平成29年度実施 沖縄県公立学校教員候補者選考試験 合格体験記 中学校国語

 私は、今年受験校種を高校から中学へ変更しました。
 昨年も校種変更をするか、しないかですごく迷いましたが、昨年はこれまで通り高校で受験しました。その結果、いつも一緒に勉強してきた沖縄教員塾の身近なメンバーがたくさん合格していく姿を目の当たりにし、どの校種でも教師として働きたいということに自分の気持ちをシフトさせることにしました。そして、保険として特別支援学校の免許を取得することにしました。5万円かかりますが、10点加点は大きいと思い一次試験の後に申し込みました。
※ただ、後期で特別支援学校の免許を取得する場合、2月中で免許申請をしなければ4月の願書提出時に間に合わないので、必要書類等は単位取得見込みとして早めに準備しておいた方がいいと思います。校長に記入をお願いする書類などもあり、私は準備に手間取って3月に申請したので願書提出時に間に合わず、結果的に加点はもらえませんでした。

 私はメセナで3年、沖縄教員塾で2年お世話になりました。不真面目な自分ときちんと向き合って、採用試験合格に向けて勉強に取り組んだのは28歳の頃です。それまでの自分の教師生活を振り返ると、本当に恥ずかしくなります。すごく無知なまま教壇に立っていたことが恐ろしいです。正直、初めの頃は「一生懸命勉強すれば合格できる」と思っていました。でも、いざ勉強を始めると、一般・教職教養も専門教科も散々な有様でした。古典文法の基礎さえ知らないため、メセナで上高先生の言っていることがさっぱりわからない…はっきり言って高校生以下…というひどい状況でした。自分自身にすごくがっかりしたと同時に、今からどれだけのことを覚えていけばいいのか、その莫大な情報量に愕然としたのを覚えています。でも、「今苦しいのと合格した後に無知で苦しいのは全く違う!」と思い直して一から知識を頭に叩き込んでいきました。前半の3年半は仕事を切って勉強しました。その後、学校現場を離れている時間が長くなっていたので、アウトプットをしながら勉強することにして、非常勤講師をさせていただききました。

(1)教職教養

 メセナに通った3年間で、教職教養はほぼマスターできたので、沖縄教員塾では変更点や間違いの多いところに絞って集中的に学習しました。
 とにかく「月例テストを繰り返し解く!」という勉強法で進めていきました。ダラダラしないように生活にリズムをつけたかったので、毎朝5時には起きて、月例を一つ解きました。解き方は、選択肢の番号だけで答えるのではなく、選択肢の番号と答えをノートに書くようにしました。そうすることで、答えを見ただけである程度の問題の内容を思い出せるし、自分が間違えやすい選択肢もわかって気を付けられるようになりました。そして、解答の際、ものすごく時間はかかりましたが間違えた問題、迷って選んだ問題、たまたま当たった問題、そのすべての解説を毎回色ペンでチェックして繰り返し読みました。これは一般教養も同様に取り組みました。すると、色々なことが頭の中で自然に整理されていったことと、別の問題でも何度も同じ引用を読むので覚えない限り嫌でも繰り返し読むことになり、だんだん定着していきました。また、何度も間違える部分や複雑な部分は専用のノートに整理して覚えるようにしました。教職の学習は朝一の月例と日曜日だけで抑えました。
※試験当日に持っていくノートを一冊だけにして、短時間見ただけで頭の中を整理できるようなノートを作ることを心掛けました。私はこれでだいぶ落ち着けた気がします。

(2)専門教科

 国語は初めの頃、古典を中心に学習していましたが、毎年試験の失点分野にバラつきがあったのですべてのジャンルでまんべんなく得点できるようにしようと考えました。
 5年かけてあれこれ手を出してやってみましたが、一番効果的だったのは塾の教材の復習と、非常勤でセンター対策をさせてもらっていたので、その授業準備と実際の授業です。インプットばかりしてきて、後半の3年はプラトー状態が続いていたので、授業でのアウトプットが有効だったように思います。具体的な学習方法は以下の通りです。

①火曜の教材を水曜に復習し、完全解を作る。
古文…わからない単語、うろ覚えの単語を全部調べる。
漢文…書き下し文にして、句法部分を全訳する。

②火曜の教材を木曜にもう一度解き直す。
(「完全解でかけるはず!!」というプレッシャーがあるのがよいと思って取り組みました。)

③金曜は漢文句法、沖縄の文学、常識問題(四字熟語・文学史・カタカナ語・対義語)を小分けにして、繰り返し何度も解きました。

④土曜の教材をその日の夜に復習し完全解を作る。
古文、漢文は火曜の教材と同様。
評論、小説は解説を読みながら、自分の誤読した部分の理由をはっきりさせる。キーワードとなる言葉、文章の構図など時間をかけて把握する。

⑤日曜は午前中に塾で教職を受講し、午後残りの問題集を解いたり、テストの誤答を見直したりした。夜はメセナのチェックテストを解く。

⑥月曜に土曜の教材をもう一度解き直す。
(この時も、「完全解で書ける!」というプレッシャーを自分にかけて解く)

⑦寝る前に学習指導要領の小分けにしたものを音読し、朝一で穴埋めプリントを読みました。

 以上のルーティーンを最低限の自己学習として取り組むようにしました。もちろん、諸事情で計画通りに行かないこともありましたが、その時は教職の時間を削って調整しました。基本はこのスタンスで臨むように心がけ、どうしても気分が乗らないときは、金曜にやっていた漢文句法や読書をして絶対に学習時間が0分の日は作らずに過ごしました。

☆普段の学習で気を付けていたこと【とにかく視覚化!】

①国語辞典、古語辞典は自分の使いやすいものを見付けて面倒でも普段から使うこと。その中で何度も引く語句はマーカーの色を変えて視覚化し、暗記ノートに書きこむ。後半はその暗記ノートが広い意味で自分用の辞書代わりになることも多かった。

②「21日続けるとその後は何日でも続けられる」というのを本で読んだので意識して実践しました。とにかく、少しの時間でも毎日続けることを大切にした。本番の日に自分が不安にならないために「これだけやった!」という実績の1つにすることで自信をもって臨めた。カレンダーに◎をつけて視覚化することで、モチベーションにした。

③過去問や模試の解き直しは、日付とジャンルごとの点数を一枚にまとめて書き出し、自分の失点が多いものが分かるようにした。試験の2か月前からは日曜の9時から本番形式で時間を計りながら過去問を解いた。1回目の復習の時以外は必ず計ることで時間の感覚を身に付けるようにした。

(3)一次試験後の取組

 一次試験の手応えが全くなかったので、しばらくはこの先どうしようと絶望していましたが、時間がもったいないので切り替えて、翌日には今後のスケジュール表を作りました。一次の発表までの日数が18~22日だったので、その3週間弱で
 ①自己アピール文、②面接での質問に対する答え、③論文、④模擬授業の基本スタイル
 この4つをどうにか準備して、発表の後は繰り返し練習することに集中したいと考えました。
 実際、やることが多いことと、発表が出る前の落ち着かない気持ちで思うようにはかどらなかったのですが、この期間の時間の使い方が合否を左右すると自分を奮い立たせて1日に1つは課題をクリアするようにノルマを課しました。

1 自己アピール文

 何度も書きました。毎年書いたので重複する部分もありましたが、職場の人や家族、友人にも読んでもらいました。最終的に上高先生のOKがでるまで5回ぐらい書き直したと思います。

2 面接の質問に対する答え

 私は自分が大切にしたいキーワードを10個ぐらい用意して、どんな質問でもそのキーワードを使って答えられるように準備しました。沖縄教員塾でいただく資料の全部の答えを準備するのは時間がかかる…と思ったので、ジャンル分けをして質問を30個ぐらいにまとめました。そして、基本的な考え方や言いまわし方を考えてPCでまとめました。ノートに書くと何度も消して時間がかかるのでPCを使うのはお勧めです。
 ある程度質問への答えが決まったら、職場の方や恩師に面接練習をお願いして、8月はほぼ毎日練習しました。はじめの頃は言いたいことがまとまらず、頭が真っ白になって自己評価でも赤点を付けざるを得ない状況でしたが、ボイスレコーダーに質問を録音して一人で何度も繰り返し練習しました。私は緊張すると髪の毛や鼻を触ったり、唇を噛む癖があると言われたので、後半は、鏡を見ながらしたり、携帯電話で録画しながら目線をそらさずに答える練習もしました。正直、この一次の発表までの期間は毎日ダメ出しの連続で、私は一番しんどかった気がします。

3 論文

 今年は論文をほとんど書いていなかったので、大急ぎで3つだけ書き上げました。メセナからの5年間で論文を50枚ぐらいは書いてきたので、一番後回しにしてしまいました。その結果、二次試験での点数はかなり低くなってしまいました。上高先生が口を酸っぱくして「1番目の予想問題だけは絶対に仕上げなさい!」と言ってくださったおかげで、本番はどうにか点数がもらえたと思っています。
 昨年までは75分で1200字を本番で書き上げることができるのか、ものすごく不安でしたが、論文も書く内容の柱を何本か用意しておいて、出題条件を満たせるようにキーワードを使っていくしかないかと割り切りました。そのためにも、キーワードは重要だと思うので、面接対策も含めて資料はしっかり読み込んだ方がいいと思いました。私は、序論とまとめを決めて書くようにしました。

4 模擬授業

 二次対策で一番心配だったのが模擬授業でした。イメージが全くできなかったので、報告書を読み込んで予備知識を叩き込みました。前年度の合格者の皆さんが質問事項なども細かく書いてくださっていたので、すごく役に立ちました。
 模擬授業は自信がないうえに、見てもらうのも恥ずかしくて気後れしていましたが、退職した恩師にお願いして1週間毎日2時間面接と模擬授業の指導をお願いしました。その際は、やる内容を古典と敬語で固定して授業の流し方を決めることを中心にしました。(目線・表情・しぐさ・発問の場所・一問多答の発問か・言葉遣い・声の出し方・板書の仕方)など、些細なことも指摘していただき、毎日2~3回ずつ練習しました。その時、何度も言われたことは「授業の内容が良いか悪いかではなく、教師としてのふるまいを見る」ということだったので、試験官が私の模擬授業を見て子どもたちをイメージできることが大切だということでした。恥ずかしい気持ちはよくわかりますが、勇気を出して早めに取り組んだ方がよいと思います。

 以上が一次発表までに取り組んだことです。実際、発表は8/15(火)とだいぶ遅かったので、途中モチベーションを維持するのに苦労しましたが、条件はみんな同じなので後悔しないようにできることをやりました。

(4)一次発表後

 一次発表の後は、準備期間がほぼ無いに等しかったです。8/15に発表があって、8/18からは論文、面接、模擬授業の模試を2回ずつというスケジュールだったので、ほぼ模擬授業の教材研究に時間を使いました。中学校で勤務している塾生にたくさん質問をして学習内容や現状を教えてもらえたので、ぜひ、二次対策メンバーで情報を共有し合えるといいと思います。二次対策メンバーはライバルですが、あの悶々とした苦しい時間を共有するうちに仲間として本当に助けてもらいました。前年度は手分けして教材研究をしてみんなでシェアしたということだったのですが、今年はその時間さえなかったので各自が準備したものを、模擬授業を見せながら共有するという感じでした。次年度に向けてのアドバイスですが、板書計画をノート見開きの状態でまとめておくと、振り返りがしやすくていいと思います。その中に①単元名、②本時の目標、③身に付けさせたい力、④例文をまとめておくだけで、一瞬で思い出せるようになるので、今年は数名で共有しました。目標や例文などは各自でオリジナルを用意する形にしました。頭の整理にはすごくよいと思うので参考にしてください。

最後に・・・

 私は「採用試験の勉強をしよう!」と重い腰を上げたのが28歳の時でした。はじめの方でも書きましたが、もっと早く、もっと楽に合格できると考えていました。結果的に5年かかり、大学を卒業してからは10年が経ちます。自分の考えがどれほど甘かったかを、痛感させられた時間でした。周りの同級生と比べてもまだ一人前になれていない自分が恥ずかしく、試験に落ち続ける自分が情けなく、「努力は報われるなんて嘘だ…神様なんていない…」と思うことも多々ありました。でも、自分に都合の良い時だけ神頼みをして、都合の悪い時に神様のせいにするのは間違っているなと気づきました。そして、努力は絶対報われると、今はそう思っています。報われるまでやれるかどうかだと思います。ここまで来られたのは、応援し続けてくれた家族、友人はもちろんですが、上高先生に出会えたことも大きかったです。厳しいことを言われた時もありましたが、本当に親身になってアドバイスをくれたこと、感謝しています。沖縄教員塾の塾生とは普段の授業ではほとんど関わりがありませんでしたが、二次対策ではお互いに助け合える素敵な仲間になれました。ありがとうございました。この先の教員生活の中で、きっとずっと大切な仲間として付き合っていけると思っています。一次よりも、二次は苦しいですが、二次試験への切符を手に入れて、チャレンジできることは幸せなことだと思うので、苦しささえも愛おしく感じられると思います。来年度の合格を心から応援しています。