しているかどうかわからない状況でしたが、合格していると信じ、論文対策に取り組みました。論文は、沖縄県から出されている教育に関する文書を見ながら、時間をかけて1日に1つ書き上げるようにしていきました。
論文対策を始めたときは、書き方がわからずに何度も書き直しましたが、上高先生に添削をしてもらってアドバイスを受けることで、書き方のコツを掴んでいきました。結果的に、一次試験の結果が出るまでに塾で出された10個の課題をすべて書き終えることはできましたが、この年度の1次試験は不合格となりました。しかし、この時にすべての課題を書き終えていたことが、今年度の採用試験の合格につながったと確信しています。
一次試験が終わると、一次試験の合否が発表されるまで、二次試験の対策になかなか取り組めない方は多いと思います。しかし、最終合格を勝ち取るためには、二次試験を避けて通ることはできません。特に、一次試験の合否発表後は、面接と模擬授業対策に時間を割かれることになるため、論文に時間をかけられるのは、一次試験の受験後から合否発表までの間のみと考えるべきです。一次試験の受験後は、自分の手ごたえにかかわらず、すぐに気持ちを切り替え、論文対策に取り組むことをおすすめします。
○面接調書
一次試験が終わってすぐに面接調書を書き始めました。前年度に書き上げていたものを再度読み直し、必要な訂正を加え、上高先生に添削してもらいました。自己アピール文は、自分の臨任経験を交えながら学級経営や教科指導について書きました。
○論文
一次試験が終わって2日後に塾に行き、すぐに論文の課題に取り組みました。1回目に書く論文は、沖縄県から出されている教育施策などをじっくり読みながら書いていくので、書き上げるのに4時間程かかります。また、1つの課題に対して1発で合格をもらえることはほぼなく、2回から3回書き直します。
しかし、同じ論文課題に何度か取り組むうちにどのキーワードをいれればよいのかが掴めてくるので、書きあげる時間も短縮され、書きながら沖縄県の教育施策も記憶に定着していきます。以下は、私が論文を書く際に気をつけていた点です。
- 課題文をしっかり読み、何を問われているのかを理解する。
- 序論、本論(柱は2本から3本)、結論をしっかり書く。
序論…序論では、なぜこの課題が出題されているのか趣旨を捉え、その背景を述べる。
①現在の本県の教育課題や現状
②それに対する沖縄県の取組
③課題文に正対した文を書きながら、本論へつなげる
という点を意識していました。
本論…見出しをたて、本論を展開する柱は基本的に3本(無理な時は2本)で書く。課題で問われていることに関する県の施策をしっかり読み、多くのキーワードを入れていく。書く際は、自分がこの取り組みを実践するという立場で書いていました。
結論…課題に正対した文を必ず入れ、問われている課題からズレた結論とならないように気をつける。自分が教師として頑張るという決意文を必ず入れる。結論は、どの課題に対しても基本的に変えることなくこの流れで書いていました。 - 最後の1行まで必ず書く。論文対策をしているときから、必ず最後の1行まで書ききることを心がけていました。
論文試験当日、予想外の問題が出題され少し焦りましたが、塾ですべての課題に取り組めたということが自信につながり「この教室にいる全員が予想外の問題で驚いているはずだ」と前向きに捉えることができ、落ち着いて取り組むことができました。課題と関連する施策を思い出しながら、キーワードを入れ込み、時間内に最後の1行まで書ききることができました。
○面接
本格的に取り組んだのは、1次試験の合否が発表されてからです。それまでは、論文の対策で精一杯の状況でした。私は面接の回答をノートにまとめるということが合わなかったので、塾で配布された資料(過去の質問事項がまとめられたプリント)に直接書き込んでいきました。①自己アピール文、②本県の教師を志望した理由、③本県の教師として頑張りたいこと、の3つは車の中で大きな声で言い続け、完璧に答えられるようにしました。
それ以外の質問事項に関しては、いじめに関する質問はこの答え、不登校に関する質問はこの答え、不祥事に関する質問はこの答え、というように、文章ではなく、大事だと思うことを短文で書き入れていました。私は、上高先生から「あなたは今までの臨任経験が大きな武器だから、その経験を話しなさい。」と言われていたので、私自身が臨任経験を通して学んだことや実践していたこと、学級担任として大切にしていたことを思い出し、自分の経験を自分の言葉で語ることを意識しました。
塾では、本番と同じような環境、本番以上の緊張感の中で面接模試を2回実施してくれます。また面接練習後には、私の面接で良かった点のほか、うまく答えられなかった質問事項に関するアドバイスをいただけるので、自分の良い点、改善点を把握できました。私は、二次試験の論文試験が終わった後にも上高先生に依頼して、面接の練習を行ってもらいました。前年度の合格者から「上高先生との面接の方が緊張するよ」と言われていたので、それならなおさら上高先生にお願いして面接練習をしておこうと思いました。あの日、面接練習を行ってもらい本当に良かったと心から思っています。なぜなら、面接練習で上高先生から質問されたことと同様の質問を本番で受け、落ち着いて答えることができたからです。
また、面接試験当日は面接官が思っていたよりも穏やかだったということもあり、落ち着いて、笑顔で自分の考えを答えることができました。上高先生から言われていた「経験を武器に」という言葉をしっかり心に留めながら、一つ一つの質問に自分の経験を交えて自分らしく答えることができました。
本番以上の緊張感の中で面接練習をできる環境は、この沖縄教員塾だけだと思います。失敗を恐れず、上高先生にお願いして積極的に面接の練習をすることをおすすめします。
(4)その他・生活面について
「はじめに」でも記しましたが、私は2018年4月~8月までは全日会員、2018年9月~2019年3月までは授業会員(中学校勤務)、2019年4月からは全日会員(妊娠中)として沖縄教員塾にお世話になりました。
中学校で働きながらの勉強はとても大変で、なかなか勉強時間が確保できず、塾を欠席することもありました。限られた時間の中で勉強するためには、自分に合った勉強法を早く見つけることです。ノートにまとめる方法が合う人もいれば、資料を読んで勉強するほうが合う人もいると思います。勉強に費やす時間があればいいのですが、なかなか時間がとれない方がほとんどだと思います。私は、2019年4月からは全日会員に変更して勉強していましたが、妊娠中であったため体調が優れないことも多くあり、思うように勉強時間が確保できずにいました。その中でも、自分に合う勉強方法を見つけ「要領よく勉強する」ことを意識しました。車の中や家事をしながら古文単語を聞いたり、夜寝る前に国語便覧に目を通したりなど、自分の体調に考慮しながら勉強していきました。
二次試験は、臨月に入ってお腹が大きい状態での受験でした。試験対策は大変なことも多くありましたが、塾生全員での模擬授業の対策や、上高先生からの面接に関するアドバイスなど、周りの方々の助けによって乗り越えられたと感じています。また、家庭では夫が家事を積極的にしてくれたため、体を休めながら二次試験の対策に取り組むことができました。周りの支えに、とても感謝しています。
(5)おわりに
私は沖縄教員塾に約1年4カ月間お世話になり、合格することができました。沖縄教員塾は意識の高い人が多いため、刺激を受け、気を引き締めて勉強することができました。上高先生には、勉強法や生活面でも多くのアドバイスをいただき、本当に感謝しています。
中学校で勤務し、生徒と触れ合う日々はとても楽しく「やっぱり教師になりたい」と思っていたのですが、勤務と勉強の両立はとても大変で、次年度も臨任を続けるべきか迷っていました。そんな中、次年度も臨任を継続すべきか上高先生に相談した際、「現場で働いているときの顔の方が生き生きしている」と言われ、とても嬉しく感じ、臨任を継続しながら勉強することを決めました。しかし、その後妊娠していることが分かったため臨任を継続することはありませんでしたが、「必ず合格する」という気持ちを強く持ち続け、今までの教え子たちの顔を思い出しながら試験勉強に取り組むことができました。
採用試験に合格した今、私は本採用の教師としてスタートラインに立つことができました。これから、謙虚な気持ちと情熱をもって教育現場で頑張っていきたいと思います。
上高先生、塾生のみなさん、そして合格まで私を支えてくれた家族にとても感謝しています。ありがとうございました。
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- 2019年度実施選考試験